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テレビで話しているのも聞いたけれど、演劇は言いたいことありきの人と、面白いからやっている、作っているという人がいると言う。どちらがいいという話ではなくてどちらもいいのだけど、自分としては後者の作るもののほうが面白いと思う、という話だったと思う。それを、もちろんお芝居を見ていても思うことがあるけれど、本を読んでいても、ああ、そういうことか、と思うことがある。
この人はこれが言いたかったのか、という箇所に気がついてしまうと、すっと冷める瞬間がある。テーマが勝ちすぎててうまく楽しめない、と思うことも特に最近よくある。伝えたい気持ちが強すぎると、ぎこちなさが出やすいのかもしれない。形が整いすぎているのもだめだ。偶然性や勢い、なにか迸りのようなものがないとなにかを受け取り損ねるような。
そのなにかは、もちろん一言で言えるようななにかではなく、見終わったり読み終わったりしたあとに傍らに置いて、ふとしたときに蘇るものであったり、共感したり考えたりできるもの。
名言にも文脈がある。いいとこどりみたいな読み方じゃなく、簡単にわかったように思うわけでもなく、その文脈ぜんぶを受け取れるように作品に触れたい。私は言葉を紡ぐ人ではないから、なにかそういう豊かな受け取り方をしたいなあと思う。それはとても幸せな体験だから。
これも、大事に読む。野田さんの話はとても刺激的だ。作品を追いかけ始めてもうずいぶんになる。ずっとみてこれたことを幸せだと思う。