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サンタクロース伝説(?)を追いかけて世界を旅したルポルタージュ。
おもしろそうな題材なんだけどいまいち乗れず、最初のほうだけパラ読みしてやめた。
たとえば「サンタクロース(サンタさん)」は架空のキャラクターだけど元ネタの聖人がいるよ、みたいなのって、誰もが知っている常識とはいわないまでも雑学好きなら知ってるだろうし、この時期のコラムなんかでもよく見かける。
実はこうだったのだ!と「発見」するほど珍しいものじゃない。
わざわざこうだったんだよ驚いたでしょうと語られると安っぽいバラエティ番組みたいで萎える。
わざわざ現地に飛んじゃうあたりはすごいと思うんだけど。
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「探検」と「サンタクロース」。思いがけない組み合わせだった。訪ねた場所にも思いがけない場所があった。そこもサンタと繋がるのか、という思いがけなさも。
サンタクロースが何を体現しているのかは、なんとなく思い及ぶところではあったけれど、人の思いは世界で共通するところが、やっぱりあるのだな、と思う。
探検が謎を追うことなら、私も探検に出られるのかな。
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聖ニコラウスという司教が、貧しい家の娘を身売りから救うために、その家に金貨を投げ入れたのがサンタクロースの始まり、というのは有名な話であろう。
著者は、イギリスでたまたま見つけた、サンタにまつわる歴史や情報を世界地図と共にまとめた冊子からサンタクロースの実像に興味を持ち、世界の旅に出た。
回った国は実に9か国。足かけ4年の顛末記である。
大まかに言って、聖ニコラウス信仰と、ヨーロッパ各地で民俗的信仰から伝わる伝統儀式の一つとして行われてきた祭りが宗教改革のあたりで混ざり合って、だんだん現在のようなかたちになっていったということらしい。
宗教的な面だけでなく、子孫繁栄や豊穣祈願の儀式の面も併せ持ったグレートファーザー的なサンタクロースであるからこそ、日本でも受け入れられたのだろう、とまとめられている。
だんだんとルーツに近づいていく様子はなかなか面白く、オランダのシンタクラースが移民によってアメリカにもたらされ、その後コカコーラの広告と相まって広く浸透していったとか、ラップ人のヨールプッキ、オランダのズワルト・ピート、オーストリアのクランプス、日本のナマハゲ、中国のマンガオなどの「怪物(来訪神)」の意味するところの共通点など、非常に興味深く読んだ。
また、いろいろ調べていく途中でメモしたという手書きの「探検メモ」が意外にわかりやすく、読みながら頭の中で情報を整理するのにも役立ち、いいアクセントになっていたように思う。
ただ、サンタクロース探求のノンフィクションとしても紀行文としても、どちらとして読んでも若干物足りない…。どちらが主眼なのか、どっちつかずな感じが否めず、そこが残念。
そして新聞の書評で見たときはクリスマス前だったのだが、予約待ちですっかり時期外れになってしまったのも、ね。
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【本書 あとがき より】
「常識」や「事実」といった客観性を追求することで、様々な物事を理解できると考えていた。
しかしそれだけではだめだ。
むしろ自分の体験にどっぷり浸かって、主観的に考えないとわからない。サンタにはそんな一面がある。
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「ザ・サンタ・マップ」を手に取り、聖ニコラウスの生まれ故郷トルコから始まった4年弱に渡る探検の旅は、
十字軍とともに欧州にわたり、ニューヨークそして北欧へ。
旅の途中で聖ニコラウスの流れだけではない、世界各地の冬至や生命の源に根ざした各地の風俗にまつわる怪物の流れを知る。
そこから旅は日本(秋田・ナマハゲ、神道・布袋様)に戻り、最後は中国のベトナム国境にまで及びます。
ただ単にサンタクロースのルーツを探るのではなく、現地を丹念に訪れ、
その文化に触れる記録は、一気に読み進めてしまう面白さです。
特に世界中の冬至にまつわる風習・歴史はとても興味深いものでした。
【本書 228頁】
クリスマス(冬至)の頃、空は暗く、底なしのようだ。
しかし向き合ってみよう。
孤独のような冬は今日で終わりだ。光が戻ってくる。新しい生命が巡ってくる。
春の予感はすでにそこにある。
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歴史を経て形を変える伝統文化。文化を巡る旅は常に根本をしらしめ、未来を照らしてくれる。
そう感じさせてくれる一冊です。
でも子供は読んじゃダメ(笑)。大人が読む、サンタクロースの本。
【本書 224頁】
ナマハゲやクランプスなどの怪物が持つ恐ろしさと聖ニコラウスやサンタクロースが持つ優しさ。
それらは厳父でもあり、慈父でもある祖先が持つ二面性だったのだ。
何となく恐ろしく、寄りつき難いが、それでも自分を見守ってくれる。
われわれにとって来訪神とは、抗い難く、寄りすがるべき存在。
自分たちの偉大で、包容力があるグレートファーザーなのだ。
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今回は、サンタクロースとは何かを求めて世界各地を旅した本を紹介。ちょうどサンタがやってくる季節ということもあるが、著者が実際に、サンタのルーツを知りたい一心からトルコ、イタリア、オランダ、アメリカ、フィンランド、オーストリア、日本、中国を巡る興味深い本となっている。
訪れた場所だけを見ると、サンタクロースとはなん関係もないようなトルコや中国があってどうしてなのかと不思議に思うが本書を読むとその謎が解明される。全部種明かしすると読む楽しみがなくなるので、書かない。
クリスマスにプレゼントを贈るようになったのは、宗教改革で聖ニコラウス祭が禁止されたことによって始まったとある。ちなみに聖ニコラウス祭とは、東ローマ帝国・小アジアにあるミラの司教だった教父聖ニコラオスにちなんだ伝説がもととなっている。
この聖ニコラウスは、サンタとは違って悪い子には鞭でお仕置きをしたとある。「お仕置きマン」という裏の顔を持っていたとは驚いた。今の時代だと、「お仕置き」をしただけで体罰だなどと非難されるご時世なので、昔の人で良かったね。
サンタクロースという呼び方にも変化があったと書かれていて「ホー」と思った。それは、ニューヨークで、聖ニコラウスのことをオランダ語で「シンタクラース(Sinterklaas)」と呼ぶのに合わせて「サンクトクラース(Sancte Claus)」と呼んでいたそうだ。しかし、その読み方に引きずられて英語の読み方「セント・ニコラウス(Saint Nicholas)」の「二」がいつの間にか取れて、サンタクロース(Santa Claus)になったとある。サンタクロースの呼び名一つとってみても歴史があるのだなあ。
なまはげが登城してきたときははてなマークがいくつか頭の中をよぎった。しかし本文を読み進めていくとそうかとモヤモヤが取れた。しかし、なまはげというネーミングとあの衣装は何も知らない純粋な子供には怖い存在に映るだろう。クレヨンちゃんのようなマセガキ、いや妙に大人びたところのあるお子様にとっては珍しい怪獣にしか見えないか。
サンタクロースの正体を突き止める目的の旅がそれにとどまらずに、西洋と東洋の習俗について思いをはせることになるとは筆者自身も想像すらしなかったに違いない。こういう意味での軸のブレは大いに歓迎。寄り道があると意外な成果が生まれることの良い例だ。
著者のホームページ
www.daisuketakahashi.com
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サンタクロースはキリスト教の聖人、「聖ニコラウス」だという話は聞いたことがあった。
その時はつまらないことを言う人だなと思った。
サンタクロースはサンタクロースでしょ、と。
そんな私がこの本を読んだのはタイトルの「怪物」という言葉が気になったからだ。
サンタクロースの話になぜ怪物が登場するのか?
ドキドキしながら読み進めた。
疑問もいくつかあるし、やっぱりサンタクロースはサンタクロースでいいやという気持ちもあるけど、今はこの本を読んで良かったなと思っている。
「キリスト教じゃないのにおかしい」とクリスマスの眉をひそめる人達にも読んでほしい。
それに秘密が多ければ多いほどクリスマスのドキドキが増す気がするし‥。
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『12月25日の怪物』読み終わり[1月1冊目]
年明けにクリスマスネタですよ。
「そーいや、サンタって誰よ」とか、
「クリスマスって何よ」とか、
疑問を持つ人はちょっとはいるはず。
それに1つの答えを与えてくれる本。
・現ナマ(まとまった額)をくれるパネェサンタ
・"サンタの墓"略奪事件
・ホントのクリスマスは"アメとムチ"
・パッチワークだらけの「クリスマス」伝説
・「サンタ」の亜流は日本にいた
これらにピンときた方は、是非ご一読を。
読んだ感想は、とってもシンプル。
「サンタって、子を想う親によって、紡がれ、
守られてきた、愛のおとぎ話なんだ」
クリスマスって、ただのイベントだけど、
「親子」って要素を入れると、まったく別の光景が見えてくるんですよね。
親からプレゼントもらうことで、
子供が唯一、体験ができる「おとぎ話」だから。
さて、今年も一年良い子でいられるようにしないと。。。
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著者は「探検」にこだわりがある。その思いはわかるが、この本でその思いを何度も語る必要はないように思う。臨場感を出そうとして、かえって芝居がかった感じになり、やや残念なことになっている。取材内容も構成もよい(そのままNHKスペシャルとか、民放のドキュメンタリー2時間スペシャルになりそうだ。)のだから、それをシンプルに提示した方が読みやすいと思う。
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サンタクロース。子どもだましの幻であり、在りし日の純粋さの思い出であり、商業主義のキャラクターであり、妖怪の一種であり、幸せの象徴。
キリスト教の聖人がモデルになっているという話は聞いたことがあったけど、いまいちそのルーツというか、今こうした姿で人々に敬愛されるようになったいきさつはよく知らないままだったので読んでみた。
そうかあ…サンタクロースは祖霊に通じるのかあ…。
なかなかおもしろかったけど、ちょっと著者の個人的なところが目立ってるのが微妙だった気がする。
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娘も小6になるので、サンタクロースの出口戦略を考えようと図書館に行き「サンタクロース」関連本を何冊か読んでみる。その中で本書はサンタクロースを探す旅(ノンフィクション)という事で借りて帰る。
サンタクロースには「キリスト教司教 聖ニコラウス」というモデルがいて、
「トルコ産まれのニコラウスの信教はヨーロッパに伝えられ、オランダ人がアメリカに持ち込んでサンタクロースとなり、コカ・コーラの広告と共に世界中に広がった」
との事。うむ、考えたこともなかったな。興味深いと読み進むが、興味深いくだりは早々にここで終わってしまった。その後は私にはあまり興味がない、細かいところ、ナマハゲを追う旅へと続く。
冒険小説家と言うのはかっこいいが、なかなか読者に楽しく伝えるのは難しいのだろうね。作者が行きたくなったところをつらつらと描く文章が続く。私は原田マハ氏の様に史実をベースに読む人の想像をかき立てるフィクションを重ねる作品が好き。冒険家と小説家の違いといったところか。
高橋大輔という人には興味を持った。ロビンソンクルーソーの方が人気本の様だ、読んでみよう。