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精神科医の斎藤さんが、発災後の自分の発言をまとめた本。
こういう本をまとめると、発災後に興奮して「ピンチはチャンス」とか、「TPPには反対」とか発言したことが、第三者にもわかってしまい、かなり著者にとっては恥ずかしいことだと思うが、その当時の興奮した感情を反省する意味がある。
その機会を与えてくれる本としては価値がある。
その他、なるほどと思った点。
(1)東日本大震災では、いわゆるPTSDの患者よりも、従来から精神科医にかかっていた精神病患者の対応、たとえば、てんかんとか、統合失調症の対応がおおかったこと。(p87)
(2)阪神・淡路大震災のときは中井久夫先生という精神科医のヒーローがでたが、今回の震災ではそういうヒーローはでてこなかった。もはや、災害時の精神医療はある程度成熟化してきている。(p199)
(3)こころのケアチームについて、厚生労働省が統一的にコントロールしようとしているが、これは絶対にまずい。(p187)
今回の震災では、医療関係者から問題を厳しく指摘する声というか、厚生労働省、医師会のルートがうまく機能しなかったという指摘が多い。医療関係者の方々、もう少し実態を教えていただけますか。
災害法制の面でも対処する必要があると考えていますので。
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Japanレポート3.11 http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4896423860の隣にあったからついでに借りた。久しぶりの斎藤環。
精神科医で被災地出身者でもある著者が、その頃に書いたもののまとめ。
最初のほうをちょっとだけ読んだ。
いけすかない。浮足立ってスカスカしてる。
たとえば、アンケートでは努力が報われるとは限らないという「悲観的な見方」をする若者がたくさんいる。日本の成長と自分の成長期が重なった「自分たちバブル世代」は無根拠な自信を持てたけれど、30代以下の若者はそういう自信を持てなくて「不幸」。これはひどいことだけれど底打ち状態は若者にとってよいこととも言えるよ、という部分。
え?これ「悲観的」なの?現実的じゃなくて?無根拠な自信って散々「肥大化した自己」だの「幼稚な万能感」だの言われてるやつじゃないの?
無根拠な自信をもったことでバブル世代は何を成せたの?
と、不快になった。
けどよく考えたら前書きで、「自分自身もパニックだったから変なこと書いてる部分もあるけど、それも含めて当時の状況だからほとんどそのまま収録したよ」と書いてあったわ。
とにかく希望を見せなきゃという思いが空回りしてしまった時期だった。そういえば。
とはいえ今あんまり調子が良くないのでげんなりしてしまったから続きは保留。多分読まないかな。
手に取ったのが別のときならもっと読めたかも。
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斉藤環『被災した時間 3.11が問い続けているもの』中公新書、読了。震災から1年にわたる著者の時評を「あえて」手を加えず収録した一冊。著者の言説の紆余曲折や所論への賛否は承知ながら、今の私は、何をどう考えてきたのか--という軌跡を確認する、省察の推移を確認する営みは一人一人に必要ではないかと実感。
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3月11日の大震災直後から
心理カウンセラーの斉藤環が書きつづった
さまざまな記事を
もう一度、まとめて一冊にしました。
あのときの社会の状況がわかり、
みんな騒然としていたんだな、
とあらためて思いました。
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阪神淡路大震災の復興計画ぎ完了したのは、2011年だったということです。復興までに、実に16年の歳月を要したわけです。今回の震災は、復興に最低でも30年、いや原発問題を絡めたら、40年という期間が必要になるでしょう。しかも、その間にほかの災害が襲ってこないとは限らない。そうしたことを考え合わせると、私の残りの人生はもう、ずっと被災期間が続くというつもりで生きていくほかはない。