紙の本
作家の軌跡
2015/09/18 16:33
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「スタンド・アウト」
私小説っぽいお話。激情を持て余した少年が飛び出しナイフを持って夜中の街をうろつき、そこから卒業するまでの流れを描いている。
「まあこ」
ダッチワイフの髪のセットを頼まれた美容師が、その怪しさにとりつかれていく。
「箱」
優秀な同僚が残した箱の中に入っていた何かが、彼を妬んだ人間を壊していく。
「日本改暦事情」
「天地明察」の習作的な短編。
「デストピア」
母親の抑圧下で少年時代を過ごした人間が、それを捻じれた形で爆発させる。どこかであったような事件。
「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」
人類の寿命が伸ばせる遺伝子が発見され、それを子供に与えた親の苦悩を描く。
「OUT OF CONTROL」
怪異に遭遇した人間が見た世界。
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実験色の強さを感じるうぶかたさんの短編集・・・あれ?
そういえば、「短編集」ってある意味で初か?
確認はさておき。とくにホラー二編が印象的であり、
今度はホラーを視野に入れているのか? 等と思ってしまったり。
また、「天地明察」のプロトタイプが含まれているのもありまして、
これは言ってみれば、以前行った実験の結果なわけでしょうか。
表題作「Out of Control」もホラーっぽいですが、
ここまで清々しくセルフパロディを重ねられると一周回ってコメディに見えますね。
楽しそうに書いてるなぁ、と申しますか。
一番好きなのは「スタンド・アウト」です。
この、熱血に厨弐な感じが俺の琴線をライトハンドでかき乱しまくり。
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有名になると過去の完成度の決して高くきない作品を寄せ集めた作品集が作家の思惑ではなく出版社の思惑として商業ベースで刊行されることがとくる話で、有名画家のスケッチとか習作が高値で取引されることに似ているfr。本作も正直、若さのいたり感と多様な方向性を探っている感の強いてんでバラバラな統一感の無い作品集に留まっているので、今の作者のレベルを期待する向きにはむいていない。マニアックえコアなファン向きの作品集になっているのが残念。特に天地明察の下書きというべき作品は今となっては発表されないがよかっただろう。
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冲方丁のSF短編集、と思って読むとむむむっとなるかも。
作者の自伝ぽい小説や、ホラー、はたまた天地明察の原型となった小説まで収録されていて、何となく作者の頭の中を覗いているような気になりました。
これからの冲方丁を読んでいく上での、一つの指針となるべき1冊なのかもしれません。
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2012/07/25:『冲方丁公式読本』にて「スタンド・アウト」「日本改暦事情」は読了済でしたがこちらの方が読みやすかったです。
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『天地明察』の原型中編が収録されています。おしどり夫婦は描かれていません。登場人物が少ないので、こちらの方が改暦話としてはわかりやすいかもしれません。
あとはオーソドックスなホラーがほとんどです。
作者の投影なのか、ぴりぴりとした焦燥感が漂っているのも特徴です。
冲方丁の別の面を知るには良い中編集だと思います。
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エログロホラーで苦手ですた
ただ何と言うかひたすらに全編通して
ひたすらに「衝動」を感じられる作品集でした
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冲方氏の本来のカテゴリースタイルとしは、こちらに収録されているシリーズが親しみがあるかも。マルドゥック・スクランブルを楽しく読めた人には、お勧めです。
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ある意味冲方さんの文体を把握するのにいいというか、そんな短編集。 ホラーはもともと苦手なので、それも相まって何とも言えない読了感。 メトセラ~は楽しかった。 タイトルのOUT OF CONTROLは冲方さんを初めて読んだ時と文体が同系統なんで、面白かった。
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個人的に冲方丁はひとつのテーマ=「レゾンデートル」しか書いてきてないと思うけどなぁ。
マルドゥックがSFで、シュピーゲルがラノベで、ファフナーがピルグリムが天地明察がって、ジャンルで考えるのはどうも前々から変な気分になる。
知人も冲方丁はSF作家としては未熟と言っていたが、そこをメインに読んじゃうと冲方丁の面白みは半減しちゃうと思う。
ファフナーの「あなたはそこにいますか?」のセリフはもろに直球だし、
マルドゥックの委任事件担当官制度は、「有用性の証明」にとことん拘っているし。
天地も結局は偉業を残すことで渋川春海は存在証明している。
この短編集の「箱」なんかは、存在証明失敗時の悲惨さって感じだ。どこかボイルドにつながる。実に「らしい」。
他の人は作者が何を意図して書いたか?ということはあまり気にしないのかしら?不思議。
だから解説の「秩序」がどうのこうのってピントがずれてる部分はなんかこの評論家は冲方丁のことな~んも知らないで上っ面だけで書いてんじゃねーの?って気分になりました。
「統一コンセプトのようなものはない」だってさ。確かに多少無軌道ではあるけど。この人他の作品は全然読んでないんだろうな。
ただ、ここ最近冲方丁の著作も変化が見られるのは確か。
マルドゥックにしろファフナーにしろ、以前の作品は苛烈さ・過酷さが際立って全体の雰囲気を作っていたが、「天地明察」を皮切りにずいぶんと作品に丸みを帯びるようになったなぁと思う。
この短編の「スタンド・アウト」や「デストピア」も以前の鋭利さはあるものの、やはり一歩引いて俯瞰で見ている感じがある。
良いか悪いかはさておき。
天地で商業的に成功して余裕ができたか、あるいは結婚や子供ができて落ち着いたか、また3.11を直撃したという経験もあってか、原因は本人のみぞ知るだが、とにかく心境の変化はあったのだろう。
冲方丁本人は、「存在証明」はある程度できて、がむしゃらに書く必要はなくなった、というところか。
もうラノベ的な、というか「スタンド・アウト」の十代の頃の焦燥感や揺れる心をメインに扱う話は書けなくなったんだろうなと思う。
よく「白い冲方」、「黒い冲方」と彼の二面性を表した言い方がファンの内であったが、そういった極端さが薄れ、灰色に近いマイルドに色彩を好んで使うようになってきているような気がする。
それが作家としての成長なのか、欠落なのかは分からないが、「黒い季節」から大体彼の作品は読んできた(見てきた)一ファンからすると寂しいものがあるなぁ~。
天地も嫌いじゃないがやはりマルドゥック・シュピーゲル・ファフナー等の印象は強い。
てかテスタメント続きはよー(T_T)
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「ま あ こ」にもってかれた!!
女(詳しくは書かない)って怖い
解説にもある通り「天地明察」のダイジェストと言える「日本改暦事情」もあり、「まあこ」や「箱」のような怪奇物もあり、「メトセラ~」のようなSFもあり、お得感のある短編集だと思う。冲方作品入門書として最適では?
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2012 8/7読了。WonderGooで購入。
SF/ホラー/サスペンス/時代物を含む短編集。
時代物は『天地明察』の前進にあたる作品。というか、そのダイジェスト版のようにもなっている。
しかし長編で感じる程の感動はない・・・やはりあれは一定の長さを要するのか。
その『天地明察』が職業上の(最終的な)成功に関する話なのに対し、『まあこ』と『箱』は何らかのきっかけで仕事に失敗し、人生も詰む話。
・・・よりによって旅行中に読む本じゃなかったな(苦笑)
天地~みたいな読後感を期待して手に取ると痛い目を見る本。
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一年が365日であることが当たり前になっているが、
いつが1月1日で12月31日なのか、それを定める暦、
地球の自転や公転、宇宙とのつながりの中の地球について
学問として導き出す人間ドラマを短編として興味深く
読ませて貰った。
そのほかはちょっとばかり「若者」感に近寄りすぎて
若干、引いたりさめ気味だが、氏の短編初体験なので
物語として面白いのかは保留
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冲方丁と言う作家を
天地明察で知った
浅いファンには
ちょっとキツいかなー
とも思う。
小説作品のほとんどと
漫画も少々読んでる自分からすると
全作ほぼ既読ながら楽しめた。
この人と同じ時代に生きてる事を
神に感謝します。結構マジで。
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冲方さん、やっぱり短編はダメだなぁと思う。
ホラー物が多めなのだけど、どうも怖いを通り越して胸糞悪いまで行ってしまう話が多くて苦手だ。