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素晴らしかった!
読後「2009年小泉今日子さんが推薦」という帯を改めて見て
小泉今日子さんのことまでますます好きになってしまった・v・
あと、すさまじく
ハイロウズとブルーハーツを聴きたくなりました・v・!
以下、1話ずつの感想。
「よろこびの歌」
鬱屈、とか、閉塞感、とか
静かに押し込められて死んでいくみたいな空気を感じ取っている。
くせに、たぶんものすごくプライドが高くてある意味自信過剰なんだろうな、という主人公が可愛い。笑
あの「周囲に比べて熱量が高すぎて空回りしている、でもどうしても漏れて来てしまう」力み具合とか
けっこう思い当たる節もあったりして、ますます可愛い。
マラソンのシーンは泣きそうになった。
「カレーうどん」
泣いた。
千夏が本当にステキだ。
この
「よろこびの歌」→「カレーうどん」の流れは
本当に神がかっていると思う。
だからこそきいてくる「__うれしいな」だと思う。(ここで泣いた)。
サンタクロース問題から至った想いは、
すごく大きくて厳然とした真理だったはず。
自分のしあわせさに気づいた彼女が、
でも、いつか
「それで満足しきらなかった人たちの声が社会をベターに変えてきた」
ことに気づくのだろうか、とか
物語とは少し関係ないところで考えたりもした。
でも、彼女がしあわせでいることで周囲はかなり救われているし、
彼女は彼女のままがやっぱり一番ステキなのかな。
それにしても、
玲と千夏の関係性は、本っ当ーーーにステキだ!!
「No.1」
余生だ、という表現にドキっとした。
どちらかと言うと自分ももう余生を過ごしている人間な気がしてしまっているのだけれど
彼女はまた本道を生き始めた。
ただ、「余生」だと思えるからこそできることもあったりするのよーとか
少し思わずにもいられなかった^^;
“余生感”は、けっこう大事だと思う。
「サンダーロード」
可愛かった。
三谷くんがイケメン。
「メカに弱い」(笑)
玲がサンダーロードに力強く立ち、やがて羽ばたいていく姿を想像する
彼女の持つビジョンの豊かさにうっとりした。
「バームクーヘン」
南くんには正直、ひいた。
だから、彼(シェルターをつくった彼の家族、か?)を
「しあわせだと思う」と言ったキャラクターがいたことに
とても新鮮な気持ちを抱いた。
…でも、やっぱいきなりシェルターに連れ込むのはいくない。きもい。けど。
それにしても
ここまでの話を通して一貫していたのだけれど、
ボーズ(=入道)が効いている。
「夏なんだな」
春が好きで夏が嫌いな私には
個人的には多々「いやいやいやいや!!笑」というところもあったけれど
とても鮮明な話だった。
好き。
ひかり、は
季節だって問わず、きっとおだやかにぽかぽかと
あたたかく在り続けられる人になるのだろうな、と
ちょっと憧れの気持ちすら持ちそうになった。
姉ちゃんもステキだ。
「千年メダル」
集大成。
まさに合唱のような、ひとつになって広がっていくような章。
玲が見違えるようにカッコよく、
柔らかく、強くなっていて
そんなにイケメンなのに「鼻息荒いよ」とか突っ込まれていて
なんとも愛おしい。
千夏との関係性も相変わらずしなやかに強固で、よかった。
「すごいと思う。どれも間違っていない。」が
素直すぎてホレそうになった。
こう本心から思えているのだな、ということが伝わって来た。
また
「昔の私とどこが変わっただろう」以降の全ての流れには泣いた。
2つ目の泣きポイントだった。
「当日は、よく晴れた。」からの
最高潮への怒濤のステップが
文字通り、凄まじく晴々としていてよかった。
最高のfin.に向けての軽やかなステップだった。
ステキな作品だった。
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宮下奈都『よろこびの歌』
(2009年10月・実業之日本社 / 2012年10月・実業之日本社文庫)
著名なヴァイオリニストの娘で声楽を志す御木元玲は、音大附属高の受験に失敗し新設女子高の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる―。見えない未来に惑う少女たちが歌をきっかけに心を通わせ成長する姿を美しく紡ぎ出した傑作。
青春、合唱とくれば、中田永一『くちびるに歌を』で決まりじゃないか。
と思ってたのはもう過去の話。
今の私はこの『よろこびの歌』派なのだ。
主人公、玲のSっぷりに惚れたから。
ではない、と思う...。
視点が章ごとに変わる連作風の書き方をすることで登場人物それぞれの胸の内がダイレクトに伝わってくる。
その内面描写は些かくどい気もしたが、そんな瑕疵を補って余りある魅力が本作にはある。
75点(100点満点)。
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新設されて間もない女子高に、あまり前向きではないそれぞれの理由で入学してきた女の子たち。
高名なヴァイオリニストを母に持ちながら音大附属高の受験に失敗し、鬱々とした学園生活を孤高を保つことで隠しながら過ごす玲とクラスメイトの物語。
全編通じて好いお話で、一つひとつのお話も良くできていると思うのだけど、まあ、若い時の悩みってこんなものだよなぁという感じで、何となくよ~く読まなければならない表現が多かったこともあって、ちょっと芯を食わなかったです。
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これを読むすぐ前に、同じく「合唱」扱った小説を読んで、そちらがちょっと期待ハズレだったので「また合唱か…」と思い、サラリと読もうかな。程度の気持ちで読み始めたのですが、なんだか目が離せずに一気読みしてしまいました。「合唱」がすんなり物語に溶け込んでいて、「小説を進めるために」みたいなアイテム感が全然なく、安心して読めました。それぞれの女の子たちに、自分もこういう悩み、あったなぁ。と懐かしさを覚えながら楽しく読めました☆
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まさに青春小説だと思った。
女子校生の話だけど、男の自分もすごく共感できる部分があり、満足の内容。
すべてをやり過ごすことだけで過ぎていく高校生活。
個人的によくわかった。
すべてが宙に浮いてて何も実感のない感じがある。
そんな感覚の主人公とその周りの女の子たちが奏でることになる歌の物語。
みんな一緒だと思っていたり、あの子は特別だと思っていたり、
さまざまな出発点だけど、そういった周りの音に気付き、
耳を澄ませて、自分の音に気付き、認め、一つになって歌になる。
そんな本人たちにとってきれいとは決して思えないプロセスがとても美しく描かれていたように思う。
宮下さんの作品独特の雰囲気、和やかさと琴線に触れる漂う緊張感みたいなものが好き。
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現実はそんなに綺麗じゃないと思いつつも、御木元玲ならありかな、みたいな。この作者の作風が最高に生かされていると思う。
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文庫化に伴い再読。
『終わらない歌』を読んでから戻ってくると、彼女たちの初々しさがまぶしい。
歌が輝き、歌うことが奇跡となる。17歳の悩みと屈折が光になる瞬間。
このすばらしい一冊を1人でも多くの人に。
大島真寿美さんの解説がまた光となって物語を照らす
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大島真寿美さんの解説を読んで、自分の読み方が甘かったことに気づかされました。
さらっと読めるけれど、その中に思春期ならではの傲慢さや心の揺れがたくさんちりばめられています。
それを繋ぐのは、やっぱりバンドや合奏じゃなくて、「合唱」なんだよなー。
合唱とハイロウズのギャップを最初は感じたけれど、あのいっぱいいっぱいな感じが、本書の登場人物にぴったりきます。
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先日、ゴスペルを聴いた。
地元の駅前広場にステージが設けられ、カルチャースクールの生徒とおぼしき女性達が歌声を披露していた。『アメイジング・グレイス』に始まり、クリスマスらしいナンバーが次々に歌われる。
普段は地道にお仕事をされているであろうOLさんや、自転車の前後ろに子供達を乗せてペダルを踏んでいるお母さん達。この日ばかりは精一杯のお洒落をして「ハレルヤ!」と満面の笑みで声を上げる姿には、ちょっと感動するものがあった。
文庫化されて気になっていた『よろこびの歌』をすぐに買った。
挫折と諦めから始まるそれぞれの高校生活。
ばらばらだったクラスメイト達が合唱を通じて一致団結......って感じじゃないのがいい。そこがいい。
それぞれに独立したパートが、微かにふれあい影響しあいハーモニーを奏でていく。すべての人々がみんな普通で特別。どんな人にも自分にしかわからない思いがあるし、また自分が思っている以上に人はそれぞれ素敵なんだということ。
第一話『よろこびの歌』の終盤から『カレーうどん』は震えた。
そして、明るく開けていく様なラストが素晴らしい。
読了後、「あそこ良かったよね」と感想を分かち合っているかのような、大島真寿美さんの解説も良かった。
時節柄、市民参加の第九コンサート等も各地で開かれるようだ。
「合唱なんて、俺興味ないし」なんて思っていたけど、今はちょっとやってみたい気もする。
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少女たちの心の機敏が胸に迫ってきて涙が出た。生易しくない心の葛藤、でもそれを乗り越えていく姿…こう言葉にすると胡散臭くなるのが本当に勿体ない。瑞々しい希望を感じられて心が洗われるようだった。
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高校生の話、とかって今さら読んでも「けっ」とか思うだけかなーといつも躊躇してしまうけれど、まったくそんなことはなかった。高校生だとか中年だとか世代をこえて、今の時代だとか昔の時代だとかもこえて、すごく普遍的な感じがして純粋に楽しめた。文章がすごく素直に読みやすくてやっぱり普遍的で、変に今っぽかったり若者っぽかったりしないところがいいのかも。文章も、書かれていることも、すべて「品のよさ」みたいなものを感じた。
高校生女子の、「ぐるぐる」とか「がつがつ」とかしている内面が描かれていても、ぜんぜん嫌な感じがしない。むしろ、自分よりずっと大人っぽいんじゃないかとかお手本にしたいとか思ってしまうような。
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コンプレックス・挫折感・喪失感等、様々な感情をを持つ少女達が校内合唱コンクールを機に心を通わせ成長していく。青春音楽小説。THE HIGH-LOWSの楽曲が各章のタイトルとして使用されています。自分は『夏なんだな』が響いた。
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自分に悩み、友達と触れ合いながら自分を見つけて、自分の何気ない言葉もまた誰かの助けになっていくという多視点から徐々に進んでいくお話です。
この本を読んで高校生の頃を思い出し、当時は分かっていて今はすっかり忘れてしまっていたことを思い出したような気がします。
大人になった今この本に出会えて本当に良かったと思います。
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こんな素敵な女子高生だったら、また違った人生があったのかなぁ、なんて思う一方、意固地でひねくれまくりな女子高生だった頃の自分がいとおしくも思えるような作品でした。
高校生ともなると順風満帆な人生を生きてきたと言える子は少ないです。挫折を味わったり、諦めてしまったりは当然。人のせいにして拗ねてしまうほど子供でもなく、受け入れられるほど大人でもない。明確な言葉にならなくて擬音で表現するかと思えば、目が覚めるような的確な言い回しをしたり。理性と感情のアンバランスさが魅力になる独特の年齢です。そんな彼女たちが迷いも悩みも置いて、ただ、歌う瞬間。幸せですよーこれ。どんな状況だったかは覚えてなくても、きっとその感覚はいつまでも残る。
ハイロウズの歌がいい味出してます。
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ザ・ハイロウズの曲タイトルにあわせた、連作短編集。開校まもない女子高を舞台に、合唱で心を通わせていくクラスメートのはなし。