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周防大島の昔話を集めた本。
134の昔話がある。
往来のあった伊予や土佐から持ち込んだ話や、
岩国が舞台の話が入っている。
今まで昔話というと時代も人物も、歴史から独立して想像していたけど、
「岩国様」と呼ばれる殿様が出てきたり、
具体的な地名が登場したりするので、
昔話の背景にうっすらと歴史を感じることができた。
聴きとったものを収録してあるので、昔話が方言で語られる。
出てくる魚や動物の台詞も方言で語られるのが面白い。
魚が「亀がえかろうて、亀は海も泳ぐし、陸も歩くけえ」などというので、
愛着がわいた。
「いち」という題名の大蛇の話が一番好きだった。
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宮本さんの故郷、山口県周防大島の昔話を聞き書きしたもの。
単純にお話として読んで楽しい。
屋根に這わせたかぼちゃが大きく育って、家をつぶしてしまう奇想天外な話もあれば、どこかで聞いたようなものもある。
シンデレラを思わせる話もあった。
義妹はヒロインをいじめないとか、ヒロインが落としていくものがガラスの靴ではなくて、対のかんざしだとかいう点で違う。
でも、それが面白い。
宮本さんの祖父母の世代から聞いたとなると、幕末から明治生まれの人たちが楽しんできた話、ということになるのだろう。
日本のシンデレラは、ヨーロッパのシンデレラが伝わってできたのか、全く無関係に生まれたのか…いろいろな想像をかきたてられる。
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宮本常一民俗学の根本ともいうべき、周防大島の説話集。
シンデレラやジャックと豆の木との類似話があったりオチの無い昔話もあったりと続けて読むには辛いけど、パラパラめくるには大変楽しい。