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コンプレックス・挫折感・喪失感等、様々な感情をを持つ少女達が校内合唱コンクールを機に心を通わせ成長していく。青春音楽小説。THE HIGH-LOWSの楽曲が各章のタイトルとして使用されています。自分は『夏なんだな』が響いた。
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自分に悩み、友達と触れ合いながら自分を見つけて、自分の何気ない言葉もまた誰かの助けになっていくという多視点から徐々に進んでいくお話です。
この本を読んで高校生の頃を思い出し、当時は分かっていて今はすっかり忘れてしまっていたことを思い出したような気がします。
大人になった今この本に出会えて本当に良かったと思います。
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こんな素敵な女子高生だったら、また違った人生があったのかなぁ、なんて思う一方、意固地でひねくれまくりな女子高生だった頃の自分がいとおしくも思えるような作品でした。
高校生ともなると順風満帆な人生を生きてきたと言える子は少ないです。挫折を味わったり、諦めてしまったりは当然。人のせいにして拗ねてしまうほど子供でもなく、受け入れられるほど大人でもない。明確な言葉にならなくて擬音で表現するかと思えば、目が覚めるような的確な言い回しをしたり。理性と感情のアンバランスさが魅力になる独特の年齢です。そんな彼女たちが迷いも悩みも置いて、ただ、歌う瞬間。幸せですよーこれ。どんな状況だったかは覚えてなくても、きっとその感覚はいつまでも残る。
ハイロウズの歌がいい味出してます。
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ザ・ハイロウズの曲タイトルにあわせた、連作短編集。開校まもない女子高を舞台に、合唱で心を通わせていくクラスメートのはなし。
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この人の本は、太陽と豆がなんとか…いうタイトルの小説を読んだことがある。いい本だったなという印象が残っていて、こないだ文庫の棚を見てたら、これがあったので、借りてみた。
舞台は、新設の私立女子校。高校演劇をテーマにした『幕が上がる』の「歌」バージョンというか、「歌」をテーマにした高校生群像のものがたり。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7つの章のタイトルは、ザ・ハイロウズの歌のタイトルからつけられている。それぞれの章は、同じ高2の6人のものがたりで、話のキモになる御木元玲には最初と最後の章があてられ、他の5人の同級生の話があいだの章で書かれている。
お互いが、どういう位置にいるか、どういう関係にあるか、ということが、この7つの章を読むなかで、だんだんわかってくる。同じクラスメイトに対してもつ感情は、それぞれに異なり、憧れもあれば、敬遠もあり、さして関心がないという距離もある。
年間行事のなかでは、ほとんど"やっつけ仕事"のような合唱コンクールが、クラスで「歌」に取り組んだ最初。指揮者として推薦されて、御木元玲は自分なりにクラスの練習をすすめようとするが、どこかちぐはぐなことになる。「音楽は楽しい」はずが、こんな練習楽しくないよとクラスメイトから率直に言われもする。
合唱コンクールはぼろぼろだった。うまく歌えず、クラスはまとまらず、玲は音楽に対するわずかな自信も失いかけた。
その玲が、歌のはじまりはこういうものだったのかもしれないと思ったのは、マラソン大会でやっと最後にゴールしようとする自分にむけて、クラスメイトたちが一人また一人と集まり、声をあわせて歌ってくれた歌だった。合唱コンクールのときとは、まるで違う歌に聞こえる。
▼よろこびや、祈りや、誰かに届けたい思いを調べに乗せる。同級生たちが私に向かって─おそらくは学校一、足の遅い私を励ますために─いつのまにか声を合わせたように。その自然な感情の高まりこそが歌だったんじゃないか。(p.41)
そんな歌をきっかけにしたものがたりの中で、同級生たちは、自分とむきあい、自分たちを見つめ、心を通わせあっていく。
女生徒たちの一つひとつのものがたりもよかったけれど、古文の教師のボーズもなかなかよかった。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シと章がすすむにつれて、読み終わるのがもったいなくなり、シの章が終わったら、またドに戻って、もういちど、ゆっくりゆっくり読んだ。
(4/13了)
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解説に同意。静かな美術館で作者の絵を一枚一枚見ているような、
気持ち。続編があるようなのでそちらにも期待。
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「メロディフェア」が面白かったので、別の本も読んでみようと手にした本。
今年読んだ中で最高によかった。
「著名なヴァイオリニストの娘で、声楽を志す御木元玲は、音大附属高校の受験に失敗、新設女子高の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、・・・」と言う設定が面白かったのが理由だけど、校内合唱コンクールを通じて頑なだった主人公の心に変化が生まれると言う連作小説です。うまく書かれているなって感心しました。
クラスメートを通した連作小説になっているけど、友情が変に前面に出てない雰囲気(と言うか本来こうあるべきなんだろうなあ、べたべたしないところでつながっていく感じ)がまたすごくいいと思う。
作者は福井県出身。全作読む目標が出来ました。
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宮下奈都さんの本は2冊目だけど、この方の文章、すごく好きになった。
青春とか成長とかくすぐったいような気がしてたけど
素直にすっと心に入ってくる。さりげなく大事な事がかかれてると思う。
自分が、とても恵まれてて幸せな環境にいることを、押し付けがましくなく教えてくれると思う。
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それぞれ違う生徒の視点から歌をとおして成長していく姿が時系列に描かれている。1人1人抱えるものが違っていて、葛藤したりモヤモヤしたり、あの年頃の女の子の心の中がよく表れていると思った。ただ1人、ひかりちゃんの「春だけを見ていたくない」という気持ちはちょっとよく分からなかったけど。特に同じ年代の人に読んでもらいたい本。
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中学校の推薦図書みたいな話。
スコーレNo4がとてつもなくよかったので楽しみにしてたが
1話目読んで、ん?2話目よんで、あぁ違うと思った。
だけどあまりに読みやすかったので全部読めてしまった。
印象的だったのは高校生にして残りの人生を余生と呼ぶ子の話。
高校生のほとんどはもうすでに挫折を経験していて
諦めをもっている。
自分だけじゃなかったんだと、今更ながら思えた。
決して好きな雰囲気の小説じゃないけど
良い寄り道してトリップしたって感じだった。
やっぱり女の子って大人だ。
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自分らしさとは何かを模索している女子高生たちの、合唱をめぐる物語。友人たちと関わる中で、自分に足りないものや、将来の不安などさまざま悩みながら、合唱をきっかけに自分自身と向き合ったり、他者を認めたりしながらそれぞれが成長していく。
進路や挫折など私自身も悩んでいたのがよみがえってきた。自分らしさや個性について悩むことは、今でもある。自分らしさの捉え方はいろいろあって良いんだと再認識した。
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『終わらない歌』の前作、ようやく読了。
彼女たちにもこんな高校時代があったのか。
一見のどかに見える高校生活の裏では、一人ひとりがもがいてる 。
自分のことしか見えず、力をもてあましている。
そんな中、ようやく周囲の世界が見える。
あんな顔やこんな顔。
一緒にいたはずなのに、知らなかった顔に気づく。
ただ、その時にはもうゴールが迫っているわけで。
それが高校時代の魅力なんだろうな。
ゴールがあるから、飛躍的に成長できるんだ。
さて、うちもそろそろ文化祭が迫ってきた。
どんな成長を見せてくれるのかな?
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「終わらない歌」を先に読んでしまい、その前作のこちらをやっと読めました。
この本の一章めにあたる短編の「よろこびの歌」は読んでいたのですが。
あの女の子達の高校時代の話。
とてもいい感じです!
御木元玲は受かると思い込んでいた音大付属高校に落ちて、新設の明泉女子高校に行くことになった。
母親は有名なヴァイオリニストで、高校受験に特別な準備は要らないと言っていたため、どこか軽く見ていたのだろうと考える。
母親へのコンプレックスと葛藤、つまらない毎日。
目的を見失い、高校とは別に声楽の勉強をする予定だったのが、そんな気にもなれなくなる。
孤立する玲をクラスメートは遠巻きにしていた。
校内声楽コンクールで、御木元玲に指揮をやってもらおうという声が上がる。
玲の才能はちょっとした指導にも現れるが、専門的に過ぎるやり方についていけないという生徒も。
だが、マラソンに苦戦する玲を見ていた彼女らは、一人二人とあの歌を歌って声をそろえ、玲を応援する。
その声を聞いた玲は‥
どこか他と違う玲へ向ける級友のまなざし。
小柄で元気な原千夏は、うどん屋の娘。音楽をやりたかったがピアノを買ってはもらえない環境だった。
音楽室で玲に歌を教わるようになり、父の自慢のカレーうどんを玲に食べてもらいたいと思う。
中溝早希は、十六にして余生と感じている。
中学ではソフトボースのエースだったが、肩を壊したからだ。
牧野史香は、人には見えないものが見え、それを伝えようか迷う。
思い切って伝えたとき‥?
里中佳子は、南君に初めて家に呼ばれた後、ふったのかふられたのか‥
いきなり地下の核シェルターを見せられて驚き、引いてしまったのだ。
自分には取り得がないと感じている佳子だが‥
周りを見ていなかった玲も、少しずつそれぞれの事情や気持ちに気づいていく。
教師の浅原は、もう一度、玲を送り出すために合唱しようと皆に声をかけるのだった。
それぞれの事情がわかりやすく、悩む様子もはっきり描かれ、切なさとさわやかさと共に、情景がすっと入ってきます。
極端な不幸というわけではないのだけれど、当人にとっては人生が変わるような大問題というのがよくわかります。
互いにすべてを知るわけではないけれど、刺激し合い、交差し、時に寄り添う。
こんな時期を過ごせたら、幸せですね。
また音楽を聴きながら~再読したい小説でした。
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さまざまな心の葛藤を持つ、
私立女子高校に通う少女たちの物語
タイトル通り、合唱するんやけど、
それぞれに感動の涙がある、
心洗われる内容
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著名なヴァイオリニストの娘で声楽家を目指していたが高校受験に失敗。新設の女子校の普通科に進んだ。誰ともかかわらずに毎日をただ過ごしていたが、校内合唱コンクールでの失敗を機に、少女達がそれぞれ心を通わせ、前へ進むようになっていく。
短編それぞれ、一人ずつのクラスメートの女子生徒の物語なんだけど、それが最終章の卒業生へ贈る合唱へとつながる。いろいろなことに悩んで、自意識過剰で、あの時期特有の多感な年頃で。それがとても愛おしく感じる。