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横山秀夫の警察小説の中でも圧巻の出来。過去の誘拐事件からつながる現在を軸に、県警の広報官の視点で物語が動く。記者でもなく刑事でもなく、広報官というのがミソ。横山秀夫はこういう警察の脇役的な立場の人たちを主役にする技量がすごい。いろいろな伏線が張られ、いろいろなエピソードが展開するが、最後は大団円。お見事。
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今年の新刊の中では最高に面白かった作品!
さすが横山秀夫さん。
一時期、病気療養でずっと新作が出てませんでしたが、
この『64』は久しぶりの新作、期待に違わない面白さでした。
横山さんの作品にしては、登場人物が多く、
細かい組織の設定、ルールなどの描写も小難しく、
主人公は「警察署の広報官」という何とも地味なポジションで、
序盤はとっつき難かったのですが、
中盤、後半にかけての展開はスピード感を増していき、
最後にうまくまとめてました。
もちろん、ハッピーエンドとはいかないのが横山さんらしいところですか。
この人の描く登場人物達はとにかく追い込まれます、
冷静に第三者から見れば、なんでもないことなのに、
警察組織にいるが故、もっと言えば、仕事人であるから故、
分かりやすく言えば、サラリーマンであるから故、
しがらみや、人間関係や、利害関係に巻き込まれて、
苦悩していきます。
最後に守るべきものは何か、人間関係、プライド、矜持、家族?
いやー、こういう一冊に遭えるから読書はやめられないと、
痛感する一冊、
中間管理職、特にオススメ
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物語の序盤から、様々な伏線(候補)が積み上げられ、
最終盤で崩されて残った本当の伏線に導かれた結末は、
展開としては、多少強引だけど、納得感のある結末でした。
600頁オーバーのボリュームでも、読み止らずに終盤へ。
物語の先読みをさせない、意図されたブレた展開もあって、
終盤の直線的なスピード感には、相当興奮させられました。
D県警シリーズは、これまで異色感のある短編集でしたが、
初の長編となった本作は、「陰の季節」とも対を成す
横山さんの代表作にもなりうる作品だったと思います。
横山さんは、「半落ち」の一件もあり、
今後、直木賞を取ることは、恐らくないでしょうが、
ボクの中では、今年読んだ小説のベストワンでした。
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本を手にすると、厚みがあってひるむかも知れませんが。読み始めたら、途中からは先が気になり、グイグイ引き込まれて一気に読了!
おもしろかった〜
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D県警、元刑事の広報官が主人公。
で、過去の誘拐事件が火元となって、県警内部が真っ二つの全面対決に。
横山作品を読むのは、いったい何年ぶりでしょ。
長く体調を崩されていたそうで。
あまりに長く待ったためか、どんな文章書くヒトだったかすっかり忘れ、作品に入り込んで馴染むのにすげー時間がかかりました。
にしても、まー長い。
終盤の急展開にたどり着く前に力尽きそうになりました。
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未解決誘拐事件、警務と刑事部の対立、地方と中央、広報官三上の脳内思考・推理そして妄想ばかりで、読んでるうちに嫌になる事もあるけれど、二転三転と思いがけない展開になっていくのは読みごたえあり。
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待望の横山作品。どんだけ待たせんのよ。
今回は広報官が主人公。またシブい設定です。記者相手に匿名を解除する場面に痺れた。蔵前のレポートに涙。
後半は怒涛の展開。本当に一気読みでした。
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D県警シリーズ
広報官の三上が組織とマスコミの板挟みにあい、翻弄される姿が大変で、読んでいる自分までもが息苦しく感じられるほど。
中盤までの迷路に入り込んでしまったかのような不安定な状況から、後半は色々なことが一気に進んでいく。
647頁、ダレることなく最後まで楽しめたが、惜しむらくはあゆみのことかな。
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いやー。いやいやいや。わりとやられました。この作者は『半落ち』でがっくりして以来敬遠していたのだけど、これは読まされました。好きな作風ではけしてないのだけど、それをそれとして置いてしまうほどには。
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サラリーマンならオモシロイと思う気がする、警察の内部組織の狭間で苦しむ係長の話。
警察の部署や階級が最初よくわからないものの、自分の会社の部署に当てはめてみるとすっと胸に落ちてくる。
それにしても本当に楽しみにしていた横山秀夫の新刊。クライマーズ・ハイの面白さに衝撃を受け、全て読んだ数年前。新刊はいつ出るんだろうと心待ちにした年月が横山秀夫に対する期待値を異常に高くしてしまっていたなと気づいた。
巷にあふれている警察小説よりは筆力は群を抜いて高く、ぐっとひきつけていくものの、クライマーズ・ハイ以上ではなく、こんなに待たせなくてよかったのにと思ってしまった。
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自宅ソファーで読了(16)
時間かかったわー。読み応えは十分。
同じ警察なんだから、仲良くしよーよ…な感想。
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確かに読ませる。が、正直、描かれている警察組織のセクショナリズムが現実感をもって理解できなかった。
まさにそこが著者の持ち味であるのだが。
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読了、95点。
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警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。
(「BOOK」データベースより)
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横山秀夫さんの久々の新作にして、私が読んだ横山作品の中(クライマーズハイのみ未読)で最高傑作と言える作品。
これまでは『第三の時効』が一番面白いと思っておりましたが、それ以上に興奮出来る読み応えのある作品でした。
これまでのレビューにも書いたかもしれませんが、横山作品の良さは、警察小説が殆どではありながら、基本的には組織の中で個人の在り方を、読者がこうでありたい、という形で描いている部分だと思います。
その点でこの作品は非常に良く出来ているように感じました。
横山作品では御馴染みの、警察内の刑事部と警務部の対立の中でどちらに肩入れするべきか、を自分の将来に対する願望と良心の葛藤の中で自分のあるべき道を見つけ出す部分はこの点が際立っており、
またそれが描かれる431Pからの一連の流れはその結末も含めて、自分もこんな風に仕事をしてみたい、というようなカッコ良さがありました。
作品終盤の展開に関しては様々な評判を聞いてはいますが自分としては、主人公の仕事を通しての展開から特に引っかかる部分もなく読ませて頂きました。
シリーズ作であり、他の作品でも登場人物が被っているということで、また機会があれば読み直したいと思いました。
追記
11/3、紀伊国屋梅田本店にてサイン会に行ってきました。
少しだけお話しさせて頂きましたが、5分と話してない人間がこういうのもおこがましい言い方ではありますが、非常に人当たりの良い方でした。
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7年振り、待ちに待ちに待った横山秀夫新刊…もう、お腹いっぱい、2012年ベストオブベスト!!!
今回は「広報官」。過去の作品で、ありそうでなかった設定かな?
娘が行方不明のまま、警務部と刑事部とマスコミの狭間で揺れに揺れる主人公を描いた小説です。
とにかく濃厚。例えば私は通勤の電車のみで1週間かけて読みましたが、7日間毎日心が震えるなんてことはまあ、あまりありません。
そしてそうやって細かな「大事件」をコンスタントに出しながら、最後には全ての伏線を回収するからくりを用意している様は、もう芸術!
表現は悪いですが、横山さんは普通の人を精神的に追い詰める描写がピカイチでうまい。
上からの報告が成されず、ただ防弾ガラスとなって罵声を浴びせられるだけの描写は見るに耐えず、震災直後の東電の記者会見を彷彿とさせました。
誰が善悪なんて議論は出来ず、記者は記者として追い詰められているし、警察は警察として事件を追う。
それだけなのに、なぜか全てが絡み合わず、三者三様に疲弊していく姿は何ともやるせない。
ただ横山さんの良い所は、そうやって誰が正義だとか決めつけない所。
だからハッピーエンドでなくとも、最後には登場人物みんなに愛情が湧きました。
期待をはるかに超えた新作。2012年大賞です。あぁーやっぱ大好き!!!
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横山秀夫の7年ぶりの新作。アマゾン予約にて読了。15日前の新聞広告にときめいての購入。発売日に届いた、待ちに待った作品。横山節健在。さすがに直木賞を蹴り放った憎い奴。
読ませたのはさすがだ。ただ、600pもある割には結末がドタバタ感があったのは、意外な点あり。あゆみは何処に行った?