紙の本
独自の世界
2015/11/22 10:33
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
九編の短編。シャレではなく、本当に痺れる。この人独自の世界があって、そこから紡ぎだされる作品だからだろう。ホラーともいえる恐怖感は、僧侶だった経歴によるものか。気に入ったのは長編の「ユリゴコロ」で、そのため短編はどうかと購入してみたのだが、どちらも良いと思う。
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内容(「BOOK」データベースより)
汚れた身体を抱きしめてくれた悪魔に囚われていく私。怒りと赦しを背負いながら生きていく使用人の哀しみ。姿の見えない彼の妻に翻弄される不倫女の叫び。―暗い水底に引きずり込まれていくような9つの哀しみと絶望。
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まほかるワールド健在。ドロドロとした、時に陰湿さも感じる作品ばかり。
でもやっぱり短編では物足りない。
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過去の長編も読んでいるが、結構、波がる感じで好き嫌いが大きく分かれそうな作品が多く、自分としても、同じ女流作家の近い立ち位置の湊かなえの方に軍配を上げていたが、短編集としての本作は結構、のびのびと書いている感があり、落ちをつけて見たりしながら分かりやすい作風となっており、分かりにくい長編よりは良い印象をもてそうだ。いずれにしろ、女のドロドロとした部分が全ての作品の根底にあり、こればかりは共感し辛い部分もあるが、短編であるが故に、深みにはまり切らない段階で落ちがくるので、少々くどい様だが、長編よりは遥かに読みやすい。愁眉は解説でもあるが、最初の林檎の話だろう。その他は落ちに執着するきらいもあり、少々、作り過ぎな部分もあるため、女のドロドロした部分についてのショートショートであれば良いが、ホラーであれば、もうひとひねりほしいかもしれない。
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これが沼田ワールドというんでしょうか
短編だからか『9月の〜』よりグロさが刺さるような感覚
痺れるというよりは 時々胃をギュッと掴まれる様な感じで少し癖になる
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個々のキャラクターの背景があまり描かれていないので、1枚ガラスを隔てた向こう側で物語が進んでいった印象。
霞がかった世界といっても良いのかもしれない。
私としては、「悪夢のような」感じはあまり受けず、心の中にモヤッとなにかが少し残るような読了感でした。
面白かったのは「テンガロンハット」。
特に地方出身者なら、「こういう人いる!」「こんな人いそう!」と分かっていただけるのではないでしょうか。
物語の始まりと終わりの滑稽さもあって、日常にありそうだからこそ潜む奇妙さが、より際立つように思えます。
2012年8月20日初版
目次
・林檎曼陀羅
・レイピスト
・ヤモリ
・沼毛虫
・テンガロンハット
・TAKO
・普通じゃない
・クモキリソウ
・エトワール
解説 池上冬樹
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全体的に靄がかかっているような舞台と設定。出てくる女性もずっと独り身だったり不倫をしていたり翳がある感じ。「テンガロンハット」が個人的にはいちばん怖い。こういう人が普通に存在しそうなところが(いい意味で)嫌な感じ…
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短編でもジワッとくる嫌な感じは健在です。個人的にお気に入りは沼毛虫。怖いというか嫌なのがテンガロンハット。ああいう人ホントに嫌いなので身近にいたらと思うと恐ろしくて(((( ;゚Д゚)))
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沼田まほかるに初めて出会ったのは、確か、九月が永遠に続けばだったと思う。
変わった名前だな、と思い、面白くて他も読みたいと思って彼女がその名を知らない鳥たちを読み、
非常に寡作な人だということ、僧侶の経験があるなどを知り、ユニークな経歴の人だなと思った記憶がある。
さて、本作「痺れる」。
短編集だと知って、あれだけダイナミックな作品の人の短編はどうなのだろうと手に取った。
私は基本、本を読むとそのイキオイに任せて感情のだだ漏れを文字にするのだが今日は、少し趣向を変えてこの作品を見てみようと思う。
まず、読み終わって感じたことをできるだけ端的に表してみたい。
【九作品全体を通じて】
短編になった分だけ非常に筆者の描写が行き届いているのを感じた。
もちろん最近賞を取るなどしている自信が筆力を上げていることもいなめないだろうが。
とにかく日常のありふれた光景に対する情景描写の鋭さたるやハンパない。
地の文章に酔わされて、実際の情景やシナリオが多少、ありきたりでも目をつぶれるくらいである。
ありきたりを非日常な芸術的表現で再構築するという手法が、今回これらを作品として成立させたのではないだろうか。
どれを漢字にしてどれをひらがなで残すか、句読点、すべてが完璧にオーケストレーションする、文章は壮絶なまでに美しい。
ちなみにどの作品もその低体温な文章にくるまれているのは、劣等感と苛立ち、飢餓感、渇き、狼狽である。
はらりと文章の隙間からマグマのように滾るマイナスの熱。そのコントラストにあてられる。
【印象に残った作品&表現ピックアップ】
レイピスト:例えばこの表現はどうよ。なくてもいい描写にも見えるのにこの細やかな表現が、じわじわと効いてくる。
<引用>すがれた雑草の貧弱な穂が風に揺れ、向きもばらばらに乗り捨てられた車のウィンドウは、虚ろな闇をたたえた幾つもの水槽みたいだ。<引用>
不倫による女性の怨嗟と空虚感でたっぷり満たされた作品。臨界点ぎりぎりの多恵子はいつしか、向かいようのない想いをレイピストへと転換する。
いつしか多恵子の方がモンスターになっているのがはっきりわかる、ホラーな作品。多恵子の突き上げるようなくらい情念が文章からにじんでくる。
表面張力でぶるぶるいってる多恵子の感情。もう一押しでほら、溢れる。
あなたもほら、こういうところあるでしょう?と見透かされるようなほのめかしどころか、
ぐいぐいと作者は醜さを口の中に突っ込んでくるので、読みながら嘔吐いてしまいそう。
ヤモリ:ストーリー自体はもう、よくあるある。でも、やはり言い回しなのか。しかしこのオトコ、すげー馬鹿に見える。
<引用>私はカタカタと震えながら言葉を探した。<愛している>という、そんな漠然と大雑把な言い方ではなくて、<愛>に含まれる感情の、
具体的な種類をきちんと表現する言葉。どんなふうに惹かれ、どんなふうに必要とするのか、なぜ惹かれ、なぜ必要とするのかを、
オサムと自分に正しく理解させるための言葉。<引用>
この表現はもしかしたら、作者の素の言葉なのかもしれないと思った。自分の感情を本当に正しく伝えるには、時に言葉は非常に曖昧だ。
愛している、そんなたった1つの表現で、ウソも誠も至上の愛も安っぽいその場限りも、くるんでしまおうとするにはこの人はあまりに、繊細なのかもしれない。
沼毛虫:ちなみにこのタイトルにするにはもったいないくらい、極上の素晴らしい話だと思う。贖罪だとか秘めた恋だとか不埒さだとか、
いろんな要素をたたえつつ、最後の一文で、どん、とホラー色に塗り込められる怪作。あたしの個人的ベストワン。
<引用>物置の跡地に植えた桜は毎年の春に、枝に噴き上がるほどの勢いでスミちゃんの怒りの凄まじさを咲かせた。<引用>
かと思うとこの作品集には、TAKO、普通じゃないのようにちょっとユーモアもある作品も混じっている。
どれかひとつを短編集のタイトルとして引っ張らずに全体の雰囲気で【痺れる】としたというけれど、
あたしだったら例えばそんな曖昧な一言じゃないほうが良かった気もするなぁ。
かといってじゃ、なに?って聞かれたら、困っちゃうけど。
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夏だし、涼をとるつもりでホラーの短編集を読み始めたんだけど、う~ん怖さの質が違ったな~。やっぱりお化けより生きてる人間のが怖いよね。
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身の回りに起こりうる日常を扱ったちょっとしたホラー短編集。、全編に渡り“独り身の女の寂しさ”をテーマとした話で、読了後はなんとなく悄然とする。
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ぞっとするのもあれば、どよーんとするのも、不謹慎にも笑ってしまいそうな話もあり、一気に読み終えました。でも他の作品を立て続けに読むのはしんどいかもしれない^^;
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沼田まほかるの痺れるを読みました。
女性たちが主人公の怖い短編集でした。
恐ろしい過去を隠しているため正気を失いつつある女性が主人公の「林檎曼荼羅」では、その女性の視点から見たゆがんだ世界が克明に描かれます。
普通に暮らしている女性が遭遇する事件を描いた「テンガロンハット」では、奇妙な男性につきまとわれてしまう女性の困惑が描かれます。
自分の立っている地面が底なし沼に変わっていくような、きもちが悪い、しかし頭の隅に残ってしまう物語たちでした。
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短編集。沼田まほかるファンとして、読みました。良く出来ていると思うけど「9月が〜」「彼女が〜」の衝撃が強過ぎたので、気軽に読みました。
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好きなお話はヤモリ、沼毛虫、エトワール。
いい意味できもちわるくて魅力的でした。
長篇にも挑戦したい。