紙の本
ぜひ、読んでほしい
2019/02/16 18:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はるはる - この投稿者のレビュー一覧を見る
アフリカ文学に初めて触れましたが、これは面白いです。ストーリー的には、ご都合主義的なところがありますが、それを差し引いても、話に引き込まれてしまいます。ぜひご一読を!
投稿元:
レビューを見る
純粋に「面白い!」と叫べる作品だ。
いわゆる幻想小説の類で、とにかくわけのわからないモノ・出来事ばかりだ。ただ、その幻想具合が図抜けている。魑魅魍魎が跋扈する密林の奥の世界は、妄想を超えた「現実的な」幻想の世界なのだ。「赤い」国(政治的なカラーじゃなくて、ただ純粋に「赤い」国です)、白くてのっぺりした大樹(?)、「完全な紳士」などなどが登場する世界。想像がぐんぐんふくらんで、面白い。
すっとぼけた文体も魅力的だ。これは作者および翻訳者の意図したところで、決してタイプミスでも誤訳でもない。この文体のおかげで、予定調和的で、とぼけていて、わけのわからない話にもかかわらず、違和感なく受け入れられる。わけのわからない世界ならば、わけのわからないコトでも「現実的」に思えてしまうのである。
ナンセンスな作風は落語に通じるところがあると思った。「混血の町」の裁判は、さながら大岡裁きモノだ。立川談笑師匠が『三方一両損』を「やし酒」バージョンに改作して演じやしないか、と勝手に妄想してしまった。
投稿元:
レビューを見る
じぇじぇ!ジュジュマン(精霊?魔法使い?神?)の話であった。
初めて「アフリカ文学」を読む。しかも内容は、現代感覚を微量に取り入れただけのように思える殆どアフリカ神話の世界。最初は読み進めるのが苦痛だった。初めての方は、訳者による解説から読んだ方がいいと思う。(あらすじは表紙写真を参照して下さい)
しかし、驚くほどに日本神話に似ている。主人公は「神」なのだが、非常に人間的なのである。娘を怪物から助けて妻にする。その子どもが怪物になり殺されそうになるのも似ている。
生まれたばかりの赤ン坊が怪物になるのは、一度ではない。それを殺すの父である主人公なのだが、まるきり倫理的苦痛を感じていないのである。
森林は、万能ではない神である男にとって危険極まりない処だった。それは、アフリカの自然の厳しさでもあるのだろう。
突然の不幸と生と死の往来、そして突然解決出来る未来。それは不思議ではあるのだけど、やはり何処か普遍性のある人間の人生なのかもしれない。
2013年6月7日読了
投稿元:
レビューを見る
・訳文について。原語のピジン文体はわからないが、独特の味がある。
・数名の編集者ないしロンドンのひとつの出版社が掘り起し仕立て上げたのではという、いわば作品外の政治や策略については。
自然や神話を息を吸うように育った人が書いたなどと純粋に受け止めることはさすがにないが、
政治の道具として扱われた可能性を掘り起こしてあげつらうほどのすれっからしでもない。
ただニュートラルに、この作品は面白いと思う。
・やはり思い出すのは古事記。びっくりするくらい通い合うものがある。生と死の垣根の低さ。
脳裏に浮かぶのはすでにしてこうの史代の絵柄であった。
・ずいずい読めるのは、内面も理由も倫理も伏線もないからだ。
すなわち近代小説の範疇ではないところが、魅力。
あるのは楽天性と飛躍と破綻と勢いと即物性と開放性とあっけらかんとした暴力と恐怖する小者とユーモアとカーニバル。
・死者は死者の国で、生者とは別の論理で暮らしている、という観点。
また、死を売り渡したが恐怖は持ち続けるという観点。
投稿元:
レビューを見る
友達に勧められて読みました!
お酒飲みたさにここまでできるか?私はできません!
深く考えず、さらっと読むととても面白いです!
八百万の神とか、どこか日本と似ています。
投稿元:
レビューを見る
ガルシアマルケスやリョサのようなタイプの小説を期待していたので、
数ページを読んで拍子抜けを食らいました。
なにしろ文章が拙いし、展開も妙ちくりんです。
酔っぱらったルイスキャロル、そんな印象を受け、
正直なところ、読んでいて何度か失敗したかなと思いました。
拙くも荒々しい文章を訳す際に、
大事なものまで抜けちゃったんじゃないの、
と疑りもしました。
しかし、途中で投げ出そうかなと思い、
それならいっそと手を付けた訳者土屋哲氏の解説、
『チュツオーラとアフリカ神話の世界』を読み、
印象が大きく変わりました。
アフリカ文学の流れ、表現の裏にある背景までを、
丁寧に日本人に伝える30ページほどの文章により、
足りなかった部分はフォローされ、
魅力ある部分は一層魅力的に見えてきます。
最終的に、なるほどこういう小説もありだなぁと思い、
満足しながら本を閉じることとなりました。
投稿元:
レビューを見る
盛りだくさんでした。薄いのに。人だけど神さま?な主人公のはちゃめちゃな旅はやし酒作りを捜していたはずやのに、宇宙規模になっていったりして、面白かった。しかし、この妻になったひとの魅力がいまいち分からん。
投稿元:
レビューを見る
ラブレーの『ガルガンチュア物語』的な、あるいはサドの『新ジュスチーヌ』のエロ抜き版的な。
個人的にはあまり好きな感じではない。
しかし訳者と多和田葉子氏の解説を読んで「そういう読み方をすればよかったのか」と思い至って少し見直したので、星3つな感じで。
とはいえ文庫化はめでたい!
投稿元:
レビューを見る
人間の想像力は無限に拡がっていくのだということが、このような著作を読むと肯ける。このように想像力が、文学や音楽や絵画など芸術に昇華されると良いのだが、想像が妄想に転化すると往々にして悲劇が生まれる。
投稿元:
レビューを見る
お金持ちの父親に甘やかされてるニートくんの話かと思いきや、いきなり「この世のことならなんでもできる神々の父」と名乗るし、いきあたりばったりに出くわす、神や死神や精霊・あやしげな生物たちはなんかみんなちょっと変。奥さん、そんな予言してた?旅から帰ったら死んだはずの父親(両親)になんであいさつにいけるの?とかつっこみどころ満載のはちゃめちゃな物語破綻状態なのになぜかあとひく不思議なイメージ。とんでもない話なのに、旅程の距離と時刻だけはなぜか描写が細かい。ピジン・イングリッシュ、カーゴ・カルトもちょっとまざっておもしろい。
投稿元:
レビューを見る
とても変な物語。でもズルズルと引き込まれて最後まで読んでしまう感じ。ぜひ皆に読んでもらって感想聞きたい!
投稿元:
レビューを見る
へんてこな本だ。翻訳されているから、どこで変になっているのかますますわからない。
でも、アフリカの世界観って、こういう感じなんだろうか。
ワールドスタンダードなんて、つまらない。
世界は広くあってくれ。
投稿元:
レビューを見る
アフリカ最大の人口と発展した文化を擁するナイジェリアの作家が20世紀中頃に書いた、アフリカ文学の最高傑作と言われる神話的物語。古事記やオデュッセイアを連想せずにいられない、その荒唐無稽な冒険譚。ジャングルの奥底で出会うブッ飛んだエピソードと登場人物は、時に銃や通貨といった西洋近代的なものと混合し異質な世界観を形成する。物語は想像力を生み、その力は共同体を生み出す源泉となる。願わくば本書が、今も多数の民族と宗教、不安定な政治によって引き裂かれるアフリカのアイデンティティの架け橋となる事を祈ってやまない。
投稿元:
レビューを見る
「わたしは十になった子供の頃からやし酒飲みだった。私の生活はやし酒を飲む以外には何もすることのない毎日でした」
死んだやし酒作りを死者の町に呼び戻しに行く主人公の奇妙な旅。体の部分を他者から借りて完璧な紳士を装う骸骨、赤い魚と鳥に怯える赤い村の住人達、旅人を癒す白い木の中の誠実な母。だが主人公もジュジュ(まじないみたいなもの?)を扱う「この世のことはなんでもできる神々の”父"」なんだから負けてはいない。大食いの怪物に飲み込まれようと、首まで埋められふんずけられても、やし酒への情熱で、二歩下がって二歩半前進くらいのスピードでしっかり進んでいる。
英語で書かれたアフリカ文学。原典はカタコトで文法も破格らしい。
それが日本語訳するとどうにも言葉のパワーが薄れるのが残念。
言葉が弱いとアフリカに根ざす音楽の存在や、死生観や自然への畏れもあまり感じられない。
とりあえず読みながら頭の中の画像では、ドラムや銅鑼に合わせた木彫り人形の劇や影絵のようなものを思い浮かべてみた。
投稿元:
レビューを見る
英語ではかなり訛ったような、幼稚な文章で構成されているらしい。それはそれでどんな文章なのかは気になったけど、英語では読み通せる自信がなかったので翻訳版で読んだ。
確かにストーリーは説明が少ないために凄くわかりづらい。語り手は主人公だが、文章ではなく口伝で語っていると思えば、突然話が飛躍してても仕方ないと納得できるかもしれない(「この本をお読みの方は」というくだりが後半に出くるが)。しかし、主人公はやし酒を飲むことしか取り柄がないと言いつつもジュジュを使って自在に変身できるんだからそれは非常に凄いことなのではないか。そして最後はなぜ主人公ではなく奴隷で終わるのか、これは解説にちょっと説明はされていたけれども、読んでもわかりませんでした。だが、出てくる化け物がどれも個性的で混沌としてて、そこは読んでて面白かった。
絵が描ける人には読んでもらって、どれでも化け物の絵を描いてほしい。それぞれいろんな化け物の姿ができそうだ。
私の感想はざっとこんな感じです。