サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

古井由吉自撰作品 2 水 櫛の火 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー1件

みんなの評価5.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

小説だけに許されるその小さな奇跡

2012/12/30 10:54

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

全共闘運動華やかなりし頃は、政治思想の共同体の内部やその周辺で、メンバー相互の性的な共同性がアメーバのごとく緩やかに拡張されていた。それは戦前の日共細胞のハウスキーパー制度ほど固定的なシステムではないにせよ、同一の教理や思潮を信奉する仲間たちの間には、所謂フリーセックスにまでは至らなくとも、ある程度の性的親和性をお互いに交わし合う自由な風土というものが自然に存在していたと思われる。

 本巻に収められた「櫛の火」は、ちょうどその時代に青春を散らした主人公のその後の白々しいまでに荒廃した生の軌跡を、二人の女性との性的、実存的交渉をつうじて赤裸々に描き切った大作である。

バリケードの中のノンポリ過激派四人組の紅一点弥須子に突然死なれた主人公は呆然自失のまま大学を中退しリーマンに転身するが、そんな彼の耳朶を撃つのは「また抱かせてあげるね」という弥須子の最期の一言だった。

やがて主人公の前に登場する年上の人妻柾子の生に行き悩んだ挙句の性的波乱を著者は舌なめずりしながらこれでもかこれでもかと執拗に描写する。一本の筆を以て一人の女の実存を捉えきろうと真正面から挑む著者の異常なまでの努力は、小説の最後の最後でついに酬いられ、読者は究極の愛によって結ばれた二人の姿がとうとう血と肉を得る。そして小説だけに許されるその小さな奇跡を目の当たりにしながら、彼らの明日に幸多かれ、と祈らずにはいられないのである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。