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読んで良かったと素直に感じられる一冊。
天地明察に続き、沖方さんの書く文章の魅力に最初から引き込まれる。
梅の詩で始る物語、一人の人生を左右する出会いと別れ。
ネタバレは嫌いなので一言、天地明察では読みながら涙を流しました。
この光圀伝では最後の一文を読み、どっと文章が蘇り涙が溢れました。
素晴らしい一冊をありがとうございます。
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水戸黄門こと徳川光圀の生涯を描く歴史小説。
多くのエピソードを持つ徳川光圀を少年時代からその死までを描く大河小説でありながら、エンターテイメント性もある作品に仕上がっています。
「水戸黄門」の講談的魅力とはまた異なる、その人間性の本質にも迫るものがありました。
構成的にも冒頭の家臣の殺害に至るミステリー的な要素(ちょっと強引な動機かも)もあり、大作ながら、最後まで読ませます。
特に読耕斎や泰姫との心からの交流と別れ、左近の存在による死者の如在感、紋太夫との大義における信頼と破綻が感動させます。
もちろん、スケさん、カクさんも史実に則って活躍しますし、綱吉との確執も上手に処理されています。
また、「天地明察」とのリンクもあり、「天地明察」からの読者サービスもあります。
次回作も大変期待できそうです。(次は保科正之かな)
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冲方丁先生の、文人時代劇第二弾。
物凄い熱量をもって、文業と義のため生きる主人公の姿が熱い。前作に続き、その信念の中に、作者自身を重ねてしまいます。
また、本作の分厚さと比較すると、キャラクターも印象的で覚えやすく、非常に読みやすかった。史実の説明で進めず、あくまで"物語"として展開させていく作者の手腕が伺えました。
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長編であるが、個性ある登場人物が生き生きと描かれ、面白く、一気に読んだ。
ただ、最後に明かされる紋太夫の「我が大義」は予想外というか飛躍し過ぎて、拍子抜けした。
その点で若干マイナスだが、良い本だった。
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「天地明察」の光圀が魅力的だったのでかなり期待して読んだ。
光圀はもちろん水戸家家臣、林家などなど味のある人物がぞろぞろ出てきておもしろかった~
冲方さん、次は何を書くのか楽しみです。
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テレビの水戸黄門とは全く違う『剛』のイメージの光圀伝。『義』を第一に考える生き方に感銘を受けました。今年No.1の面白さでした!
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徳川光圀といえば、大半の人がそうであるようにドラマの中の好々爺としての水戸黄門しか知らず、本書の主人公として痛快かつ激情の人、かつこうまでも劇的な人生を歩んだ人物であるとは思いもよらなかった。
帯に「新たな水戸黄門像を示す」といったことが書かれていたが、まさにそのとおりだったと思う。
兄を差し置いて水戸藩の後継として指名されたことを後ろめたく思うがその感情の矛先を方方にぶつけた少年期。親友と伴侶を得て、兄への後ろめたさへひとつの解答を出した青年期。多くの別れと新たな誕生に次代へ繋げることに情熱を注ぎ出す壮年期。徳川光圀という一人の一生をとてもドラマチックに描いています。
天地明察の時もそうだったけれど、この筆者は本当に上げて落とすのが上手い。そして、ただ落とすのではなく、登場人物を落ちた事実から新たな未来や方向性へ進ませるのがとても上手い。
天地明察と時代設定がかなり重複するので、天地明察を前後に読んでおくとより楽しめる。長編ではあるけれど全体的に読みやすいので、歴史小説に抵抗がある人でもすんなり楽しめる一冊ではないでしょうか。
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久しぶりにのめり込んだ小説!
自分の中で水戸黄門こと光圀のイメージは
1.大日本史を編纂
2.朱舜水を師匠に学びラーメンを食った人
3.若い頃の趣味は辻斬り
だったが、これを読んで「詩で天下を取る」と熱い思いを持ち、勉学に励み、暴力ではなく筆力や舌力で人を動かした義に熱い人という好きな歴史人物の一人になった。
また、光圀だけでなく読耕斎や泰姫、介さんなど魅力的な人物が多いのも良かったし、その人達との離別のシーンには涙…
次は天地明察を読む!!
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己の卒業アルバムを読んだときに味わう、何とも言えない懐かしさと寂寥感。これを彷彿とさせる書。
750頁に及ぶ大著でありながら一気に通読。
しかし、泰姫のキャラが余りにも強烈過ぎて…
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良くも悪くも「若さ」こそが冲方丁の最大の魅力だと『天地明察』と続けて読んで思う。若干35歳という若き作家がこのような長編歴史小説をさらりと書いてしまうことも驚くべきことだが、若い作家だからこそ書ける歴史小説だとも思う。それは光圀の青春期の姿から伺える。
「なぜ俺なんだ」
次男の身でありながら世継ぎとなって苦しむ光圀。物語はその光圀がある解決策を持って大義を成すまでに焦点を当てている。陳腐な言い方ではあるが、それは「アイデンティティ」という文脈で捉えれば非常に分かりやすい。青春期おける光圀は「なぜ俺が世継ぎなんだ」という疑問を持って、一旦自我を失う。自暴自棄になり、遊郭通いに没頭し、放蕩を重ねる。しかし、青年期に入り、理解ある友人に恵まれた光圀は、学問の世界に己を見出すことで、己の成すべき大義を見つけ、「アイデンティティ」を取り戻す。時代背景は江戸時代の初期ではあるが、それは現代に生きる若者にも通じるものがある。いつの時代でも若者は「自分はこれから何をすればいいのか?」という将来に対する漠然とした不安を抱え、それにもがき苦しみながら、やがてあるきっかけで自分の進むべき道を見出していくのだ。普遍的なテーマを持っているからこそ、この小説は力強い。
冲方丁がこうした「若者のアイデンティティ」をテーマとしたのは『光圀伝』が初めてではない。『天地明察』でも安井算哲という算術家を通して、同じような題材を扱っている。あるいは、冲方丁の「アイデンティティ」の追求は己の生い立ちに深く関係しているのかもしれない。海外生活が長く、「日本語に飢えていた」という幼少時代。多感な時期に様々な文化に接触することによって、自身のアイデンティティにも深く考察する時間があっただろう。安井算哲や光圀の煩悶する姿は冲方丁自身に重なる。
大義を成すことでクライマックスを迎えた今作『光圀伝』。それ故に、それ以降のエピソードが少々惰性と感じることがないわけではない。「なぜあの男を殺めることになったのか?」という序盤から引っ張った伏線は、あっさりと片付けられてしまったのは物足りない。それでも、幼年期から青春期、青年期にかけての光圀の姿はそれを補って余りある魅力に満ちている。いずれ大河ドラマになっても不思議ではない、この壮大な歴史小説を書ききった若き大作家に今後も期待したい。
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長い話しであった。こんなに長くする必要があったのだろうか。テーマが絞れない。安井算哲が出てくる必要性は無かったのではないか。
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テレビの黄門様のイメージが強い水戸光圀の幼少期から晩年までを描ききった大作。
700ページを超える分厚さだが、本を支える腕の疲れを忘れるほど面白く没頭した。
光圀は小市民の自分にはほとんど共感できない高みを目指す人物ではあるが、子供時代の屈託、詩に対する思い、自らの義を通そうとする姿勢などが胸に迫ってくる。ただ、儒教や詩について知識があったらもっと面白かったかも。
後半は藩主としての治政、将軍家との関わりなど政治的なエピソードが多くなり、光圀のエキセントリックさは影を潜めるが、日本史的に有名な事件にも言及されていたりするので興味深かった。
『天地明察』でおなじみのキャラも少し登場するのが嬉しい。
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文句なしの5つ星。休日を丸一日捧げてしまった。
作者は光圀を通じて何を言いたかったのか。作家ならぬ身ではうまく表現できないが、ただ、人の営みが縷々と積み重なっていく時間の重さを感じた。
天地明察は傑作だと思ったが、本作はそれをさらに上回る出来だと思う。作者のただならぬ労力に脱帽。
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先人たちに託され、また託していく歴史の積み重ねに想いを馳せずにはいられない一冊。
戦乱の世が終わり太平の世に移り変わっていく江戸初期、「義」を重んじ、詩を愛し、数々の文化事業を行った水戸光國の一代記。
「天地明察」の清々しさと比べると圧倒的に重い。雁字搦めの中で、理想と現実の狭間に揺れながら、自分の為すべきと信じたことを為していく男の物語です。
光國の「大義」すなわち正当性の抱える矛盾や、続く親しい人々との死別が、物語に常に暗い影を落とし続けており、これが読み進む上でいい意味での緊張感を与えてくれていました。
光國と、光國が出会う様々な人物たちの生き様に何度も目頭が熱くなりました。
人の営みが過去から現在に、未来につながっていることを強く強く感じさせる傑作。
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面白かったです。
とにかく、少年~青年の光圀が可愛くて仕方ないっ
非常に軽い言葉を使わせてもらえば、「萌え!」の一言w
沖方氏は、人物をとても魅力的に描かれますね。
それによって、あるいは史実より遠ざかる部分もあるかもしれないけれど、こんなに面白く物語を読めて、登場人物を愛せるのは至福。