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国際関係諸理論はゾンビ禍という超常現象にどのように向き合うか。大の学者が真面目に考察。こういう固くないテーマを用いての結論は、学生諸君は脳みそ喰われる前に脳みそ使え!ってことで、でも本人も楽しんでることがうかがえて面白かった。
リアリズムやリベラリズムなどの理論はどういうスタンスで対応するか、ということとか、入門にはぴったり。殊更ゾンビ好きじゃなくても楽しめると思います。現に自分は最高に楽しめました。こういう知的な妄想をさせてくれる本がもっとあればいいのに。
これは行政学の分野になると思うんだけど、標準作業手続(SOP)の弊害の議論は個人的に興味を持った。行政学も学びなおさねば。
国際関係論は本格的に学んだことないんだけど、政治的な立場とかだけではなくて、心理学的影響とか官僚主義の問題、国内政治の動きとかも考えあわせて結論を導いているのを見ると、かなり学際的なものなんだな。国際政治学との違いがよくわかってないんだけど。大学で授業とれば良かったと後悔。この分野の本はこれからも読んでいこう。
こういう妄想シミュレーションを学術的専門知識をフル活用して真面目にやってくれる本を待ってたんだ!学術書風の文章の端々から滲み出る並々ならぬゾンビ愛には若干「えぇ…」ってなるけど、そういうのも含めて本当に楽しい本でした。
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まえがき
第1章 アンデッドへの・・・イントロダクション
第2章 これまでのゾンビ研究
第3章 ゾンビを定義する
第4章 食屍鬼についての本筋から外れた議論
第5章 リビング・デッドのレアルポリティーク(現実政治)
第6章 リベラルな世界秩序の下でアンデッドを規制する
第7章 ネオコント死者たちの悪の枢軸
第8章 ゾンビの社会的構築性
第9章 国内政治・・・すべてのゾンビ政治はローカルか?
第10章 官僚政治・・・ゾンビにまつわる”押し合いへし合い”
第11章 人間だもの・・・アンデッドに対する心理学的反応
第12章 結論・・・ってゆうか、そう思うでしょ?
謝辞
ゾンビ研究事始
参考文献
注
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訳者の一人の谷口さんにいただく。冗談みたいだが、国際関係論(IR)の第一線の研究者による、ゾンビを例に用いた国際関係論の入門書。解説の力の入れようが思わず笑ってしまうほどすごい。これを読んで国際関係論(とゾンビ)を勉強することにしよう。
ようやく読み終わった。勉強になった。2章のホッブズの記述と、9章のスミスのパロディが笑えた。11章のゾンビ発生に対する人間心理の話もおもしろい。
ゾンビにどう対処するかというのはミクロの話になりがちだが、この本や『World War Z』のように世界規模の話として考えると、国際政治や政治哲学の話となって大変知的におもしろいことがよくわかる。わたしは『トリフィド時代』で政治哲学に目覚めた気がするが、今日の青少年はきっとこの本や『World War Z』で国際政治理論に目覚めるのだろう。IRの諸理論については本文を読むだけでは素人には理解しにくいが、解説で簡潔に説明されているので親切だ。
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ゾンビをモチーフに国際政治学のエッセンスをわかりやすく解説してくれるのかと思いきや、筆者も訳者もガチでゾンビ好きだったw何この分厚い訳者解説www
いや、国際政治学の解説書としてもわかりやすくて良かったですよ!
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読書会にて。
ゾンビ菌(があるとしよう)感染者が日本で出たらを創造した。彼らを殺処分することは出来ない。何故なら彼らはれっきとした人間で、単なる感染症患者に過ぎないからだ。
もし何かのきっかけで一網打尽にし、感染を食い止めどこかに隔離することが出来れば、ワクチンの生成を進め事態は収束に向かうかもしれない。
などなど様々な意見が飛び交い、頭を使ったよい読書会だった。今まででベスト。
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ダニエルドレズナー「ゾンビ襲来」 https://hakusuisha.co.jp/book/b205962.html 読んだ。おもしろかった、キワモノかと思いきや超良書。パンデミック下の国際政治とリスク管理について真剣にふざけながら内容は真面目。冒頭に延々続くゾンビ学が後半の事態収束のシミュレーションにつながっている構成もすばらしい(おわり
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たぶん国際政治について、
ある程度教養のある人は笑える要素あるのだと思うが、
ただゾンビが好きってだけの人だと、
なかなか難しい内容だと思う。
僕には笑える部分よりも、
なかなか意味が把握できない部分の方が多く、
途中で読むのやめた。
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「もしも現実にゾンビが大量発生したら、世界各国の政府や社会はどのような対応をとるだろうか?」をテーマに、リアリズムやリベラリズム、新保守主義、その他の考えの人々がどのような行動をとるかを考える本。具体例がゾンビなのでサブカルのかおりがするし、書店ではその棚に置かれていたのだが、新型インフルエンザやSARS、最近流行りの新型コロナウイルスにも応用可能だと思う。
フィクションでゾンビが登場した時には、作中の登場人物たちがどのような行動をとったかの他にも、実際に過去にパンデミックが発生した際の事例も紹介されている。この本は2012年に発売されたものだが、2021年現在になって読んでみて、新型コロナウイルスが発生した当時に、各国がどう反応したかを思い返してみると、予言的なことも記述されているように思えた。
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国際関係理論の入門として最適な一冊。主要理論の概要を抑えており、平易で読みやすい印象。さらに、ゾンビ・アウトブレイクに対して、各理論がどのような処方箋を提示するかを示している。個人的には、ゾンビに関する記述について、やや理解しにくい部分があったものの、全体的には楽しみながら読むことができた。
個人的に印象深かったのは、ウォルツが『人間・国家・戦争』で提示した三つのイメージを意識して書かれていること。他の概説書を見ても、いわゆる第三イメージからの主要理論のみをカバーしているものが多いため、第一・第二イメージからの見方もおさえることができる。
現在のコロナ禍に照らし合わせて読むこともできる。非伝統的安全保障や国境を越えた危機といったものに対する対応の必要性について考えさせられた。