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快な目的:精神病者の私宅監察の実態を学ぶため、それにより話題豊富になる喜び。
フォトリーディングがなければ読めない難解な本が、読み終えた喜びを得た。
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「日本の精神医療史という未開の荒野がある。この本は百年近く前に、日本各地の私宅監置、いわゆる座敷牢の現地調査をした記録であり、民俗学、社会学的にも価値が高い一次資料である。復刻版は二度出版されたが、旧漢字カタカナ文の何回な文章のため、長い間内容が知られないままだった。行間には当時の多数の人々の息遣いとドラマがあふれている。この本が今後の研究や論文の出発点となることを期待している」
表紙のタイトル部分、監置という文字に何か染みみたいなものがある。と思ってよく見たら人間だった。思わず感嘆のため息を呑んだ仕掛け。
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精神医療の歴史
写真図版の資料が豊富である
現代では同様の研究は無理
とても貴重な本である
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これはPSW業界では名高い割に読んだ人はあまりいなかった本代表だったが、現代語訳版が出たので読んだ人も多いかも。
原典重視で表現もそのままで当時の雰囲気がわかっていいんだけど、尺貫法に括弧でメートル法を書き添える文体は読みづらいので勘弁してほしい。
業界的には「国家の悪行を告発!」みたいなイデオロギー的文脈で語られているけど、読んでみると、理解もお金もない中で割とどうしようもなかったことは窺える。現代から私宅監置あるまじき!と言うのは勿論そうなんだけど、虐待されたりいないことにされたりされていた人が大多数だった時代から見たら、私宅監置合法化というファクターをどう捉えるかは一概には言えないかもという感じ。
現代の精神保健福祉の理念のベースに関わる事柄が散りばめられているので、精神科に関わる人は読むことを勧める。
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明治~昭和にかけて、精神病患者を私宅で監置することができるとした「精神病者監護法」により、多くの患者が自宅の監置室(座敷牢)に住まわされていた。この本の著者である、東京帝国大学医科大学精神病学教室教授だった呉秀三は、この法律を廃止し、精神病患者を設備の整った病院で看る環境を整えようと、私宅監置の状況を助手15人を全国に派遣して調査させ、報告書を作成した。それが、この本の元になっている。
百例以上の実態調査報告では、写真や間取りのほかに、その家が裕福かどうか、監置した経過、理由、監置室の状況、家族の待遇、医療を受けているかなどが生々しく報告されている。後半は、民間療法の状況や、患者の統計などを含め、その後、私的監置、民間療法、精神病者看護法への批判がなされている。
呉はこのように意見を書いている。「衣食の提供の希薄さ、看護のおろそかにされている様はむごたらしさを極め、同情の念を到底抑えきれない。」「現在の私宅監置には、『ただ被監置者の監禁のみで、これに対する治療がない』と言うことができる」「このような収容室の存在を見るのはまさに博愛の道に反するものであり、実に国家の恥辱である。」
元々は法律を変えるため、政治家に配布する目的でまとめられたものであるが、明治時代の精神病者の状況、回りの人々の生活を知ることができる、貴重な資料である。現代語訳、解説付きで読みやすい。
また、この本の制作こぼれ話も面白い。
http://igs-kankan.com/article/2012/09/000666/
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実地での調査だけあって、文章から当時の私宅監置風景がありありと想像出来ます。
現代日本では精神障害者の人権を守る動きは盛んですが、当時は人扱いされていなかったことが分かります。
本書を読めば精神障害者への価値観も変わります。
歴史的にも価値が高い本だと思います。
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この調査が行われた大正7年当時は精神病者に対して必要な精神病院は圧倒的に少なく、精神病者監護法に基づき、患者は個人宅で監置することになっていた。これは犯罪者のように逃がさないことを目的にするわけではないので「監禁」ではなく、家族が治療をするわけでもないので「保護」でもないので、「監置」という言葉が使われたらしい。
1坪ほどの座敷牢に、ろくな世話もされず閉じ込められる患者も悲惨だし、その世話をする家族も大変だ。現代の犬や猫の方がましかもしれない。
患者に同情的な家族は、治療のため山伏を呼んで祈祷させたり、精神病に効くと信じられていた、墓から持ち帰った人骨を食べさせたりして治療を試みたという、当時の風習も生々しく記録されている。
手塚治虫の「奇子」を思い出した。