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貴志さんの作品好きなんだけど、これはそんなに
似た感じの『クリムゾンの迷宮』の方が百倍面白かったかな
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冒頭の数ページでは『クリムゾンの迷宮』と設定が同じに見え、ネタ切れかと失礼な感想を持った。読了すると、実際は根本的に違うことも、主に据えてあるのは盤上の駆け引きと人間のどうしようもなく暗い部分なのだと分かる。特に平易な言葉ばかり使うわけでもないのに、将棋や囲碁に詳しくなくとも分かるよう描写されているのがすごい。最後まで一気に楽しめる。
主人公の塚田に共感できない(または共感してはいけない)部分が残念。誰だって内側の暗黒面は見たくないのに塚田を通して見てしまうので。後書きを見るにその暗黒面こそテーマというから言ってもしょうがないことだけれど……
ただ露悪的ではない。勝負師の世界でギリギリを生きた男の遣る瀬無さや、人の心が耐えられない程の喪失感を、本筋の傍ら断章として丁寧に綴ってある。散りばめられた謎や塚田の引っ掛かりが、本筋と断章を読み進めるにつれて解けていくのはある種の快感。
ノン・ノベルの扉挿画も良かった。多くのヒントを元に創作された特徴的なキャラクターを生き生きと、想像の余地を残しつつ描いてある。ギリシャ神話やらヨーロッパの民間信仰やら様々なところから拝借された名称も個人的にはグッときた。塚田は「ネーミングのセンスには付いていけなかった」と言うが。
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主である人間将棋の部分は
少年漫画を読んでいる感覚に近く、
キャラクターや能力も豊富で手に汗握る展開。
○番勝負という形式なのに、目次に第○局と書いてしまっているので、なんとなく先に展開がネタバレされてしまっているような気がしたが、ここにも秘密があった。ぜひ最後まで読んでいただきたい。
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最後の「本当にリサか?」はこんなところ(ダークゾーン)で会えるなんて、本当にリサなのか?と言う意味と自分が作り出した妄想のリサで本物なのか?という二重の意味があると思った。
塚田は人間性に問題がありそうだが、一応そこに至るまでの経緯は理解できなくもない。
ただ、現実から逃避するような形になってしまってるので、そこは弱い部分なのかもしれない。
誰か手を差し伸べる人がいればいいのだが…。