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チャペックのエッセイからこの小説を読むという順番、読書の神様もイキな計らいをしてくれるものである。
造園業を舞台にした時代小説。人情モンであり、推理モンであり、恋愛モンでもあり意外や意外に怪奇譚の一面も持った盛りだくさんな中身。盛り込みすぎかなと思いきや、庭・空仕事と言うしっかりした幹を据えているので意外と腰の据わりが良い読み心地。
主人公のまわりを囲む登場人物たちの人物像が爽快。出来すぎかと思うくらいのキャラ設定、江戸時代にそんな生き様するヤツおらんやろと思う部分も少々あるも、読み心地損なうには至らず。
朝井まかて、前から気になっている小説家だったけど、かなり好みの小説を書く作家のようである。追いかけてみようと思う。
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初めて読む作家さんの作品です。
庭師の仕事を通しての人情話ですがチャラと言う孤児が庭師の親方に見出だされ成長していく話し、最後の方でチャラが生きて帰りハッピーエンドの予感で終わり。
あぁよかった。
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江戸時代のお話だけど読みやすくまっすぐなちゃらの姿が目に浮かびます。
植物を愛する庭師が作り上げた技法が今の庭にも受け継がれていると思うといろんなおうちの庭に自分の好みを見つけるのも楽しくなりそうです。
スピード感あってグイグイ引き込まれ、いっち大切なもんがわかるラストも大好き。
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2016/2/15
敵役が嫌な奴過ぎたのでマイナス1。
あ、中ボスのほうね。
色々奪われると消耗するんだわ。本の中でも。
こいつがけちょんけちょんにやられてちくしょーってなってるとこが見たかったけどそんなヒマなく黒幕登場。
黒幕はふーんって感じやった。
もう疲れてたんだな、私。
親方が時々すごくかっこよかった。
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読み終わるまで、途中から時代劇がスペクタクル小説に変わっていた。ストーリーの後半から結末までが広がり過ぎたかな。
もし自分ちに庭があって作庭するとしたら、豪華な日本庭園もいいけど、里山的雑木を活かした古里の庭にしたいなあとおもった。
庭師を空仕事と例えたのが上手い。日本の造園の魅力を随所で生かし、江戸時代から、造園業、庭師が地味だけど、いかに高尚な仕事として扱われてきたか、その由緒がわかったとき、素晴らしいと思った。
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庭師を主人公にした時代小説というのは新鮮です。
反抗的な孤児・ちゃらが度量の大きな親方の下で庭師として成長し、妻を亡くした親方の所にはおきゃんな娘・お百合がいて、兄弟の様だった二人がやがてお互いに意識するようになり。。。こう書くとありがちではありますが。
一方で、白楊という何やら庭師界の天一坊のような悪人が出てきて、阿片を用いて人々を誑かし。
Amazonなどをみると非常に高い評価です。しかし、私にはどうもピンときませんでした。
どうも2本の流れにギャップがありすぎる。白楊の話はかなり飛んでいて、これだけでまとめれば単純なエンターテインメントとして面白そう。しかし、そこには人情もののちゃらとお百合のストーリーがうまく絡んでいかない気がします。最後の仲間の裏切りも納得できないし。
という訳で星の数は少なめにしましたが、実は読んでて楽しい本でした。
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最近、江戸づいている。
この本は庭師の家を舞台とし、江戸で流行った庭作りの文化に触れられる。
その点、とても面白かったけれど、
ちゃらにはおるつと上手くいって欲しかったなぁ…と個人的には思います。
お百合と五郎太も、五郎太の一途な気持ちが報われて欲しかった。
あとは、後半がすごくベタなエンタメ展開で、三流のクオリティで映画化された図が脳裏に浮かびました。
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植物や庭師の仕事へのアプローチがとても詳しくて面白い。
主役のちゃらが良い。お百合も可愛い。師匠がかっこいい。敵役が悪い。
意外な人が意外な動機でそういう結果になるどんでん返し。ひどいことになるけど、そうか、と思ってしまう。憎めない!
人情もあり、伝奇的でもあり、お仕事小説でもあり、可愛い恋模様もあり。江戸時代後期ならではの葛藤もあり。
とても贅沢な時代小説。
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出だしから、面白さと、テンポの良さで、のめり込んでしまった。
この作者 朝井まかて氏の「すかたん」も良かったが、ちゃらの「空仕事」という言葉の庭師に、植木だけでなく、その背景になるものの配置の仕方で、庭の奥行から、イメージが、変わってくることに、今ひとたび、日本庭園の素晴らしさを、感じてしまった。
お百合の一途さや、五郎太の良き友に恵まれているちゃら。
材木問屋の大和屋のご隠居の庭を造った時に、ご隠居が喜ぶ。
仲の良い老夫婦。
そのつまのお咲が、昔の郷里の風景が、辛い事を思い出すのだが、懐かしいと、、、
行きているってええもんですな。ほして、死ぬのもええもんやと思いますわ。
皆、死ぬために生きている。いつか死ねるから、生きてられる。
この世にあるのも後少しやとおもうたら、どんなに辛かったことも懐かしいもんになる。と、、、、、
言葉遣いにも、又、この倫理観の深さにも、さらっと言ってのける老婆の言葉に感銘。
物語りも、良い事ばかりでなく、妬みや、迷信のごときものまで、この庭師一家の「植辰」に災難がのしかかって来る。
しかし、ちゃらが、水に落ちてしまった後の事が、主語が、無くてもわかる最後の言葉が、作者特有のアイデアだと、思う。
次回、又、この人の作品を読んでみたいと、思った。
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図書館で。
江戸時代の植木職人の話…と書いてしまうと大分大雑把ですがそんな感じ。それにしても江戸時代のお庭の木って5mとか8mとかそんな大木がゴロゴロしてたんだろうか…すごいな。まあ小石川後楽園の庭園(あれはかなり豪華だと思うけれども)を思うとそんな感じなのかな~
正直言ってヒロインの百合(だったか?)が苦手すぎてどうにもこうにも(笑)薬屋のお嬢様なんて百合とチャラの恋愛の出汁にされるために出てきて酷い目にあって最後は尼になるって…オイオイって感じ。嵯峨流の陰謀とかもまあ似たような感じかな。何をもってそこまでするんだ?というのがよくわからずにひどい事が起きる。
…別にそんなにドラマチックにしなくたって良かったんじゃ無いの?という感じがしましたが…まあエンタメ作品だし盛り上がり的には必要なのか?
植辰のダンナも何考えてるか全然わからないのでそこもちょっと不満。何をもって船頭になった彼を解雇したんだか…
確かに題材をもっと絞れば良かったのになぁと思う小説でした。
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時代は江戸、庭師 植辰 で修行中の 「ちゃら」
親方たちとあちらこちらで庭をつくる。作庭にいそしむなかで
恐ろしい陰謀が、植物の好きな人、庭が好きな人にはオススメですよ、まるで行間から庭が見えるようです。
「季節の中で、風がいちばんうまいのは夏のはじめだ」
新緑、緑があちこちで風にそよぐ、今の季節にあてはめれば
5月でしょうか、 ちゃらや ちゃらを取り巻く人たちの真っ直ぐな、それでいて少しせつない物語です。
何度読んでも飽きません。 オススメですよ
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江戸時代。
跳ねるように身軽な若い庭師の成長物語。草木や水、石、光、空気まで想像できる瑞々しい文章。
と、思って読んでいたら…。だんだん不穏な方向へ話が進んで、これってアクション、ミステリーなのか?
とっても面白い本に出会えたという嬉しい気持ちの反面、なにか物足りない、いや、多過ぎるんだと感じました。
庭師として、また人としての成長。親方や先輩たちの庭造りの素晴らしさ。恋愛模様。
ミッション・インポッシブル的な終盤もいいけど、そんなに混ぜないで~。
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シンプルな時代小説・人情物語と思いきや、若干イキナリの展開で転がって、悪役の彼も少し背景が弱いかなあ・・と思いつつ、最後で2回のどんでん返し。そうなの玄さん?人情物語じゃなかったの?ちゃらは主人公なのに・・というひっくり返りから、さらに最後の段落でひっくり返り。良かったんだよね?良かった。
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朝井まかてのデビュー2作目。
江戸時代の植木職人の世界を描くという点では、1作目と共通しています。
大名屋敷が集まっている江戸では、庭園づくりに熱が入り、庭園都市になっていたというのが面白く、言われてみればなるほど、と。
江戸は千駄木町の「植辰」の親方に拾われた浮浪児のちゃら。名前もなかったが、ふとしたいきさつで「ちゃら」に。
高いところを飛び回って逃げる浮浪児に辰蔵親方が笑いかけ、植木屋の仕事は空に近い「空仕事」だと言ったのだ。
ひょうひょうとしているが、腕はいい親方と、兄弟子たち。
親方の娘のお百合はまだ15だけど、男所帯をしっかり取り仕切っていて、ぽんぽんと威勢がいい。年齢の近いちゃらとは幼馴染のようでもあり、今もよくケンカになってしまう。
山猫のようだったちゃらも次第に腕を上げ、作庭の仕事が面白くなってきます。
趣の違う庭を作り上げていく実例が面白く、それぞれの家の事情も思いやる様子がわかって、前半は人情噺。
ほのかな初恋なども絡みつつ。
「植辰」に思わぬ災いが降りかかり、それが最近江戸で評判の人物と関わってのことでした。
後半はミステリー?冒険もの?
どんどん読めるので筆力は感じますが、やや驚きながら読んでました。
その間、お百合がちょっとほったらかしな感じだし。
江戸時代は10代半ばで適齢期にもなりますからねえ。どう転ぶのか?と…
結末はややあざといけど、まあそうなるだろうと思っていたし~(笑)
たっぷりした読みごたえに満足でした☆
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朝井まかての本を初めて読んだ。心地よい。次はデビュー作から順に読んでみたいなと思った。
「季節の中で風がいちばんうまいのは、夏の初めだ。」という文章で物語は始まる。これは題名にあるちゃんちゃらが口癖のちゃらの言葉。浮浪児だった彼は庭師辰蔵に声かけられ、庭師としての修行、腕をあげていく。序章から第一章に入り心惹かれる施主の娘の言葉としても「風がいちばんおいしいのは夏なのよ。」があり、終章 ちゃらが亡き後、辰蔵の娘お百合が「季節の中で風がいちばんうまいのは、夏の初めだ。」と石積みの階段を駆け上がるという情景描写がある。
序章 緑摘み、第一章 千両の庭、第二章 南蛮好みの庭、第三章 古里の庭、第四章 祈りの庭、第五章 名残りの庭、終章 空仕事で構成。「空に近い場所で働くから、庭師の仕事は空仕事だ。お前ぇ、空仕事してみろ。」と物語早々親方辰蔵が、茶店の握り飯を掠め取り神社の高い樟の木に駆け上ったちゃらに声かけるのだが、空仕事ということばで、まずその世界がパッと広がり、しっかり基礎工事ができてる感ある章区切りで、ぐいぐい読み進める。話は前後するが、そもそもちゃんちゃらという題名が魅力的で、題字の間を自在に飛び跳ねる感ある赤毛に印半纏の挿絵が、また魅力を増幅している。
流行り病に、アヘンの流入という江戸末期の舞台、辰蔵の弟子玄林、福助、アヘンをも扱う妖しげな作庭の文人白楊など登場人物たちを鮮明に描写。そのつながり、絡め方もわかりやすく魅力的。
参考文献として、「穴太の石積」「江戸の病」「実録アヘン戦争」「築山庭造伝」「禅僧とめぐる京の名庭」「夢窓疎石の庭と人生」など19冊があげられているが、これらを練り込み素敵な時代小説。名庭を見に行きたいと思わせる作庭、木と共に生きる世界の魅力も活写。映画にしても面白いだろうなと思った作品。