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人事労務管理というのは、これまで体系立てて整理された本はなかったかもしれない、そんな気持ちになりました。
基本であるために見過ごされてきた気がします。マネジメントやリーダーシップという言葉に目が移ってしまい、基本を疎かにはできません。
我々には、自らよい社会を作る責任と義務があり、社会の大部分を占める企業活動において、各個人が信頼関係をもって働けば、社会もよくなる、キーマンは上司。著者の言葉は決して大げさではなく、真実なんだと思う。
その個人の積み重ねで社会は構成されている。自分でできることから始める、そこに尽きるということではないでしょうか。
上司と部下との信頼関係
「お互いのことを認め、より深く理解し、共有する目的のために助け合いながら働き、成長できる関係」
上司の人事労務管理能力
「人事労務管理に関する知識と実践をもって、部下との信頼関係を築き、個人と組織の成長に貢献する力」
要素①「知識」(総務・人事部門ほどの専門性は要求されないが、職場で必要となる人事労務管理に関する知識)
要素②「4つの実践力」(部下との信頼関係を築き、部下と組織の成長に貢献するために求められる4つの実践力」
→観察力・傾聴力・承認力・対話力
上司に必要とされる人事労務管理力の知識
採用と配置、人事評価、賃金、昇進・昇格とキャリア形成、育成労働時間、休日と休暇、健康管理、服務規律、退職・解雇
上司の観察力
・部下の行動やその変化を注意深く見て、その小さな事実を具体的にメモ・記録する実践力
・部下はなぜそのような状態になったのか(言動をとったのか)、その浦井はどんな事情が隠されているのか想像する実践力
上司の傾聴力
・部下の話に先入観をもつことなく、共感しながら最後まで聴き、その言葉に隠された真意を聞き取る実践力
上司の承認力
・部下の能力や価値、行動の事実、存在自体をそのまま伝える実践力
・部下に期待・信頼を伝えること、仕事や役割を与える(叱ることなども含む)実践力
上司の対話力
・部下と真剣に向き合い、部下の意見に耳を傾けて聴き、対立点があれば話し合う。部下との合意点(前向きな妥協点)を探る。あるいは上司と部下が気づかなかった新しい視点(選りすぐれた考え方)を発見する実践力
・問題意識や目的の共有化をはかり、上司と部下が納得のいくベストな解決策を見出すためのWIN-WINのプロセスを共有する実践力
<この本から得られた気づきとアクション>
・人事労務管理力は基本であるがゆえに、重要視されていない面もあった。この部分を見直すことで組織内の状況は変わるかもしれない。
・自分も制度をこの本に従って再確認したい。
・すべての上司の人事労務管理力の発揮が運命を握る、この著者の言葉は決してオーバーではない。自分の組織にも根づかせるべきだ。
<目次>
序章 腹心に裏切られた社長―会社の危機と見事な復活
第1章 慢性的な持病を抱える日本の会社
第2章 痛手となる人事労務管理の��慢
第3章 職場を救う上司の「人事労務管理力」
第4章 ダメ上司と言われないための知識
第5章 上司の観察力―小さな事実をメモ・記録する
第6章 上司の傾聴力―真の問題やその原因を理解する
第7章 上司の承認力―自己効力感を高める
第8章 上司の対話力―ベストな解決策を導く
第9章 部下との本物の信頼関係づくり