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規模の拡大を目指すボリューム国家に対して、質の向上を目指すのがクオリティ国家。
クオリティ国家の大きさは、日本が道州制になった場合の道州と同じ位。 各道州がスイスやシンガポール、フィンランドなどを参考にしながら、思い思いの戦略を立てて自立したクオリティ国家を目指せばよい。
日本は早急に加工貿易立国とは異なる新たな国家モデルに移行しないとならないわけで、それが今、日本に必要とされている国家戦略のパラダイム転換なのだ。
クオリティ国家の特徴
1. 小さな経済規模
2. 人口・労働力のクオリティが高い
3. 高コストの人件費をカバーする付加価値力、生産性の高さ
スイスの国際競争力が強い理由
1. 国が企業を支援しないこと
2.クラフトマンシップ
3. 移民
スイスの大学進学率は三割に満たない。
スイスでは自分自身で医療保険や年金をかけないことはあり得ない。それは個人の責任であり、国家の責任ではないからだ。
国外から国内に向かう投資をGDPで割った直接投資比率は、日本が4%に過ぎないのに対して、香港、シンガポールは489%、211%。
「オーガナイズ・スモール」(道州制)
日本が規模が大きすぎて、クオリティ国家になれないのなら規模を小さくすればよい。
世界最大の産業は観光業 ディスティネーション・ツーリズムと言われる滞在型観光。九州道は年間1000万人の観光客を呼び込める。
などなど、具体的な実例を紹介しながら、これからの日本が取るべき戦略を提言しています。
壮大な国家戦略論の中で、個々人がマインドセットを破りまず実践出来ることが紹介されています。スイスの年金や保険は個人の問題であり、国家の責任ではない。というスイスのスタンスです。これは、アメリカの農家の人などが持っている「リバータリズム」の思想に通じる「まず、自分の身は自分で守る。」という考えだと思います。大国に囲まれた、スイスの歴史の中で必然的に育まれてきたのではないでしょうか。
勿論、障害者の方などの社会的支援は必要だと思いますが、一般の方は国の保障をあてにせず、自分で学び、考えて、備えていくべきだと思います。
日本にも、先日決定した日本版ISAや確定拠出型年金など、よい制度が調べれば少なからずあります。(政府も金融機関も大々的には報じませんが。)まずはそれらを紹介してくれている良心的な専門家の書籍を読んだりして、少額から実行してトライ&エラーを繰り返して、ファイナンシャルリテラシーを高めていくべきだと思います。
そしてこれからクオリティ国家を作り上げていく子供たちには、実際に役に立つ実学(語学、ファイナンス、コミュニケーション、自立心など)を中心に学べる場を提供していくことが必要じゃないでしょうか。
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スイスの国際競争力が強い理由
1, 国が企業を支援しない
2, クラフトマンシップ、大学進学率は3割にも満たない
3, 移民、優秀であればどこの国の人でもトップになれる
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グローバル化と国際競争力のある国について一人あたりGDPの高い国、スイスやシンガポールなどの例をあげつつ、現状の日本を見つめる。日本はクオリティ国家を目指すにはこれらの国と比して規模が大きく、道州制の導入がひとつの解になる可能性があると述べている。GDPに目を向ける前に考えるべきことが人類にはあるように個人的には思うのだが、理想を追い求める前にこのようなプロセスを通る必要があるのかもしれない。
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「ボリューム国家モデルからクオリティ国家モデルへ」というコンセプトは日本にとって大変に重要。
また、日本企業にとってもクオリティ国家における企業モデル…例えば、日本の時計メーカーが開発したクォーツムーブメントによって一時壊滅的な打撃を受けたスイスの時計産業がいかに復活したか(今では逆に日本の時計メーカーが苦戦)…の研究は不可欠。
そして、日本がこれから必要とする人材像とそのためのあるべき教育の方向性は… 等
必読としか言いようが無い。
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本書の行き着くところは、結局のところグローバル化と国際競争力の問題であり、そして著者が推奨する道州制(地域国家)の統治機構の推進である。これが日本の生きる道なのかどうかは、個人的にはまだ結論がでていないし、鵜呑みにもしたくない。しかし、いろいろと思考を巡らせてみるきっかけにはなると思う。
著者が提唱するクオリティ国家(以下QN)とは、「世界の繁栄を取り込むために、グローバル市場で勝てる企業・人材・ブランドを輩出し、世界からヒト、モノ、カネや情報、そして企業を呼び込むことのできる21世紀型の経済構造国家」と述べている。QNの代表格として、スイス、シンガポール、デンマークやスウェーデンといった北欧諸国、そして地域国家の集まりであるアメリカなど、国際競争力ランキングで上位の国々を事例に掲げている。
これらの事例をもとにQNになり得た理由として、
・自国市場規模が小さく、世界市場で稼がざるを得なかった。
・世界市場においてコスト競争で対抗するために、イノベーションやブランド、高付加価値産業で戦わざるを得なかった。
・自国に、資源や強い産業がなく、国外から企業、技術、資金を呼び込まざるを得なかった。
・唯一の資源である自国の人材を、世界で戦える人材にさせざるを得なかった。
・国の規模が小さいために、産業構造を大胆にシフトさせることが可能だった。
としている。
その上で、いまの日本がそうなれない理由として
・国内市場が大きかったために、世界市場を想定せずに済んだ
・コストダウンや改善で低コスト国に対抗できていたが、それでは対抗できなくなってきた。
・技術開発は得意だが、ブランド価値向上、新たなビジネスモデル構築が不得意となってしまった。
・大企業・銀行などが、苦境に陥っても政府が救済、中小企業もモラトリアム法(金融円滑化法)で生き延びている
・外資導入、外国人の活用に苦手意識があり、内外を差別する意識が払拭できていない。
・人材で戦うにも工業国モデルの教育(暗記、詰め込み)で育ったため、21世紀型の人材育成が追いついていない。
というものである。
そこで、日本がQNになるための一つの仕掛けとして、「道州制」の推進を掲げている。統治機構や経済単位を小さくして、グローバル市場での競争を意識し、世界からヒト、モノ、カネ、情報を呼び込むことでしか生き残れないようにするというもの。そのためには各規制緩和も必要とのこと。それを進めているのが著者が裏でアドバイザーを務める大阪市の橋下市長である。
よくも悪くも、世界の事例やモデルを参考に戦略を考えるという著者のパターンではある。
もちろん、日本が今のままでは立ち行かなくなるという危機感はある一方で、いつまで海外の戦略に倣っていかなければならないのかという思いも。世界から様々なものを呼び込むという考えは賛成だが、経済のパイをより大きくし、より繁栄し、より消費を増やせば、より幸せになれるという拡大主義の思想は結局のところこれまでと同じである。
また、日本の強みであった貿易加工モデルは本��に通用しなくなったのか。
批判を承知で書けば、個人的には21世紀は人々の欲望をどれだけ抑えられるかの勝負だと思う。経済的な拡大や欲望ばかり追及してきた歪は見えないところで広がっているように感じる。(一人当たり)GDPの拡大を主たる目的とせずに、心豊かで持続的な社会や国家を創ることは本当に不可能なのか。世界でも前例のない成熟国家にいち早く突入した日本が、今度こそ自らの頭で知恵を絞りながら考える必要があるのではないか。それは、我々個人がどのように生きたいのかということにも他ならない。
いかに素晴らしい国家戦略があっても、国民をその気にさせなければ意味がない。クオリティ国家の先にどのようなワクワクする未来が待っているのか、成熟した今の日本にはビジョンや夢も必要かもしれない。
それは、いみじくも著者が東京都知事選で惨敗したときを思い起こさせる。
しかし、本書が我々一人ひとりにこの国のあり方を考えるきっかけを与えてくれる内容であることは間違いない。
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国家繁栄のための道筋は、人口を多く抱える「ボリューム国家」と人口は少なくとも付加価値で稼ぐ「クオリティ国家」に分かれる。ボリューム国家には、中国、アメリカ、インドなど、クオリティ国家には、シンガポール、デンマーク、スイスなどが含まれる。
日本がクオリティ国家になっていくには人口が多すぎるのではないか、という指摘には、
道州制を導入し、それぞれが「クオリティ国家を目指す」という道を提案している。
いずれにしてもキーは教育、と。
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市場規模が中途半端にあり内需だけでもしばらくは何とかなってしまう日本の限界を冷静に観察。改革とは言ってみるものの何を決めるにも賛否両論出ていつまでもまとまらず、まとまっても切れ味無いものとなってしまう、スピード感に欠ける中途半端な日本。これを道州制で分解して適正サイズ化し各道州が魅力を競い合い世界のヒト・モノ・カネを誘引するクオリティ国家を目指せ、それしか生き残る道はない、というもの。
現況成功しているモデルとして、スイス・シンガポールを始め、デンマーク・フィンランド・スウェーデン・韓国・台湾など、一部反面教師事例も含め紹介、モデル形成・実行のための下情報・選択肢の披露と<進むべき道>の大前案もあり参考になる。
自分では動く年齢ではないとの判断?なのか、(国政進出以外の)橋本大阪市長の評価が高い。先行事例として大阪都・関西道が形成されていくことを大いに期待している様子。総選挙後、自民党復活の今、その道筋が見えてくるのかどうか。
あとは、改革の過程で零れ落ちるであろう人材へ、セーフティネット・再教育の制度を整えることも忘れずに。
『ナリワイをつくる』が「非バトルタイプ向け」なのに対し、ばりばりのバトルタイプ向け?の国家戦略指南書とも言えるか。
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加工貿易国家モデルとして成功を収めた日本はその
成功の罠から脱しきれずに今日に至っている。
現在、一人当たりGDPの高い国々を分析し、クオリティ国家という
新たな国家モデルを提言する。道州制をベースにゼロベースで国家のあり方を考えさせられる。
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成長している豊かな国の事例を、日本の現状に落とし込んでこれからの日本の採るべき国策の提言がなされている。説得力があるとともに、現状の日本の中途半端な状況を再認識できた。国の施策がすぐに変わる訳ではないので、個人としてまずは勉強し、付加価値を高めていくよう、また子供への教育なども考えて行きたい。
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道州制を提言する大前氏。私の個人的な意見は「大賛成」。しかし国や利権がらみでがんじがらめにされないようにしなければ何の意味もない。そう、今の日本はそのがんじがらめで進化出来ないシステムが出来上がってしまっている。
道州制で出来る地方の首長はなんと「大統領」。日本の総理大臣は政党の長だからころころ変わるが、大統領は任期制。だからじっくりと改革が出来る。
スイスやシンガポールをモデルとした小さい規模を原則としたイノベーティブな取り組みをする「クオリティ国家」は日本でも導入可能だ。
個人的には出身の東北を応援して変えて行きたい。世界にない、自然と一体となった新しい国家。エネルギーの少ないグリーンな。
大前氏は北海道と九州をケースにして期待をかける。私は東北です。
実現するためには大胆な規制緩和。今の日本の総理大臣が言っている「金融だけの緩和」は手ぬるいと思う。
規制緩和をし、ニッチな市場でブランドを確立し、語学教育に重点投資する。特徴のある国づくりが世界からリソースを呼び込む。今のクオリティー国家の海外比率はなんと95%だ。ネスレは96%なのに世界のソニーは60%弱。
最後に「維新の会」のネーミングを了承した平成維新の会のリーダー大前氏は、石原氏と組んで国レベルに拡大してしまった橋下氏に忸怩たる思いを感じている。彼には大阪を中心とした道州制の首長として期待をしていたのに。
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最近の大前さんの著作は昔のような勢いがなくなってきたなぁと思っていましたが、この本は違いました。
「民主主義は啓蒙された人間でなければ維持できない。啓蒙されていない人間が投票すると衆愚政治になる。」
という言葉は、現在の日本を的確に表していると思う。
韓国とフィンランドの教育方針に現れているように
クオリティ国家として進むためには、教育の位置づけは
非常に重要だと思う。
僕も常々、日本の教育がビジネスに直結していないこと
を問題と感じていた。本書を読んでクオリティ国家を
目指すべき日本にとっては、世界で通用するリーダー
を輩出する教育が重要なのだと改めて感じた。
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日本は大量生産・低コストで勝負する「ボリューム国家」から脱却し、「クオリティ国家」を目指さなければいけない。
クオリティ国家とは、経済の規模が小さいが、高い賃金をカバーする高い付加価値を発揮する、生産性が高い国であり、主な例はスイスやシンガポールである。
これらのクオリティ国家は、魅力的な国をつくり・投資を呼び込むことで、人・物・金・情報・企業を集める。自国の力だけで成長するのではなく、他者のリソースを使っての繁栄を目指す。
そのため、人材が来たいと思う国・人々が生活しやすい国・投資/資産家が魅力を感じる国をつくらなければならない。規制撤廃し・市場を開放する等、他者を呼び込むために様々な意思決定をスピード感を持って実行していく必要がある。
しかし、今の日本は1億2800万人もいる大国であるので、スピーディに意思決定を行うのは難しい。だが、道州制を導入し、日本を道州に分けることができれば、それぞれの道州を世界の他のクオリティ国家と同規模にすることができる。中央集権をやめ、道州制を導入し、各洲が自分たちの魅力を最大化するように動けば、日本は衰退フェーズから抜け出すことができる。
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日本の現在の中央集権体制はすでに破綻しているのは周知の通り。これから日本が進むべき道を海外の先行事例がわかりやすく記述されていて、なるほどと思わせる。教育体制も中途半端ではだめで自分も親として子供を育てる上で、人に任せっぱなしではなく考えていこうと思う
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大前研一氏の持論である道州制を軸に、加工貿易で成功した過去の日本の体制を捨てて、新たなクオリティ国家への道しるべを記した書。日本の強みや弱みを分析するだけであれば誰でもできるが、新たなモデルを示せるのはこのヒトしかいないと思う。
スイスやシンガポールを例に、1人当たりGDPの高い国家を目指す方向性。これは、チャイワンとの競争に巻き込まれている家電業界とは全く逆の、高付加価値に特化した国家、しかも日本では単位が大きすぎるので道州制というユニットを作るイメージ。権限を与えれば、成功モデルを示せるので、他の州もと競争が始まる。これが高いレベルでの国家を形作るという。今の政治に求められている変化とは、何かやらなくてはという強迫感からとりあえず変化を前提にロジックを組み立ててしまうが、そうではない。
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■国家戦略
A世界で繁栄している国には、2 つのタイプがある。
1.ボリューム国家:人口・労働力のボリュームと低コストの人件費を強みとして、工業国家モデルで急成長している。
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)がその代表。
2.クオリティ国家:人口は少ないが、世界からヒト、モノ、カネや企業、情報を呼び込む吸引力と、グローバル市場
で勝てる競争力を持つ。スイスやシンガポールが典型。
B.スイスの国際競争力が強い理由は、次の3 つである。
1.国が企業を支援しない:企業に対する補助金のようなものが全くない。よって、弱い産業は潰れ、強い産業だけが残り、自ずと国際競争力が強くなる。
2.クラフトマンシップ(職人芸):スイスでは、国民の7 割が時計などを作る専門職か農民であり、専門職の社会的地位は高い。このように、クラフトマンシップが大事にされているため、スイスの産業は強い。
3.移民
移民が新しい産業を興し、その中で強くなった会社が世界に出て行って発展している。
C.日本がクオリティ国家になるには、規模を小さくする必要がある。「四国道」「北海道」「関東道」といった「道州制」にし、
各道州がそれぞれ戦略を立て、自立したクオリティ国家にならねばならない。例えば、北海道であれば、雪や温泉を活用
して「アジアのスイス」を目指す、あるいはロシアとの関係を強化してエネルギー産業を構築する、などが考えられる。