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すらすらと読めて、でも心にひっかかる。切ない。タイミング的に「桐島、部活やめるってよ」を連想したけど、映画版「桐島」とこの作品なら私にはこの作品のほうが響いた。
このテーマで、時代のキーワード的な単語を多発しているのに文章が安っぽくないのは凄い。作者にすごく技術があって、かつ構成も綿密に練られてるのだと思う。
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実家(首都圏だけど郊外)で読了したからか高校時代までの甘苦い思い出が色々思い出されました。
3と6が比較的よかったかなぁ。
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出てくる固有名詞達が俗っぽくて、それでいて良い所をつく!
大森南朋をチョイスするなんて、ナイス
どの話にもちょろっと出てくる椎名くん。彼の人生だけが学生時代から今に至るまで書かれている
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同世代で、地方出身で、作者の名前も他人事とは思えなかったので、思わず手に取りました。
べたべたしていなくて、それでいて切なくなるような文章に、好感が持てました。
私は結局東京にいるけど、地方にいる自分も容易に想像できます。言わば、どちらにも馴染めていない…こんな人も多いと思います。
でも、年をとるにつれ、そんなのは大きな問題ではなくなるんです。それもまた、淋しいことですね。
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あー、そうだったそうだった、と思いながら読む。
田舎の町で暮らす高校生が、ここは自分の居場所じゃないと思いつつ、悶々とじりじりと日々を過ごす感じ。
焦りと怒りにまみれて「あるべき自分」を夢見る。すぐにその夢は消えるのだけど。
けど、なんだろな、このすがすがしさ。
全章を通じて登場する椎名くんのどこにでもいる田舎のカッコイイ男の子っぷりのおかげか。
しかし、「ゆうこ」にはやられたな。
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地方出身の人にしか分からない、都会に対する憧れと、そこで見た現実に疲弊し、地元へ帰ってくる人々。
短編の中、物語の連続性の軸になるのは「椎名」という男性。
物語は進むに連れて、時代を遡る形。
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世代的にどんぴしゃで、色んな小ネタがわかるので面白かった。地方都市、郊外の若者の閉塞感とか、うっ屈した気持ちが伝わってくる。椎名っていい奴だけど本当どうしようもないな。でもどのコミュニティにも1人はいるような、そんな男子。この椎名をキーマンに、だんだんと時代が遡って行くのがいい。ファスト風土。運転免許。そうだよね~と思わせる話ばかり。
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タイトルから受けるイメージからすると、全く共感できなさそうで自分には合わないと思っていた。
しかし、思いもよらず面白かった。
冒頭の数編はタイトルどおりの人間模様で、長らく続く不況によるUターンが引き起こす
人間ドラマを現実的な言葉で綴っている。
僕は郊外にしか住んでいないので都心あたりに住むことと
田舎に済むことの両方が実体験としては全く無いので
どちらも遠くの出来事に見える。
遠くの出来事のように読んだ。
ただ、高校時代から20代半ばに差し掛かる辺りの
心の機微。
各々に流れる時間の流れの違い。
時間の密度や色が、みんな色彩が見事にセパレートされて鮮やか。
楽しかったこと。嫌になったこと。
諦めたこと。
憧れていたこと。
思い思いの気持ちの向きがバランバランで、それでいて
全部ひっくるめると溜息になる。
ため息ばかりじゃ仕方ない。
「ここは退屈迎えに来て」
なんてね。
僕は彼らと違う。なるほどと読みながらも違和感ばかり先立った。
僕も文化資産の継承が無いタイプで同級生の影響くらいしかなかった。
映画もよく見たが、もっぱら洋楽の目覚めから本格的になり
ハードウェアにも食指を伸ばしたがバンドはやらなかった。
David Bowieに傾倒してFixxも好き。
Brian WilsonやTodd Rundgrenのようなメロディメーカーに憧れた。
そういう芯を強く持ったわりに周囲の人間に拘らなかった。
だからこの本に出てくる人物のように
同級生にカッコいい子がいて憧れたが今は昔という破目には全くなっていない。
自分の至らなさを十分噛み締めていたから10代から延々と悩み続けていたので
登場人物のように卒業後や20代で進路に悩むということはあまりなかった。
常に懊悩していたので、特段改めて苦しいと感じていなかった。
この本を読んで自分のおかしな所に気づいた気がする。
この本の小さな物語だけど一つ一つがその人にとって大事なワンピースという形は映画やドラマにするには、かなり手を加えないといけない気がする。
マンガやラジオドラマのようなスタイルだとしっくりいくように思えた。
ラジオドラマはいい。あるいは朗読というのもいい。
悪いやつなんか居ない。むしろイイヤツばかりだけど
気が利かなかったり、金を稼ぐにはもう少しよりもっと努力がいるような奴らで、ダメな奴らだけど憎めない。
どうすりゃいいんだかわからない。
この先どうなるかわからない。
どうしていくかを考えよう。
考えながら歩くしか無い。
希望もないけど絶望するほど悲観でないし
そんなカッコつけ今更要らない。
たぶんそんな気持ちな本。
(景気さえ良ければUターンする人はかなり減ったはずで
この本に共感できる人も半減していた可能性は高かった。
もしそのような世界でこの本が出た時と
今のこの世界でリリースされている現実は
何処がどれほどズレるのだろうかという想像もま���面白く思える。
景気が良いという環境なら、共感されにくいが売れやすく、
景気が悪い今だと共感されやすいが、景気が悪いだけに売れにくい。)
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地方を描いた小説というのが一時期ブームになったが、この作品はそれらの小説群とは少々異なる体裁を持つ。地方にすむ女子のどうしようもない閉塞感、都会に対する奇妙なコンプレックス、そして性だ。R18文学賞受賞とあるが、それは短編集の最後の作品だけである。そしてこの最後の作品の出来がさすがに素晴らしい。このクオリティがキープできれば間違いなく本作は星5だと思う。「童貞力=妄想力」とはよく言ったものだが(一部で)、この作品では見事な「処女力」が披露されている。それが絶妙に笑いを誘う。
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世代はドンピシャで、出てくる固有名詞には「あ〜懐かしい!」という気持ち。『地方都市のタラリピンスキー』は構成も話も上手い!
ただ、自分自身がずっと都内で暮らしているからなの?地方の女性の気持ちに全然共感できなかった。「なんでそんなに卑屈なの?」と・・・私は松岡修造になって「もっと熱くなれよ!お前なら大丈夫だ!」て女の子たちを励ましてあげたい気持ちになった。
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地方都市に暮らす女を主人公にした8編の連作短編集。
登場人物たちがリンクしながら時代を遡る形で進む。
mixiやtwitterなどまさに今、流行っているワードがふんだんに出てきて、
物語の鮮度とリアルさを感じさせるけれど、個人的にその現実感がぞわぞわ居心地が悪い。作品の質とは関係なくこういうのは好みではない。
サッカーが上手くて、女子のあこがれの存在だった「椎名くん」がキーパーソンとして全編に共通して出てくる。
第1話の『私たちがすごかった栄光の話』では、高校を卒業し東京に出るも、30歳にもなったし、というだけの、特筆すべき理由もなく田舎に戻ってきた主人公が、青春時代の憧れの存在として椎名くんを登場させる。
しかし終盤に主人公は、地方都市で真面目に働く父親となり、面白みも尖った部分もなくなった椎名くんと再会する。
ここで完結する物語とは別に、
読者は『輝く青春の象徴的存在であったけれど、時を経てただの人になってしまった椎名くん』、という人を印象づけられる。
以降、椎名くんが登場するたびに、青春時代の輝きとやがて平凡な大人になることの切なさを同時に感じさせる効果がある。
2話の『やがて哀しき女の子』は人物描写や視点が好きで、
3話の『地方都市のタラ・リピンスキー』は意外な仕掛けがあり、また物語としても一番濃度が濃かった。
が、4話以降がイマイチ、合わない。
なんでだろうと考えたら、最初の3編は夢と希望に溢れていた過去と、理想とは程遠い現実の差とその痛みをキリキリ描いているのに、
それ以降は主人公の年齢が下がり、何をしなくても楽しく輝いている大学生、高校生になってしまって、苦味が決定的に足りない。
若い頃は悲しみも苦しみも凶器ではなくスパイスだろうと思ってしまう。
加えて物語性も高くない。
だから後半は満足度が下がってしまった。惜しい。
ただ、たぶん私はもう青春から遠ざかった立場だからそう感じるのであって、青春まっただ中にいたり、逆にずいぶんと年をとって、理想と現実の落差とか挫折とかもまるっと飲み込める状態だったら感想は変わったかもしれない。
都会で生まれ育った人もまた感想は違うかな。
人と感想を話し合うのに向いている作品かもしれないと思う。
http://www.horizon-t.net/?p=864
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地方から都会に出てきた人たちの人生の物語。
『地方都市のタラ・リピンスキー』
「あの人は自分を見下していたのか。今自分がこいつを見下してるみたいに」
的なことに突然気づく主人公が切なすぎる。しかしとってもリアル。
彼女にはこれからがんばってほしい。
好きな人が普通になっちゃってたというのは、
実際あったら衝撃大きいだろうなあ。
同じ時間が自分にも流れているわけで…。
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確かに思春期はこんな倦怠感も感じてたなーとしみじみ思う本。今でも感じるんだけど。
幾つかの短編が連動してる本って好きだなー。
あと一番驚いたのが登り棒ね。うそやろってなった。
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20歳以降の地方での生き方が、それぞれの創意工夫を必要として、それがないと「まどろみ」の中で繰り返す毎日を送り、なんとなくの後悔の中で生きていく事になる、という感じ。
学校という用意された空間に、6,7歳で入り18−22歳くらいで出ると、そのあと多くの人は「自滅」していくんだなぁ、とあらためて思った。
といっても、暗いばかりの内容ではないし、暗いと言うよりは胸を締め付けられるものが多い。
でも、最後の「16歳はセックスの歳」の、主人公と友人のバカっぽいやりとりは好き。
あのまま成熟はできないのかしら。
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―――私はあなたの運命の輪の一つかもしれない。―――
片思いされたりナンパしたり忘れたり兄だったり結婚したり援助交際したり…
学生時代に人気者だった「椎名くん」を
いろんな女の人生から読み解いていくお話。
田舎という地元に残った彼が、ここにも、あそこにもいる。
1)「私たちがすごかった栄光の話」
椎名くんとの栄光の過去(青春ベストエピソード)を持つ女2人の忘れられた話。
2)「やがて哀しき女の子」
栄光から挫折を経た美女と、その友だちの話。
3)「地方都市のタラ・リピンスキー」
ゆうこと椎名くんの話
4)「君がどこにも行けないのは車持ってないから」
椎名くんを好きだった女が椎名くんにされたことを無意識に別の男にしている話。
5)「アメリカ人とリセエンヌ」
アメリカ人の親友の話
6)「東京、二十歳。」
妹の話
7)「ローファー娘は体なんか売らない」
ちょっと風変わりな援助交際の話
8)「十六歳はセックスの齢」
淫夢に勝る好きな男の夢を見たかった親友の夢の話。
とくに、3と8は名作のにおい。
不遇の時代を経て初の単行本らしい。
おもしろかった。