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エマージング、アジア諸国、地域への日本からの輸出の大部分は円建てで決済されている
日本の個人投資家は投資信託を通じて、ユーロよりも遥かに大きく、米ドルに匹敵するほどブラジル・レアルの為替リスクをとっている
FXではブラジルレアルは取引できない。替わりに日本人に人気があるのは南アフリカランド。南アフリカランドの一日の取引高は5700億円程度だが、その1割強が日本の個人投資家のFXで占められている。
最近はインドネシアルピア、トルコリラに人気がある。
巨額の円売り介入の半分以上が個人投資家による円買いによって吸収されてしまった。
エマージング通貨の方向性を決める最も重要な要因は全般的なグローバル投資家のリスクテイク志向の動向である。為替相場では一般的に、投資家のリスクテイク志向が強まると、米ドルや円などの低金利通貨で資金調達して、高金利通貨や一次産品輸出国通貨、エマージング通貨に投資する動きが活発化する。反対に、投資家のリスク回避姿勢が強まると、こうしたポジションの巻き戻しが生じる結果、高金利通貨、エマージング通貨などは米ドル、円に対して下落する。
グローバル投資家のリスクテイク志向が強まる際には、エマージング通貨は主要な資金調達通貨である米ドルや円に対して全般的に上昇する。その上昇幅は、介入姿勢が相対的に弱い中南米・中東欧通貨が大きくなり、介入姿勢が強いアジア通貨は小さくなる。一方、投資家のリスク回避姿勢が強まる際には、エマージング通貨は対米ドル、円で全般的に下落し、下落幅は中東欧・中南米通貨の方がアジア通貨よりも大きくなる。
成長率と通貨のパフォーマンスの関係は、むしろ逆相関(成長率の高い国の通貨の方が相対的に弱い)となっている。
インフレ率が高い国ほど介入姿勢が弱い
相対的に国内のインフレ率が高い国では、自国通貨の高め誘導を行ってインフレ圧力を抑制するインセンティブが強くなりやすく、国内のインフレ圧力がそれほど高くなく、輸出に対する依存度が高い国では、自国通貨の弱め誘導を行うインセンティブが強くなる
常に売り圧力に晒される経常赤字国通貨
常に自国通貨売りに晒されている経常赤字国にとっては、自国通貨安を志向することは大変リスクが大きい戦略となる
経常黒字国では国内に投資資金が入って来なくても通貨が急落してしまうリスクは経常赤字国に比べて小さいため、通貨安誘導を行いやすくなる
人民元取引拡大を阻んでいる大きな障害は、東京市場における人民元と円の直接取引市場の不在ではなく、既に述べた人民元取引を巡る様々な規制や、利便性の低さであると考えられる。
将来、人民元の柔軟性が大きく高まり、その大幅な上昇が許容されるようになった場合には、今までとは反対に、エマージング通貨全面高の局面でアジア通貨がアウトパフォームすることになる可能性高い
韓国政府は、国内の農業部門の猛烈な反対にもかかわらず、強固な政治的リーダーシップの下で自由貿易路線を突き進んでいる。韓国は、最終的には米欧中の3大経済圏とのFTAを締結することにより、世界的な自由���易のハブとなるという野心的なビジョンを明らかにしている。
インドは中国を13年遅れで追走
インドが現在の中国のような経済成長を遂げることになるのは、2015〜20年ごろ
懸念材料は、中所得国の罠・・・低所得国から高所得国に突き抜けることができないで、長期的な停滞に陥ってしまう状況
工業製品を輸出するブラジル企業にとってはレアル高は大きな打撃となっている
ブラジル国内では輸出企業の利害を代表するロビイストが強い影響力を持っている
これまでブラジル一極集中だった日本の個人投資家による高金利エマージング資産への投資需要は今後は、トルコ、南アフリカ、インドネシアなどその他の国にシフトして行く可能性が高い
南アフリカランドは完全に交換可能な通貨であり、為替管理ないし資本規制がなく、変動相場制の下で取引されている。
FXを通じて保有される南アフリカランドの規模はエマージング通貨のなかで最大である
日本の個人投資家からの南アフリカランド建て売出債への投資需要は再び増加していく可能性がある
ロシアは、米ドル55%、ユーロ45%で構成される通貨バスケットに対するルーブルの為替レートを一定の範囲内に誘導する、管理フロート制を採用している。
完全変動相場制を採用している先進国にとって、為替レートは基本的に所与の要因である。それに対してエマージング諸国・地域は、為替レートを経済政策のツールとして用いている。
EMU参加のメリット、デメリット
EMU参加以前のギリシャがギリシャドラクマ建ての国債を発行して財政資金を調達するのと、EMU参加後にユーロ建てギリシャ国債を発行するのでは、後者のほうが遥かに容易に資金調達を行うことが可能であろう。一方でメリットは、通貨政策・金融政策に対する自律性を喪失することにより、景気が低迷しても通貨の切り下げによる輸出の振興や利下げといった手段をとることができなくなること
エマージング経済全体として見れば、ユーロ圏債務危機のネガティブ影響は懸念されているほど大きくないと考えられる