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有名なレ・ミゼラブル、新訳で初体験。ユゴーのひらすら饒舌な文体が現代のペースにどうかとも思うが、ひたすら過剰なまでにドラマティックに進行する物語の中で、全ての登場人物の心理描写を微に入り細に入り掘り進む。泣ける。これぞ大衆小説の極北。早く続きが読みたい。
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少年少女世界文学全集で「ああ無情」を読んだのはうん十年前。子供向だったのでたぶんダイジェスト。ミュージカルになり映画にもなり、本屋にはレ・ミゼラブルの本が並ぶ。全編を読んでみたいと思い新訳という言葉にも惹かれてこの本にしてみた。
第一部 ファンチーヌ
ミリエル司教とバチスチーヌ嬢とマグロワール夫人のこと
ジャン・バルジャンのこと
この時代のフランスのこと
ファンチーヌのこと
テナルディエ一家のこと
マドレーヌ氏とジャベールのこと
ファンチーヌのこと
彼らの人となりと事実を淡々と描写しているだけに見えるのに、静かな気持ちになる。ミリエル司教の言葉が胸に染み込む。マドレーヌ氏の迷いもよくわかる。そんな行動をとれる人はほんの一握りだろう。今に通じるところがあるような気もする。じっくりとまた読み返したい。
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大活劇。それぞれの登場人物の描き込みも丹念。ストーリーもキャラクターも芝居がかって書き割りのようだが、それが見事な芝居、見事な書き割りとして成立している。多くの人が演劇や映画にしたがるのはよくわかる。訳文の読みやすさもあるだろうが、540ページが苦もなく読めた。注の入れ方もよい。
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ちくま文庫が現在刊行中の、新訳による「レミゼ」の一巻。
新潮文庫版でも10年くらい前に、一度読んでいるはずなんですが…細部は忘れてました。新しい訳は、とても読みやすいです。欲を言えば、印刷について、もっと行間を広く、心持ち文字フォントを大きくして欲しかったなーと。
それにしても、再読してみて、「世界文学」と謳われるだけのことはあるなーと、改めて。筆者の感情が物語の中に時おり顔を見せるのは、「ロマン派」たるゆえんなのかな…文学批評の見地からすると、「古い」タイプのスタイルだとは思いますが、それを補って余りある、ユゴーの人間観察の深さ、社会悪ともいえる貧困が人間性に与える「悪」と「悲劇」いうものへの、すさまじいまでの追究…19世紀のフランスにドップリとタイム・トリップしたような歴史描写…といったものに、ほとほと感心させられました。
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先日観た映画が良かったので全編通読したくなり、ちょうどちくま文庫で出ていた新訳を購入。文中の注釈も多くてわかりやすい。
ユゴーのしつこい(笑)語り口がのおかげで、映画よりも人物の行動や感情に説得力を感じる。特にミリエル司教の人柄やジャンバルジャンの葛藤は本で読んで初めて深く納得した。映画を見たときはジャヴェールのさいごに納得がいかなかったけど、この感じだとなるほどと思えそう。
あと時代背景がもうちょっとわかってるともっと面白いんだろうなと思う。当時の人達が革命派、王党派、無神論者やナポレオンetc..に対して持っていたイメージが、本文から何となくうかがえるんだけど、知識不足でなかなかピンとくるところまではいかない。
ともあれ、やっぱり名作は名作だった!ゆっくり味わいながら読むのにぴったり。二巻を買ってこよう。
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原書名:Les Misérables(Hugo, Victor Marie, 1802-1885)
フォンチーヌ(正しい人◆転落◆一八一七年に◆預けることはときに授けることになる◆淪落◆ジャヴェール◆シャンマチュー事件◆余波)
著者:ヴィクトール・ユゴー(1802-1885)
訳者:西永良成(1944-)
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映画→ミュージカル→原作の順で見たお陰で読みやすかった。翻訳本独特の読みにくさで最初にこの本を手に取っていたら多分ほとんど理解できていなかったのではと思う。映画やミュージカルでは時間などの制限があるためかなり切られているのがよく分かった。これを読んだあとに映画を見るとまた違う印象になるのだろう。
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ユゴー『レ・ミゼラブル 1』(西永良成訳、筑摩書房、2012)を読む。
4分冊の1、映画に合わせてか文庫新訳となっています。翻訳はフランス文学者で東京外大名誉教授の西永先生。サルトル研究やクンデラの訳でつとに著名です。
一巻ではのちにジャンバルジャンを救う慈悲深い司教の描写からはじまり、しばらくしてようやくバルジャン登場、名市長マドレーヌさんへの転身、融通の利かぬ警部ジャベール、薄幸のファンチーヌといった前半の役者が出揃います。
キリシタンの倫理観が色濃く反映したそれぞれの正義。ナポレオン時代に清貧を守り通した司教さんの見事な生き様はひとつの理想といえましょう。
友人同僚が時計やクルマを自慢するたび、彼らの魂のために祈りましょう。あわれな欲望の囚われ人。
【本文より】
◯「美しい掛け時計ですな!見事な敷物ですな!立派なお仕着せですな!こういうものは、さぞかし煩わしいことでしょう!ああ!わたしならこのような余計なものは願い下げにしたい。たえずこんな叫びが耳元に聞こえてくるようなので。飢えた人々がいるのだぞ!貧しい人々がいるのだぞ!と」
◯みんなが大声で叫び、すぐに憤慨するのを見ると、彼はにこにこしながら言った。
「おや、おや!これはずいぶんと大きな罪らしいが、みんながおかしている罪ですよ。そこには、あたふたと抗議し、じぶんだけ安全なところに隠れようとする偽善が見られますよ」
◯「無知な者たちには、できるかぎりのことを教えてあげなさい。無料で教育を施さないのは、社会の罪です。社会はみずからが産み出す蒙昧に責任がある。無知な魂は闇におおわれ、そこで罪がおかされる。罪人とは罪をなす者ではなく、闇をつくる人間なのです」
◯司教がこの「あなた」という言葉を優しいが重々しく、じつに親しみのこもった声で言うたびに、男の顔は輝いた。徒刑囚に「あなた」と言うのは、メデューズ号の遭難者に一杯の水を与えるようなものなのだ。汚辱にまみれた者は敬意に飢えているのである。
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ミュージカルでおなじみの『レ・ミゼラブル』。ついに(?)原作に手を出してみた。映画で見た後だから人間関係がわかりやすい。貧困に苦しむ人々、血なまぐさい革命、正しい心とは何か?とか、考える。でも結局正しい行いをするのもお金なの?と思ってしまう。神父も、市長になった後のジャン・ヴァルジャンもお金があるから、困っている人を助けたりできるわけでは?と悲しい考えが頭をよぎってしまった。
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19世紀フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーによる、言わずと知れた超名作。演劇や映像作品などで広く知られる。
有名なのでなんとなく大体の筋書きは知っているという人も多いのではないか。自分は高校生くらいの頃(ウン十年前)に読みかけて序盤で挫折した。おそらく最初の司教篇の、歴史うんちくについていけなかったものと思われる。フランス革命からナポレオンの没落に至るまでのアレコレを、今回は興味深く読ませてもらった。新しい訳の本書では、注釈が語句ごとに括弧で入っていて読みやすいが、難しいと思われる箇所は読み飛ばして登場人物の動きだけを追っていってもストーリーはつかめるので問題ない。
第一巻ではまだコゼットが物語の表舞台に登場しない。だがここまででも波瀾万丈でかなりドラマチックだった。そういった物語の展開の面白さの背景に、社会の本質に迫る鋭い洞察、人間の心に潜む善悪を暴く繊細な描写、慈愛を感じる作者の視点など、小説だからこそ表現できるのだろう深みが読みとれる。
話の内容は知っていても、実際に小説を読むと圧巻だった。これはすべての政治家に読ませなければいけない、必修の文化遺産だろうと思った。「感動的な物語」などという美辞麗句で終わらせてはいけないだろうと。これは現代の物語でもあり、いまだ人類社会はこの小説を必要としているのだ。
『この地上に無知と貧困があるかぎり、本書のような性質の書物も無益ではあるまい』
冒頭のこの文句はいまだ有効である。
最後のジャヴェール警部とサンプリス修道女の短いやり取りが、両者の人間性を劇的に描写していて見事。
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◎(1〜5)。ユゴーの代表作『レ・ミゼラブル』。映画やミュージカル版では分からない長編小説。1巻から5巻までぜんぶを制覇してみよう。
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卒論のテーマにしようと決めてから3ヶ月かけて読みました…やっと1巻読了…
先は長いけど内容はすっごくおもしろい!
スピード上げてここからあと4巻、楽しみながらどんどん読む!