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川上未映画 子さんの作品は、彼女の文体が好きか嫌いか、読めるか読めないかで、作品の有無も決まってしまうと思うの。
そして川上さんの紡ぐ文字って常に進化してる。この作品は初期の乳と卵以前の彼女が紡いでた文字とも違うし、比較的読みやすかったヘヴンやすべて真夜中の恋人たちとも違う。まぁこれは小説でも随筆でもなくて、詩集とも少し違う気がする。なんなんだろ、と考えたけどこれはもうカテゴリーにはあてはまらない新しいなにかであって、川上未映子っていう新しいジャンルだとおもうのです。
だから冒頭にも書いたように川上さんが好きか嫌いかで評価が割れるのでは。
ちなみにわたしは乳と卵以前の、ぶっとんでる感じの川上さんさんの紡ぐ物語が大好きで、年々川上さんの文字の変化についていけず置いてけぼりになりそう。けれど不思議な文字の組み合わせとリズムは変わらず、歌うような文字たちはやはり美しいです。
いくつか読んだことある話はあったけれど、好きなのは、バナナフィッシュにうってつけだった日、かな。
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川上さんの中からあふれてくる言葉を、翻訳ソフトで日本語にするとこんな感じになるのかな。すごいリズム感。小説というより音楽みたい。作家本人によるポエトリー・リーディング(しかも関西弁で)だったら最高かも。行間を深読みするより、音楽のようにただ身体を通過させるだけでいい。
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少女である短く儚い時間。その青白さ、不気味さが味わえる表題作を筆頭に、さまざまなかたちをもって出現する少女たち。もちろん、概念としての少女も含まれる。この手の本によくある媚びたロリータ性は皆無なのでとても心地が良かった。
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ことばであらわせられないものなどなく、
ことばになった瞬間に、それはすでに存在してしまう。
そのことはまるで、すべての始まりに神様が、言葉だけで世界を創りだしたのに似ていると言ったら、それはちょっと言い過ぎか。
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ことばのひと。
川上さんの紡ぐ言葉が大好きだ。
「治療、家の名はコスモス」が「わたくし率イン歯ー、または世界」にとてもよく似ていると思ったら、案の定。
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詩と小説の間くらいの短篇集。
「無数の卵」ならひっかからないものを「卵の無数」とされて言語感覚が乱れる。さらりと流れるようでがしりと掴んで離さ、そんなリズム。
改行が一切ないのはなぜ。
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新作を楽しみにしていた。ドキドキしながら本を開く。あ、短編集だったんだ。しかし川上氏のつづることばは、こういった、秘密の、自分だけのドキドキ感とか、そういったものがとめどなくあふれてだしてくる、とひとつ、表現できる。まさに一度あけてしまったら、とめることのできない水のように、砂のように。特に本のタイトルの『水瓶』のおはなしの、そのすべてのすべてのすべての…ためこんだ今流れ出した少女の抱える重みは、世界に置き去りにできるのでしょうか。
あ、でも個人的には長編読みたいです。
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装丁は表題作である水瓶とマッチした透明感で、未映子さんの作品でなくても手に取っていた気がします。
内容を説明するのがここまで困難な作品もあまりないように思う。ストーリー性とか登場人物のバックグラウンドとか、とにかくそういう小説的な要素はないので、好き嫌いが極端に分かれる作品かも。
言葉を文字として認識して、その意味を考えても意味がないというか、リズム感や、声に出した時の音としての言葉の在り方に重きを置いているのかなと。
未映子さんの頭の中、感性を覗き見ているような感覚に、すべて真夜中の〜の「そっと爪先を入れてゆく思い」を体感した気がした。
彼女の中から飛び出してくるものがそのままひとつの作品になったんだと思えば、コンピューターの翻訳機を介したかのような言葉の羅列も叙情していく不思議。
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川上未映子さんの詩集のような、小説集。
むずい、なんやろうかこの本は。めちゃくちゃ不思議な世界観で進んでいく。
次々と言葉がつむがれていく、こういう文体はきれいなんやろうけど、自分にはまだわからなかったです。
印象的やったのは、141~147ページが圧巻でした。
こういう本もあるんやな、という、そんな感じです。
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家族でホットケーキを焼いては積み上げて3年。台所が点に見えるほど。ベットからはみ出して床に広がる大きな舌や頭に刃がついた赤ん坊など、文字でしか表現できないような世界です。
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川上リズムですな。
リズムだけで意味のない文章って書く時はどうしてるんだろう。
思い付くままに一気に書くのか、それとも韻を踏むようにじっくり考えるんだろうか。
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薄暮という言葉がくりかえしくりかえし
標準語でのテンポもよろしいがやはり関西の言葉でのテンポがよかっただけに
少し消化不良 標準語は突き放されるね
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川上未映子さんの久々の詩集。前作の詩集とは趣が異なっているように思う。寓話のような要素、親しみやすさ、優しさが増している。”わたしの赤ちゃん”のように、それまでの作品には無かった母性もある。妊娠•出産という体験がその変化をもたらしたのだろうか。そういった点も含め、女性という性を強く感じた。
”バナナフィッシュにうってつけだった日”の老女と”水瓶”の少女の無邪気さと痛みの対比が印象深い。
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失われた郵便の、だれにも考えられていなかった夏のこと、少女が16度目のその空をみつめればみつめるだけ、それは本当のことになりはするけれど少し奇妙に比べているの、それは鎖骨と鎖骨のくぼみの庭に、いつからか埋まるようにして浮かんでいる水瓶を逃がしてやらねばならないある朝だった、青く向こうがみえる透明の、その水瓶がどこからのだれからの贈りものか厄介ものかはわからない、少女の全方位の成長といっしょになってそれがおおきくゆれるたび、肌理が、世界が、熱がゆれ、あふれてしまうことがこわかった、保護区、運良く、少女は午前11時きっかりに家を出て、バスを選んでバスにのって、水瓶を置き去りにするために、6年ぶりに渋谷へでかける。
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仕事で疲れ、家庭に安らぎが無い、中年サラリーマンには響かなかった。気持ちに余裕があってこそ、奇妙な夢のような世界観を読み取れるのだろう。