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五歳になった一人娘をなくした夫婦。その妻はそれを受け入れられないのか、死んだ娘の魂が存在していて、いつか転成すると信じきってしまい…
裏表紙に書かれた「感動必至の〜」を信じて購入して読み始めた本作。しかし、しばらくは娘の死を受け入れられな母親のサイコサスペンスな、薄気味悪いという印象を受けました。
見えもしない魂だけの存在になった娘が身近にいる、と公言してみたり、その子が他人の子どもに転成したと思い込むところ。そしてその子をいずれ社会的にも我が子として取り戻そうと画策する姿には、感動どころか戦慄を覚えるほど。
「どこが感動必至やねん」と批判的に思いつつも、でも先の展開が気になって、ページをめくる速度は早め。最終的にはすべてが丸く収まる感じで終焉を迎えるので、それなりに溜飲が下がる感はありました。
本作、来年春に映画として公開される模様。作品としてはインパクト強い内容ではなかったので、これをどのように多くのお客さんにウケる形に仕上げるのかがスゴく気になります。
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母性って 怖い。身近な人の死はこんなにも残された者を追い詰め狂気させるのか。人物関係も心理描写も、読んでいてわくわくする。結末の付け方はさすがミステリーだなぁ。終わり方も上手いと思った。映画化たのしみ。
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元々ホラー系文庫だったということで、ドキドキしながらページをめくった。
何もない空間に向かって、子どもの名前を呼ぶ女性の姿から始まる。すでに怖い。事故で死んだ娘・加奈子の魂が戻ってきたと信じる容子。存在を追いかけるうち、正美という妊婦に宿ったのだと確信する。
出産後の正美に近づき、子ども手なずけ、徐々に距離を縮めていく。
容子の狙いとはー
が、途中で正美と同時期に妊娠していた、マンションの隣りの部屋の女性に宿ったのだと判明。ターゲットを変え、新しい子に近づく容子。それは、男の子だった。彼はあっさりと容子をママと呼ぶ。その時容子はー
結末には賛否両論あると思うが、育児に悩む正美の心情など、それだけでも読み応えはある。
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どこか突拍子もない話でもあるのに、母親として加奈子を取り戻したい容子の思いに共感するし、きっと傷つくのだろうとわかっているから「そのへんにしておきなさいな」と止めたくもなる。生まれ変わった加奈子に用意周到に近づく容子の姿には、「八日目の蝉」のような痛さとスリルもあって、ページをめくる手が止まらない。 稲垣五郎と広末涼子で、13年4月に映画化もされるそうです。 本がすごく良かったので、映画も観たい。
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子供を亡くした親の気持ち、子育てに奮闘する母の気持ちと父の行動、共鳴しながらドンドン引き込まれる感じ。場面展開がテンポ良く、読み進め易い。
何度か背筋がゾクッとする部分があり、作り物っぽさも否めないが考えさせられる内容もあり、読んで良かった感あり。
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映画の容子役が広末涼子なのは合っているかも。
途中、思わぬどんでん返しがあってそこからは一気に読めた。
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交通事故で亡くなった娘・加奈子の生まれ変わりを信じる容子の執念はすごい。読んでいてときどきゾクッとなることもあった。
生まれ変わりではないかという女の子の母親が育児ノイローゼになるところなども、子育て・母親の心情を表していると思う。
この小説はミステリーなのかファンタジーなのか。子供を想うあまりに誘拐をしてしまう「八日目の蝉」のも似通う物語が、心に突き刺さった。
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喫茶室でアイスコーヒーとアイスクリームを注文した女性。
アイスコーヒーを飲みながら、アイスクリームが置かれた隣席に
まるで誰かが座っているかのように微笑みかけている。
エスカレーターでは右側に立ち、左側にこども一人分のスペースを空け
突然誰かを探すかのように走り出して化粧室に入り
「お子様と一緒に入れます」と書かれた個室から、誰もいない隣の空間に
「よかったわね、間に合って。」と語りかけながら出てきて。。。
当初はホラー文庫の一冊として刊行されたというのも大いに頷ける
ぞっとするようなプロローグです。
でも、私と同じ怖がり屋の読者さんも、どうか安心してください。
読み進めるうちに、ホラーではなくて人を想うせつなさを描いた物語だとわかるので。
自分がたまたま迎えに出なかったばかりに、可愛い盛りの娘を
事故で死なせてしまったと悔やむ容子。
彼女が、亡くなった加奈子の魂が戻ってきた、ちゃんと気配が感じられると言い張って
幼児用のお皿にごはんを用意したり話しかけたりする気持ちは、
なんだかとてもわかるような気がするのです。
子を持つ母だからということではなく、誰でも大切に想う人を亡くし
それが自分のせいだと思い詰めたら、そんな状態になっても不思議はないと思えて。
それよりも、いつまでもそばにいてくれると思っていた加奈子の魂が自分から離れ
見知らぬ妊婦のお腹の中の赤ちゃんに宿ったと知ってからの
容子の行動のほうが、ずっと怖くて痛々しい。
住む場所も職業も行動パターンも変え、じわじわと時間をかけて
加奈子の生まれ変わりを宿したターゲットに近づいていく彼女を
息を殺し、ハラハラしながら追いかけずにはいられません。
容子に限らず、誰にどう思われようと愛する者を守ろうとあがく
女性たちの姿が印象的な物語。
容子の執着がおおらかな愛に変わる瞬間が鮮やかです。
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魂の転生のお話だけれど、この類の話に興味があるので一気に読んでしまいました。本当にこんな事があるのかと思いながら参考文献も読んでみたいです。
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先が気になって一気に読んでしまえた。
なんとなく、感動系かと思ったけれど、違った。
子供との感動の再会。とはそりゃならないか。
自分の子供がなくなって、生まれ変わった先がわかったら・・・
同じように動いてしまうかも?
最後はハッピーエンドになってよかった。
途中、なんだかミステリーのような感覚にもなったので。
面白かった。
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ひき逃げによって5歳の娘を失ってしまった母親が娘の魂が戻ったと喜び、やがてその魂がふたたび生まれ変わるために妊婦のなかに入っていく。
ホラーを読み始めたかと思った。
しかもその生まれた子を自分の子「加奈子」と信じ、その記憶を呼び戻そうと長期計画を立てるが、実際には男の子に生まれ変わったことを知る。
人違いとわかった容子は「軌道修正」とばかりにその男の子に近づいていく。
その子は前世を記憶しており、最後には自分をはねた車のナンバーまで覚えてて、事故車は夫信樹の愛人の妹という結果。
なんともご都合主義だけれど、子を失った親はこのような狂気な考えにも及ぶかもしれないなと納得。
最後にはそれぞれが落ち着いた結末を迎えることに安心をしつつ読了。
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母親の想いというものはとても強いものと感じる一方、男・父親というものは情けなく、どこか間の抜けたものとして描かれている気がします。それはこの作品に限らず、どの作品、誰の作品を読んでも。
そんな母親の強い愛情が感じられる作品で、伏線回収からの結末はミステリーとしても十分堪能できると思いますが、全体的に悲しさけを纏った展開に、読後は少し切なくもなります。
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5歳の娘「加奈子」を交通事故で失った女性が、娘の魂の再生を願って突き進む話です。
誕生・転生・再生・共生・回生と話は進んでいきますが、最初はどこかホラーな要素も含みつつ、母親の執念を感じさせつつ、最後は感動で終わります。
事件性はあるようでないような、悲しさと懐かしさもあり、どうなっていくのか不安と期待を抱えながらもすぐに読み切ってしまいました。
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【廻るのか命】
なかなか面白かった。単調に思えたが最後でぎゅっとする感じ。すべてがきちんと腑に落ちて、読後はすっきりする。
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映画版の『桜、ふたたびの加奈子』は、不協和音を奏でる弦楽器に居心地の悪さを感じながらも、想定外の展開に泣かされました。観賞後に原作である新津きよみの『ふたたびの加奈子』が気になり、即購入。私にとって新津きよみはこれが初体験。そうか、この人は折原一の奥様なのかと読みはじめました。これを映画化したら『桜、ふたたびの加奈子』になるとは到底思えず、原作というよりは下敷き程度というほうが妥当かと思います。
桐原夫婦の娘、加奈子は、ひき逃げに遭って亡くなる。妻の容子はやがてこの部屋に加奈子がいると言うように。そんなものは見えないという夫の信樹に一応気を遣い、「加奈子」とは呼ばずに「まるこ」と呼びつづける。ある日、外出した容子とまるこ。亡くなった子どもの魂は、いつか自分の新しい居場所を見つけることがある。読んだ本にそう書いてあったことから、容子はそのときが来るのではと予感。その日、まるこはふわふわと正美という妊婦のもとへ。以来、正美に関するありとあらゆる情報を集めはじめる容子。心ここにあらずの容子と共にいることに疲れた信樹は、その頃たまたま知り合った女性と浮気。信樹と別れたいと思っていた容子はこれ幸いと離婚し、正美を監視できる場所へとすぐさま引っ越す。信樹は浮気相手の女性のもとへ転がり込むが、なぜか相手の女性はやたら物わかりがよく、容子の心配までするほど。公園デビューしてもママ友ができない正美に近づく容子。親身になって相談に乗り、正美の信頼を得ると、加奈子の生まれ変わりを手に入れるべく、着々と計画を進めて行くのだが……。
原作も「感涙必死の長編小説」となっていますが、まったく泣けません。容子の常軌を逸した行動はただひたすら怖い。正美の子どもをこっそりつねって、正美の夫に「彼女は虐待している」と連絡したり、夫ごと正美から奪うことを考えたり。
そもそも登場人物の誰も彼もが映画とは異なる設定。正美は高校生でもなければ、シングルマザーでもない。古書店を営む容子の母親も出てこなければ、空っぽのベビーカーを押して歩く女性も出てきません。
原作はオチも含めて嫌な感じで、この原作からあんな映画をつくるのかと、あらためて栗村実監督に脱帽。これからも注目したい監督です。
映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/5708d1ba46d17b4369466ee2e2dc1e01
原作との比較についてはこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/34c163eae8ed8c98bc94971c1f88a484