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下士の身分から藩の筆頭家老まで出世した勘一が親友の彦四郎の死を知り、
過去を振り返るところから話は始まります。
少年の頃から文武共に才溢れ、将来を嘱望された彦四郎。
その彼がなぜ藩を逐電し、不遇の生涯を送ることとなったのか。
勘一と彦四郎の運命を分けた二十年前の事件。
現在とと過去の2点から話を展開する手法は「永遠の0」を思い起こし、
読み進めていくうちに明らかになる真実に胸を打たれます。
親友の死後に全てを知った主人公がたった一人で号泣するラストに、
涙がこぼれました。
男同士の友情がテーマになっているようですが、
その一言では片付けられない気がしてなりません。
巻末の袋綴じは私の想像を裏付ける内容でしたが、
彦四郎がなぜ「影」として生きていったのかは、
もう少し読者の想像に委ねても良かったのではないかと思います。
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二人の侍の話。
一人は下士出身。もう一人は中士出身。
身分がちがちの世の中にあって、身分だけじゃない信念を貫き通した男たち。自分の信頼した相手のために、そして護ると誓った女性のために。
自分の力で、どうにかできることは限られているし、それによって自分を捨てることもいつかは必要になるのかもしれないけど、それを決断できる凄さを感じた。
最後の袋とじは、個人的になくてもよかったかもと思ったり。
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茅島藩の下級武士(下士)の家に生まれた勘一。
上士や中士に混じって特例で藩校に通うようになり、
剣術道場でもまた一目置かれるようになる。
最初は妨害などあったものの、勘一の周りには
中流階級武士の仲間ができるように。
そんな中、彦四郎とは刎頸の交わりを交わすほど
互いを信頼し、勘一は自らの夢を語るまでに。
勘一と彦四郎。
ふたりとも順調に出世をしていくかに見えたが、
異例の出世を続け最終的には筆頭家老になった勘一に比べ、
彦四郎は周囲からも蔑まれる没落の一途を辿ることに。
勘一は江戸勤めから戻ると、脱藩していた彦四郎の
行方を探すのだが、すでに病死していたことを知る。
文武ともに勘一をはるかに上回っていた彦四郎が
なぜ没落を辿ることになったのか。
なぜ周囲から蔑まれるような行動を取ったのか。
その理由を知った時、勘一は・・・
ふたりの漢の熱い生き様を描く時代小説ですが、
一部ミステリの要素も。
途中、「~した」ばかりの語りに辟易することも
あったけど、なかなかに楽しめました。
タイトルがちゃんと物語の内容を表していて
その部分はかなり好きだ。
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時代小説。号泣!彦四郎の友情・愛情・その人生に涙止まらない。
袋とじも読んでさらに涙…。
本人がどう思って行動し、生きたのか真相がわからないから、かっこいい生き様がさらに際立って涙。あまり時代小説は読まないけど、これはほんと良かったぁ。
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また一冊素敵な本と出逢えた。
「永遠の零」も泣いたけど、この作品は心にズッシリくる本だった。
俺の大親友も7年前に若くしてひっそりと亡くなったから…
彦四郎って男はほんとすごい…俺も大親友に生かされてるのかもなぁ…明日からそんな気持ちを持ちながら、あいつの分まで一生懸命生きて行こう!
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通勤途中、鞄に本が入ってない事に気付き
近くの本屋さんで何気なく手に取った本です。
自己犠牲的ですねー。
サラリと読めました。
あまりにもスラスラと読めてしまったので
もう一声欲しかった感じ。
最後の袋とじの一節がグッときました。
生きていくって、何かを背負ったり抱えたりするモノだよなぁ、、なんて思ってみたり。
何世紀前かに日本にお侍さんがいたなんて
何だかとっても不思議。。
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大切な人を守り抜くために、自分の人生を犠牲にできますか?というお話。
自分の想い、人生、命を犠牲にして大切なものを守り抜く、その一途さには武士の美徳を感じた。
今の時代、命を賭けて想いを貫く機会はめったにないし、過ちを犯して切腹することもない。
それは、生き方そのものの多様化、無限の可能性が人生にあるということだ。
そんな恵まれた時代に生きる自分は、果たして懸命に生きているだろうか・・・?
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非常に心に残る小説でした。
自分のなすことに命をかける理屈を見つけて全うする様がいくつか出てくるのですが、どれもかっこよく、主人公が憧れる気持ちがよくわかります。
彦四郎の友とみねを思う気持ちも読むほどに伝わってきました。
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人より多くの才に長けた男だったからこそ、
一つの夢を遂げようとする友のために動いたのかと思うと泣けて仕方ない。
最終章で紐解けていく事実にやりきれない気持ちになった。
彼にとって人生の転機は本当はどこだったんだろう。
袋とじ部分も切なくなった。
んですが、まさか袋とじ部分の台詞が帯に引用されてると思わなくて
驚いた。
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己を犠牲にし、人に尽くし人を生かす。侍の時代を描いた物語とはいえその登場人物の生き様は、今現代の私の怯懦を許しません。読後、影法師のタイトルが熱く胸にせまります。単行本には掲載されなかった巻末の袋とじ部のエピソードもまた別の味わいをもたらし、私にはありでした。
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最後に明かされる彦四郎の生き様に感動。勘一がその心を理解したところでタイトルの持つ意味に納得。見事なストーリー展開に時間が立つのを忘れるほどだった。
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下士でありながら家老まで登り詰めた男と、頭脳明晰で剣の達人、将来を嘱望されながらもひとりこっそりと無くなった男の友情のお話。
何事も卒なくこなすことができるよりも、ある一つのことを深く取り組む人のほうが、人を引き付けるものがあるのだろう。
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影として生きた男と、その影に守られた男と。こんなにも切ない友情があるものかとただただ感動。ひとつひとつのエピソードが丹念に紡ぎあげられており、作品に対する作家の愛情が感じられる。「後ろ傷」のエピソードあたりから読み手を鮮やかに導く語り口はさすが。
うわさの巻末袋とじは蛇足に思えました。もしかしたらそうだったのかもしれない、と読み手の余韻に任せてほしい部分かも。この物語は男の想い、男の涙で閉じられていてほしい。
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途中から予想していた結末どおりやったのが少しがっかり。
「永遠の0」のような半ばからぐーっと盛り上がる感がなかった。
心を盛り上げる言い回しや、言葉の選び方はとっても好きな作家さん。
次作にも期待!
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男の生き方を書いた本。
袋とじの付いた文庫本って始めて手に取った。
『ボックス!』『風の中のマリア』しか読んでないけど、こちらの著書もいいなぁと思う。皆さんのレビューを読ませていただくと『永遠の0(ゼロ)』も素晴らしい、との事なので 近いうちに読んでみたい。