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かなりの良書。読めば、人生を二倍豊かにする事ができます。
それと同時に、人間の思考の限界とそれをどうする事もできない事を、これでもかと教えてくれる本。
具体例がこれでもかと出てくるので、イチイチ再認識しながら読め、理解も深まります。
統計や確率が絡んだ時、確実にあなたの直感は間違っています。
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著者のノーベル賞に繋がったプロスペクト理論についても登場する下巻。下巻は特に意思決定におけるバイアスの除去について重要な知見を与えてくれます。経営者、実業家、会社の幹部の人たちは当然知っておくべき知識だと思いますが、あまり浸透していないのかな。
逆に広告代理店や弁護士、代議士なんかは、この辺りの知識を巧みに使って商売してるのだから、世の中ちょっと怖いな、と思いました。つまり、バイアスを避けるためではなく、意図的にバイアスの罠にハメるような応用しかされていない。ちょっと表現を変えるだけで、一般人の判断を麻痺させる事ができるわけだから、ちょっとした殺戮器官ですよね。
それこそ義務教育で主要科目として教えておかないと、まともな民主主義は機能しないな、と思いました。
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著者ダニエル・カールマンは2002年のノーベル経済学賞を受賞した心理学者である。
本書は氏の研究業績が上下2冊に収められており、下巻は「自信過剰」「選択」「二つの自己」の3テーマからなる。いずれも、経済学が想定する合理的な「エコン」と現実の「ヒューマン」がとる行動の違いを解き明かしている。
「エコン」は自信過剰にならないし、矛盾する選択もしないし、自己は一つである。すなわち、エコンは一貫性がある。
だがヒューマンは一貫性をもたない。どういった場合に一貫性が損なわれやすくなるのかを、本書は様々な実験結果を踏まえて解説する。
・自信過剰が起こるのは、不都合な要因の過小評価・手持ちの情報の過大評価をするから
・同じ質問も表現を変えるだけで矛盾する選択を誘導できる。多くの場合、選択した当人は矛盾に気付かない
・ある体験から生じる「幸福感」は、体験を通じてもっとも幸せだったときのピーク値と、体験を終えたときの程度で決まる。持続時間は関係ない。
また「幸せ」はさまざまな意味をもつので、人生の一つ一つのできごとにおける満足と、全体としての幸福感の評価は別物である。
本書を読みながら自分の行動を振り返ってみたとき、著者が「矛盾」と指摘する選択を自分自身がとっていることに気付かされる。
自分としてはその選択はごく自然な選択であり、合理的に判断したつもりであったにも関わらずだ。
本書は研究業績の総括である。ノウハウ本ではない。したがって、本書を読めば合理的な判断ができるようになるものではない。
とはいえ自分の思考を客観視する手がかりがたくさんある。また、思考のフレームワークを作る手がかりにもなる。
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下巻では、上巻で述べられた認知バイアスのフレームを受けてさらに議論が進み、一般的傾向としての「自信過剰」の問題と、実はそれが資本主義の原動力になっていることや、計画の錯誤、保有効果、稀少確率の過大評価、メンタル・アカウンティング、感情フレーミング、「経験する自己」と「記憶する自己」の2つの自己、物語として記憶される人生、幸福の基準などなど、どれをとっても興味深い話題がてんこ盛り。おもしろくて最後まで一気に読み通しましたが、読み流して終えてしまうにはもったいない深い話ばかりでした。
この手の話題は、年齢を重ね、経験を経るに連れて一層理解が深まるように思いますし、いずれ時間を経てぜひまた読み返してみたい本だと思います。
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意思決定における判断の誤りについての教科書のような本です。上下巻でなんやかんや読了(下巻のサイエンス誌掲載の論文含む)まで数ヶ月かかってしまいました。バイアスやヒューリスティックについて、読みやすい文章で書かれています。
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上巻に続き、さらに深い世界へ。特にプロスペクト理論、「経験と記憶」は秀逸。いつも読み飛ばす解説も上下巻をうまく総括してくれており、さらにカーネマンの2つの論文付と魅力満載!
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まとめると、この上下巻の結論は、二つのキャラクター(システム1, 2)、二つの人種(理論の世界に住む架空の人種エコンと、現実の世界で行動するヒューマン)、二つの自己(現実を生きる「経験する自己」と記録をとり選択する「記憶する自己」→冷水実験、持続時間の無視とピーク・エンドの法則)が存在するということ。そして常に認知的錯覚があるということを知っておく必要があるということ!
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システム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読者向けの著作。
プロスペクト理論:
参照点と損失回避
二項対立:
システム1とシステム2。エコン(合理的経済人)とヒューマン。経験する自己と記憶する自己。
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人間の直感とは、いかにいい加減かが良くわかる本。これを数理モデルにして、行動経済学という分野を切り開いて、ノーベル賞を受賞した人の著作だけあって、すごく説得力がある。これを理解しなければ、マーケッティングもできないだろうし、チームビルドもできないだろう。という意味で、すべてのビジネス・パーソンにお勧めしたい。
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上巻ではあまり感じなかったが、これは行動経済学の本であるとしっかり感じられる。システム1とシステム2をうまく使って従来の経済学の理論を行動、経済学が打ち破っていく様子を順々に解き明かしている。
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一定の規則性が存在しない状況では、直感は信用できない
直感の妥当性は下記条件で満たされる
・十分に予見可能な規則性を備えた環境であること
・長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること
計画の錯誤を減らすには
「多くの人は過去の分布に関する情報を軽視または無視しがちであり、この傾向がおそらく予測エラーの主因だと考えられる。したがって計画立案者は、入手可能なすべての分布情報が十分に活用できるように、予測問題の枠組みを整える努力をしなければならない」
死亡前死因分析は自信過剰に対して効果的
損失回避
損失は利得より強く感じられる
損失回避率はおおむね1.5〜2.5
悪は善より強し
安定した関係を維持するためには、楽しい会話と楽しくない会話の比率を少なくとも5対1にしなければならない
プロスペクト理論
四分割パターン
利得|損失
95%の確率で1万ドル貰える|95%の確率で1万ドル失う
高い確率 万一の落胆を恐れる |なんとか損を防ぎたい
確実性の効果 リスク回避 |リスク追求
不利な調停案も受け入れる|有利な調停案も却下する
---------------------------------------------------------------
5%の確率で1万ドル貰える|5%の確率で1万ドル失う
低い確率 大きな利得を夢見る |大きな損を恐れる
確実性の効果 リスク追求 |リスク回避
有利な調停案も却下する|不利な調停案も受け入れる
左上欄はベルヌーイが論じた領域:リスク回避的
左下欄は可能性の効果が働く。宝くじが人気なのはこのため
右下欄は保険をかける状況
右上欄が驚きの領域で多くの不運な状況である、起死回生の一手を打とうとして大失敗をおかす
・狭いフレーミング:決定1と2は二つの単純な問題と考え、別々に処理する
・広いフレーミング:四つの選択肢のある一つの問題と考え、1回の決定で処理する
複数の決定を一つにまとめて扱える場合は、いつでもそうするほうがよい
小さく勝って小さく負けるが損失回避を防ぐ呪文
個人投資家は四半期に一度見直せば十分
広いフレーミングで考えるように努める
後悔をあまり重大視すべきではない、たとえ後悔するとしても、いま考えるほどひどくはないものだ
並列処理は単独評価より合理的な判断が下される
持続時間の無視とピーク・エンドmp法則
記憶する自己は経験する自己よりも独裁者
ハッピーになるいちばん簡単な方法は、時間の使い方を自分でコントロールすることだ。自分の好きなことをする時間を増やせばいい
幸福を感じる気質というものは身長や知能のように遺伝する
全体のテーマとしては認知的錯覚
システム1とシステム2
エコンとヒューマン
経験する自己と記憶する自己
資本主義は認知的錯覚の上に成り立っている
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下巻は本丸であるプロスペクト理論の解説に入る.人間の脳の統計や確率に対する取扱いとして,利益と損失では損失がより大きく評価される,また「ない」と「ほとんどない」・「ある」と「ほとんどある」の違いに敏感な一方,確率そのものの値の差には鈍感であるなど,本質的に偏った重み付けをするようになっている.つまり脳は統計的処理に弱く,そこに上巻で説いたシステム1の働きとも相まって,これらが人間をエコンではなくヒューマンたらしめているとしている.そもそもエコンの合理性というのは,その後に何が起こるのかをすべて知っていることが前提である一方,実際に起こる事象は様々な理由から予測不可能である以上,常にエコンとして振る舞うことはできないという点からも,エコンの現実性は薄められると思うが,本書の内容はそういったものとは違うよう.合理的というのは即ち利益につながるということのはずなので,上下巻で挙げられたバイアスを把握し,とりわけ組織において互いの誤りを適切に修正できるようになれば,成功を収められる可能性が高まるということかと思われるが,特に統計的な話で,何を根拠としてよい情報だと判断するか,みたいな部分はあまり言及がなかったので,その辺りはまた別なものを学ぶ必要がありそう.本筋の話題とは若干ずれるが,「利他的な報復」が快感をもたらすという話が興味深かった.
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直感的に働くシステム1と、熟考するシステム2という人間の意思決定について書かれた本。直感であっても、プロが下すものや長年の経験があれば正しく判断できたりするなど、システム1も侮れない。
より広いフレームで考えること、なるべく多くの選択肢を比較して決定することが大事。そうでないと「見たものがすべて」になり、狭い選択肢で判断してしまうことになる。
本書でプロスペクト理論と確率決定加重の、行動経済学にこける2つの重要な考えが出てくるので、是非読んでいただきたい。
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人間の認知選択の特性はこの本を読んでおけば事足りるのではないかと思えるくらい網羅的に書かれている。
プロスペクト理論により選択を間違えることはかなり多そうなので、計算に基づいた選択をするように心がけていこう。
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読みやすいけど、腑に落ちる感覚があまりない。
人間の思考について書かれているが、応用先が思いつかなかった。
上下巻共に読むのに時間をかけすぎた。
一気に読破すると見えてくるものがあるかもしれない。
とりあえず寝かせて、数年後にでも戻ってきたい。