投稿元:
レビューを見る
サラマーゴは自分のことを
「本質的にエッセイストだが、エッセイの書き方がわからないから小説を書いている」と、言っていたそうだ。
『白の闇』は天性のストーリーテラーとして、ドラマティックな展開に目が離せなかったが、『複製された男』は『あらゆる名前』がそうであるように、哲学的な考察がところどころに散りばめられている。
その反面として、前半は盛り上がりに欠けて、少々退屈だった。
が、後半、瓜二つの男たちが出会ってから一気に読んだ。
細部までまったく自分と同じ肉体をもつ、もう一人の人間・・・。
自分の唯一性を奪うような他人はやはり『敵』なのでしょうか?
最後のシーンの決然とした主人公が印象的だった。
家族や友人、身の回りの社会を守ってこそ、アイデンティティは保たれる、彼の決意にそんなことを感じました。
何度も読み返したい作品。
投稿元:
レビューを見る
文字通り、自分と瓜二つの人間を見つけてしまった人の苦悩と破滅。
日々に倦んだ中学校の歴史教師が、ある日、偶然見た映画に自分と完全に外見が一致する俳優が出演するのを見つける。苦悩の内にその俳優の正体を突き詰める主人公は、徐々に破滅へと向かっていく・・・。
本書のテーマは一言で言えばアイデンティティだろうか。
完全に外見が一致する人間が現れただけで、その本人だけでなく周囲の人にとっても、一瞬にしてその人のアイデンティティが泡のように消えていく。そんな恐ろしさをまざまざと見せつけてくれるなかなか恐ろしい小説。
サラマーゴ独特の語り口は、『白の闇』の時よりさらに奮っていて、厳密を旨にした回りくどく長ったらしくも直截的な文章は、堂々巡りをする主人公の思考・そして負のスパイラルにはまり込んでいく登場人物たちの運命に、読者をも引きずり込む力がある。
ミステリ調に書かれた本書は、テーマ性もさることながら、次の展開が気になって最後まで熱中して読める、良質な小説であることは間違いない。
投稿元:
レビューを見る
自分が自分であることと、それを証明する言葉のあやにはどれほどの意味があるのだろう。ましてや、自分と「全く」同じ外見の人間と出会ってしまった時、人はどうすれば自分であることを証明できるのだろうか。言葉の難しさ、自分が自分であることの危うさを、サラマーゴ特有のアイロニーの中で描いた小説。退屈せずに最後の章まで読み切ることを強くお勧めする。
投稿元:
レビューを見る
とにかく読みづらいのです、印刷のせいもあるのですが、文字間も行間も詰まってるうえに、改行なし、セリフも情景描写も構わずベタ打ち状態なので、シーンの切れ目も掴みづらく飛ばし読みも難しい状態です。
映画を見ているので大筋は分かっているのですが…
投稿元:
レビューを見る
【由来】
・チョムスキー 戦争のからくり P201
【期待したもの】
・
※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
・
【ノート】
・
【目次】
投稿元:
レビューを見る
映画版が好きで何年も繰り返し観てるんだけど、何度観てもやっぱりわからないところがあるので、原作ってあるのかな〜と探して読んでみた。
1ページに改行なしでみっちり並んでる文字にはじめは戸惑ったけれど、やっぱり面白い!
そして映画版よりわかりやすい。
何か重要なことが起きたときも、くどくど説明せずに一言で済ますので、人の死もあっさり伝えられるところが独特で好き。