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監督の実体験を元に製作された映画を観て読了。自分の人生なのだからどこまでもわがままに生きていいんだ、という妹への励ましは兄たちの祈りのように思える。北へ帰国した3人の兄たちと、アメリカへも行き芝居や映画に生きる妹。
オモニのパワーに引きつけられた。
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著者が監督した映画「かぞくのくに」が素晴らしかったので、原作にあたるこちらの本も読んでみた。
北朝鮮に関しては、日本国内にはごく限られた情報しか入ってこない為、どうしても特殊な国であるとの印象を抱きがちだ。
しかし、この中に描かれている著者やその家族たちの姿は、私たちと何ら変わることのないごく普通の人々である。
当たり前のことなのだが、その当たり前のことが理解されない、日本と「隣国」北朝鮮の関係について、今一度振り返る必要があるのではないだろうか。
一方で、やはりというか、国の決定の前には個人の事情や生命すら一顧だにされない、北朝鮮の政治の非情な面も描かれており、国家と国民の関係についても考えさせられた。
ただ・・・民主主義国である日本なら、北朝鮮と違って、国民の生活がしっかりと守られ、尊重されているのかというと、どうも「そうではない」という気がしてならない。
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70年代に「帰国事業」で日本から北朝鮮に渡って行った3人の兄。しんどい国、北朝鮮で幸せに生きる。それは思考を停止させる事。ヨンヒさんの怒り、悲しみ、そして「かぞく」を想う優しさ。全ての想いがギュッと詰め込まれている。
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映画で観て、大変興味深く、そしていい作品だったので、原作本もあると知り、図書館にて予約、拝借。
主に電車内で読み進めていったのだけれども、何度も、涙が出てきた。我慢できなかった。これは現実、これが現実なのですか、あの国の。そしてわたしの国にだって十二分に関係のある事実。
「絆。 私はこの言葉が怖い。」
昨今わたしたちの国で使われている絆、絆ということば。確かに、いいことば、わたしたちを励まし、元気づける要素だったかもしれません。でも、それがなんだか、使い方によっては軽々しいものになっていたような風潮も否めません。
わたし、かぞく、くに。あまりにも意識せずに生きてきている自分を知らされました。うん、まだまだ、考えることいっぱいある。
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わずか1年半後、私は立派な嫁入り道具と一緒に元気よく家に帰った 私には三人の兄がいる。兄は、北朝鮮にいる 総連幹部の息子ともなれば、将来の進路は見えている。組織のために生きるのだ コノ兄の胸に飛び込む。十一年分の涙が溢れた。子供の時に嗅いだ兄のにおいがした
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異国である日本で子供を産んで、苦労して育て上げ、揚げ句に国の政策とかで、男子三人とも北に送ることになった家族。
パラダイスとか楽園とか、北のうまい誘い文句とは裏腹の過酷な生活を強いられるそれぞれの三兄弟と、行き来のままならない日本で気をもむばかりの両親と妹。
北のやり方や考え方は当然ながら理解に苦しむが、活動家の幹部であった両親の考え方にも疑問を抱く。
大きな疑問は、済州島出身の身でありながらどうして、北へ大事な息子を帰国と称してやるのか・・・
そういう両親に育てられたったひとりになった妹は、やがてありのままの家族や北の実情をドキュメントとして映像化する仕事につき、現在も活躍している ヤン・ヨンヒさんである。
彼女の勇気とエネルギーに大きなエールを送りたい。
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映画「かぞくのくに」を見てから、読みたかった原作がやっと読めました。
映画の題材となったのは3人の兄のうち、ひとりのエピソード。この本のほうが主人公の置かれた状況と、日本で暮らしているゆえの悩みがちゃんと描かれていて、より納得して読めました。
映画ももちろん感動的な作品でしたがどうしても主人公である妹が日本でぬくぬくと育っている苦労知らずに見えてしまって、特に大切なあるシーンでは、北から来た兄との温度差が絶望的に思えたのです。
この本(手記というべきでしょうか)を読んでそのシーンの本来の意味がわかったように思います。
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映画『かぞくのくに』とあわせて読むことをおすすめします。帰国事業の背景については、さほど詳しく述べられていないので、辛淑玉『鬼哭啾啾』もあわせておすすめ。
それにしても、北朝鮮の実情が薄々伝わりかけていた時期になって、息子を3人とも「帰国」させるとは・・・これでは敗戦間近に学徒を動員して特攻させた軍国日本の時代と、まるで同じではないか。植民地支配をされた側が、支配者と同じような暴力体制をつくりあげてしまうとは、なんと皮肉なことだろう。国や政治の暴力がそのまま家族に刻まれてしまう残酷さ、それはかつても今も確かにあることを思い知らされる。
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北の共和国を嫌悪するのは容易いが、徹底的な社会、国家差別の中に、あの産経新聞まで北の楽園と煽り、朝鮮大の教師かパチンコ屋しか選択肢がない中で、後付で何が言えるのか。その中でも生きていく。
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身近なようでいてよく知らなかった在日朝鮮人や北朝鮮への帰国者の生活が描かれていて、映画もぜひ見たくなった。今、兄やその家族たちがどんな暮らしをしているのか、心配だ。北朝鮮への経済制裁が苦しめているのはこうした普通の人々の暮らしなのだろうと思うと、自分に何ができるのだろうと思った。
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2012年初版。映画は、かなり前に観ました。悲しく辛い内容ですが、涙は出ませんでした。著者の両親・3人の兄・そして本人のあまりにもリアルな内容に圧倒されてしまいます。近くて遠い国、北朝鮮。理解できない、どうしての連続。3人の兄のそれぞれの境遇、理不尽としか言いようがない。映画を再度観てみたくなりました。
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実態がよく分からなくて、不気味で怖いと思っていた近くて遠い国。そこにも同じ人間が暮らし日々の営みがあり、笑いもある。愛しい家族もいる。
知らないことがほんとうにたくさんあって
またまだ知りたいことがあると知る。
ヤンヨンヒ監督の劇映画「かぞくのくに」と併せて読んでほしい一冊です。
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単行本の帯には「ドキュメンタリーストーリー」と書いてあって、小説ではなく著者の実体験をつづったものです。私のカテゴリに「ドキュメンタリー」がないので「ルポ」に分類しました。
著者は在日2世。父親が大阪の朝鮮総連の幹部で、4人兄妹の末っ子。年の離れた兄3人が、「帰国事業」で北朝鮮に帰った。
もう、この設定(いや、設定ではなく事実)だけで、なんと!!!!と、興味がわき、これは読まねば、と思って手にとりました。
なんて苦しいのだろう。日本では家族が北朝鮮に渡り、会えなくなった在日の人が「悲しい」ということすら不自由。その複雑な事情を赤裸々に語っているのだが、語れるようになるまでに相当な時間を要している。そして語った結果、著者は北朝鮮入国禁止になり、兄とは会えなくなってしまった。(それ以前は、朝鮮籍で朝鮮学校に通う総連幹部の娘、帰国者の家族ということで、万景峰号で何度か北朝鮮を訪問している。そのような行き来があるということもよく知らなかったので驚いた)。
私が社会科の教員になったのには、少なからず、大学のときに韓国の大学を訪問して朝鮮半島の歴史に興味を持ったことも影響している。その当時は(もう30年近く前だが)、南北はいつか統一されるだろうし、半島の多くの人がそれを望んでいるのだと疑わなかったが、年々それが困難になりつつある。そしてもう今や、南の若い人たちは統一なんて望まないのではないかとすら思えてくる。
この困難な状況を打開するのに、この方のように「本当のことを語る」人は絶対に必要なのだろう。
他の作品も絶対読もうと思います。映画も観よう。
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「カメラを止めて書きます」の次に読了。
帰国事業によって日本を離れ北朝鮮に帰国した、著者の3人の兄の物語だ。それぞれに重い。
末の兄ケン兄の話の中で、北朝鮮である程度の地位を確立したケン兄(「中途半端なエリート」と著者は書く)の姿に読者として慄然とする。
国家と個人について、いやでも考えさせられる。
参考にしたwiki(覚書として)
・「在日朝鮮人の帰還事業」
・「平和条約国籍離脱者」内「日本のように単純に国籍を喪失させた措置は世界的には異例である」