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代準介の自伝をもとに伊藤野枝と彼自身の生涯を語り、この大正デモクラシーの空気を伝えている。少しくどいぐらいに丁寧な文章で、『牟田の落穂』からの引用が多い。
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野枝に実際の父以上に愛情を持って臨み、育て、遺児たちも世話をした叔父・代準介という人物の人格の大きさに感動さえ覚える。実業界で成功し、豊かな資産家であり、無政府主義者の大杉栄・野枝をサポートし、また右翼の大物・頭山満にも兄事した幅の広さは凄い。野枝が準介にお金の無心をする手紙も残っており、その関係の深さが窺える。準介の曾孫を妻に持つ著者はあくまでも準介・その娘千代子(義祖母)に好意的なのは当たり前。わがままを貫く野枝や大杉には複雑な心境だと思うが、客観的に書いていると思う。
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『風よあらしよ』村山由佳/著を読み終えたので、自宅本棚のこの本を手に取りました。
改めて読むと、『伊藤野枝と代準介』が史実として村山由佳さんの作品に大きな影響を与えていたことがよくわかります。
題名「風よあらしよ」を始め、野枝が代準介に送った手紙、大杉栄の笑い方、子たちの関わり……。
手書きの自叙伝を残していた代準介さん、大杉栄さんと伊藤野枝さんの火葬後たたずむ写真が哀しすぎます。
この時代の警察と陸軍の関係にも触れており、複雑に入り組んだこの時代、大きな大戦の前の嫌な雰囲気を感じました。
矢野先生書いてくださりありがとうございます。