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投稿者:TM - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在の米国の失業率が高止まっている要因を考察した本。
バーナンキFRB議長らは需要不足によるシクリカルな要因によるところが大きいと主張している。一方で、タイラー・コーエン氏は容易に収穫できる果実が食べつくされたことによる長期的な停滞が原因と主張する。
著者が主張するのは、コンピューター等の技術進歩が速すぎることで、人間がその進歩に追い付けないことが失業率が下がらない背景だと主張する。
米国経済、日本経済を見通すうえで重要な視点を与えてくれる。
来るべき機械化された社会に備える
2015/09/23 15:27
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投稿者:Michiyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年に入り、人工頭脳や自動化を巡る話題へ注目が俄然集まっている。30年後の 2045年にでもやってくるという技術的特異点 (Technological Singularity) もかなり大真面目な議論対象となってきた。
一体どういう事態になるのか理解を深めたいと思っていた中で読んだ本だ。
この本を手に取ると一目瞭然だが、装丁が独特だ。更に黄土色の厚手の紙質に紺色の印字という大胆な製本が読む者の気持ちを引き付ける。そしてページ数が少なめだ。僅か 200 ページあまりしかない。しかし内容は十分だ。様々な経済統計や資料、調査結果を列挙して「機械」によって多くの雇用が失われ実感の乏しい経済成長が進んでいる実態を浮き彫りにしている。
何度もキーワードとして現れるのが「チェス盤の残り半分」である。指数関数的な影響力の増大を表す表現で、今まさに機械化の影響が一気に加速する場面だと警鐘を鳴らす。
半導体の性能向上指標である「ムーアの法則」を例に出すまでもなく、コンピューターは高度化していき、我々は年々依存度を増している。単に依存するだけではなく、様々な業務分野で労働者が駆逐されているというのがこの本の中での大きなテーマになっている。
しかも駆逐されるのは比較的単純な業務とは限らずむしろ高度な専門知識が要る分野も含まれるというのだから無関心ではいられない。
機械を「持つ者」と「持たざる者」との対立が明確になるとの記述は背筋が寒くなる思いがした。
しかし著者らは将来に楽観的な見通しも立てている。人間と機械の最良の組み合わせを模索すれば優れた結果をもたらせるだろうということだ。具体的な方法は各方面で様々な取り組みの中から見出すしかなさそうだが、この先に現在は想像だにしなかった新たな職種、労働市場が生まれることを願う。
著者らがまとめた政策提言も興味深い。教育分野重点化はまったくその通りだと思うが、労働流動性促進のため住宅補助を打ち切れとの内容はドラスティックだと思う。現状のアメリカですら労働流動性が足りないとの認識であるが、著者らは日本の労働市場をどのように見るだろうか?
全体を通して、現在の世界的な景気減速や恩恵の行き渡らない経済成長は、根底に機械化や自動化が起因していると思うようになった。著者らの主張が正しければ、各国政府が実施している経済政策は根本に誤りがあるかもしれない。
機械に労働が奪われている現実を直視し、知恵を絞って次世代の雇用を考える必要性を痛感する。
しかし、日本版の解説を寄せた元経済企画庁のエコノミストは、ご自身が官僚時代労働派遣の規制緩和を実現させて日本の企業や労働者が90年代を乗り切ったという趣旨の事をあっさり書かれているが、派遣労働者の大多数が賃金、待遇、そして生活でずっと辛酸を舐め続けていることはご承知されているのであろうか?
「経済学的に正しい」機械による人類支配の可能性を書いた本
2013/10/14 17:32
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投稿者:でんしゃずき - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔から機械,具体的にいうとロボットやコンピューターの「反乱」によって人類が支配下に置かれる,奴隷となる,果ては滅亡する,てなSFものがあった。そちらの方は不勉強だが,未だ「人間の思考レベルには機械は到達してはいない」ようである。
しかし,本書を読むと機械化の進展が人間を「経済面において」不幸にする可能性はむしろ高まったという印象を受ける。この200年ほど,経済活動における機械化はそれにより奪われた「以上」の雇用を創出したという。しかし,近年は「そうではない」というのだ。
製造業においては,我が国ではこの十数年ほど,人件費の安い新興国への「産業構造の空洞化」が問題視されてきた。製造業への派遣労働解禁も「国内雇用を守るため」という理由もある。しかし,3Dプリンターの例がそうだと思うのだが,「国内でしか出来ない製造技術」も「機械」に取って替わられる可能性が出てきた。
国内製造業の雇用問題といっても,正規・非正規問わず,労働者は「新興国」と「高性能な機械」の「2つの敵」に挟み撃ちされつつあるといえるだろう。
もっとも,この「2つの敵」は同根ともいえる。低賃金で高品質の製品を製造し,輸送コストも低く抑えられるのもITの発展に支えられているはずだから。
よって,このまま機械が進歩すると「仮定」した場合,「仕事それ自体」が減少し,多くの人々が低賃金どころか収入を得られず,上記のSFのような世界が出現する,というわけである。即ち,思想や行動ではなく,「経済的な面」で人間は機械に打ち負かされ,自由を失い,服従させられるという「反ユートピア」が出現する,という嫌な予想である。
もっとも未来,特に人間社会のそれは極めて予想が難しい。日本語版解説者は疑問の立場を取っている。
内容は短いくらいで読みやすい,デザインに凝り過ぎている印象はある。しかし,前述の解説と合わせ,「これからの世を生き抜いていく」という意思をお持ちの方に「参考書」としてお勧めしたい。そう,正確な未来など分かるわけはないのだ。
セカンドを読むのであれば不要かも?
2015/12/28 12:54
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投稿者:しんしん - この投稿者のレビュー一覧を見る
セカンドオブマシンエイジを読むための前提で読むのであれば、恐らく不要と思われます。セカンドで大体内容が被ってます。
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日経ビジネスのWebサイトでこの本の冒頭部分が紹介されており、非常に興味深かったので購入して読んでみました。
短くて1日で読み終えられる本ですが、内容にはいろいろと考えさせられるところがあり、いい本だったと思います。
コンピュータの発達が想像以上であり、従来は人間でないとできないと思われていたような高度の分析、判断、コミュニケーションまでこなせるようになってきており、多くの雇用が機械に置き換わってしまった結果、失業が増えているというのは、実際その通りだと思います。
それを克服する方策は、コンピュータやネットワークを使って自らのアイデアで改善・改革を行えるスキルを身につけた人を増やし、労働のミスマッチをなくすこと、そういう教育システムや労働市場の流動性が極めて重要になってくるという解決策も、まさにその通りでしょう。
自分自身のこれからのスキルアップや、子供たちへのアドバイスを行う上で、必ず念頭に置いておく必要があると思いました。
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短いが重要な論点を提示している。
ICTの進化が非常に早いためで、雇用の調整が間に合わず、多くの仕事がコンピュータに奪われているという指摘。
テクノロジー失業という言葉はケインズの昔からあるのだが、それが加速している。
自動車運転のような複雑なパターン認識をともなう作業はコンピュータにはまだ無理と2004年にはいわれていたが、2010年にはGoogleがほぼ実用になりそうな自動運転を実現した。しかもそれは、トリッキーな方法ではなく、力技でまっこうからパターン認識をやってのけてのことだった。(20万キロ自動走行して一度だけ事故を起こした。それは信号待ちで停車中に人の運転するクルマに追突されたのだった、という話には笑った。)
コンピュータとの役割分担において、人間は何をするのか。
創造的な仕事、人をよろこばせる仕事、は「まだ」人にしかできない。
その方向を伸ばすための具体的な19の提言も含まれている。アメリカを前提としているが、アメリカですらこうした方向性へむけた行動が不十分だと認識されているとき、日本の現状はどうかと考えると、これは相当に厳しいといわざるをえない。
日本人はロボットや自動機械による対人サービスへの違和感が少ないという文化的な「優位性」があるのだから、そこを活かして、人にしかできないことをやる社会をめざすのがよいのではないか。
マシンエイジを彷彿とさせる金のかかった立派な装丁。紙が厚いので、束の割には早く読める。
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テクノロジーの進歩が「速すぎた」ため、雇用が奪われているという視点は面白い。が、そもそもたいていのテクノロジーは機械による労働の置き換えが目的なのに、それに奪われたという表現は少し引っかかる。
それはともかく、今後の展望として人と機械との協調によりイノベーションを生み出し、新事業の起ち上げを進めていくべきだとの主張はイマイチ。著者によれば、教育の拡充(学校は宿題をする場所にするという発想はかなりいいと思う)により将来の起業家を量産すべきらしいが、現状のベンチャーの成功率を見ると、その未来はとても楽観視できるものでは無さそうだが。
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第1章 テクノロジーが雇用と経済に与える影響
第2章 チェス盤の残り半分にさしかかった技術と人間
第3章 創造的破壊ー加速するテクノロジー、消えてゆく仕事
第4章 では、どうすればいいか
第5章 結論ーデジタルフロンティア
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2011年に出たキンドル版を翻訳したもの。すぐ読めます。本の紙が厚紙で不便。値段もやや高すぎ。
リーマンショック後失業率が回復しない説として、①景気循環説(クルーグマン)、②停滞説(コーエン、フェルプス)、③「雇用の喪失」説を挙げ、③を主張。
③は停滞説の逆で技術進歩が速すぎ、中間層の職が「機械」(コンピュータ)で代替され、雇用の総量が減り(「テクノロジー失業」by ケインズ)、「スーパー・スター」と「肉体労働者」の「雇用の2極化」が進行しつつある、という説。
対策としては、「組織革新の強化」と「人的資本の投資」であり、著者から19の提言が挙げられております。
小峰先生が「日本が世界に伍して戦うには」と解説を付けておられますが、米国は更に先を進もうとしている時に、日本はやばいんちゃう?、と警鐘を鳴らしておられます。
日経ビジネスオンラインで、第1章が読めます。
雇用と所得は「誰が」奪ったのか
『機械との競争』第1章を公開 テクノロジーが雇用と経済に与える影響(上)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130205/243298/
雇用を奪ったのは業務の海外委託でも規制でもない
『機械との競争』第1章を公開 テクノロジーが雇用と経済に与える影響(下)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130205/243327/
<書評>
『機械との競争』 産業革命によって馬が使用されなくなったようにスキルの低い労働者は代替される
http://d.hatena.ne.jp/travelbookcafe/20130220/1361312547
良書悪書 機械との競争 池尾 和人(@kazikeo)
http://agora-web.jp/archives/1404263.html
機械との競争: 技術革新による失業の第3波を人類は乗り越えられるか
http://jein.jp/jifs/discussion/scientific-topics/1075-topic37.html
『機械との競争』テクノロジー失業の時代が迫っている
http://honz.jp/22073
マシンが同僚になる時代に備えるために――『機械との競争』
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2013/02/post-ef27.html
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薄くて大きい字なのですぐ読める。
主張も平易で、頭に入ってきやすい。
・技術の進歩はあまりに速すぎる。特に、ムーアの法則に代表されるように指数関数的なPCの性能向上はもはや人智の及ばないレベルにまで達している(著者らはこれを、ご褒美の麦をチェス盤の升目一つごとに倍にしてもらうように頼んだ逸話になぞらえる。最初のうちはその増え方はゆるやかだが、チェス版の半分を超えたあたりからは想像もつかないレベルで増えて行く)
・コンピュータの進歩はもちろん、経済全体のパイを大きくする。しかし、物質と違い、再生産のコストが0の情報化社会においては勝者の総取りが起こりやすく、増えたパイの恩恵は勝ち組の一部にしか行き渡らない。
・今後、雇用は二極分化して行くだろう。報われる仕事はきわめて高い教育を受けた者だけに可能なクリエイティブな仕事と、介護のような肉体労働、の両極端な仕事のみが機械に取ってかわられない領域として残るだろう。
・今後、機械と競争するのではなく、機械を使い、協調していくことが求められるだろう(このへんは具体性に乏しい)
・勝者総取りの世界では二番手戦略というものは存在しない。マイクロマルチナショナルともいうべき、ニッチの王様として地位を確立していく企業が生き残る
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なかなか考えさせられる本でした。
これからコンピュータはどうなっていくのか、それに人が対応できるのか・・・
一体、どうなってしまうのでしょうね。
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コンピュータとネットワークの指数関数的な発展に人間が追いつかず、雇用がどんどん減っていくのが大変だという本。切り口と最新事例の紹介は面白かったけど、打ち手の教育への投資というのはもう少し深掘って欲しかったな。
教育へ投資してもコンピュータの発展には追いつけない気がするし、本書で語られている所得格差は埋まらない気がする。(当然、大事だけど。)
スーパースターの成果に対する報酬を一部が独占するのではなく、社会全体でシェアできる仕組みが必要と思う。雇用が無いなら働かなければ良い社会って現実的じゃないのかな。狩猟時代から農耕時代になった時に生まれた人的な余剰によって文化や技術が大きく進歩したように、労働以外の領域での発展につなげられるのが理想なのでは?
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日本のある層は、電気料金が高くなると空洞化する、というのだけれど、それはそれで電気の比率が高い産業はそうなのだろうと思うけど、人件費のことはあんまりいわないなあ、と思っていました。この本は、日本と外国の人件費の競争、ではなくて、コンピュータがあんたの仕事をどんどん奪うぜ、ヤツらこんなことまで出来るようになっているんだぜ、という本。
僕はそっち方面に興味があるので、いまさらびっくりするようなネタもなかったのだけど、むしろ驚いたのは、解決策。教育に力を入れろ、持ち家に補助金を出すな。さあこれをどう捉えるか。流動化を高めることは、コンピュータとより近い土俵に行っちゃうんじゃないかなあと思っていたのですが。地元で商売、じゃ駄目なんか。それにしても、紙の色や左下の数字など、ずいぶん読みづらい本なのだけど、機械なら正確に読み取るよ、という皮肉なのだろうか。
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この本を見た時の感想は「何だ、この装丁は」だった。何しろ一風変わった装丁で、目立つなあと思ったと同時に、このジャンルの本にしては、アバンギャルドな表紙なので、どんなものか手にとって読んでみた。
内容は、機械が人間の仕事にとって代わる、あるいは人手が少なくなるという事が書かれている。その原因は、テクノロジーの発達のおかげで、オフィスの所在している場所は関係なくなり、専門にしていない人でも利用できるようになっていることが挙げられている。
カスタマーセンターは、アメリカの場合、同じ英語圏のインドやフィリピンに移して人件費の削減をしている。アメリカ英語やアメリカの文化を教えて、アメリカの顧客に違和感を持たせないようにしているという文章を読んだことがある。
語学の教師にしても、フィリピンの大学生とスカイプで英会話のレッスンなんて言う時代になっている。日本で語学学校の教員をしている外国人は、脅威に感じているだろうなあ。
法律の世界でも、テクノロジーの威力が発揮されている。E-discoveryと言う、訴訟があった場合、アメリカの司法省に対して必要な書類を提出するために、紙のものならPDF化してサーパーに入れ、パソコンのデータを必要と思われるキーワード検索をかけて振り分けるものがある。まあ、トレジャーハンティングと言ってもいいかな。イーディスカバリーと言っても、訴訟を起こされる企業にとっては「よい発掘作業」ではない。紙で発掘作業を行っていた時は、人件費と時間がかかり依頼する企業側には負担になっていた。テクノロジーを使うと手間がかなり省ける。法律事務所にとっては、人件費削減が出来てウハウハといったところか。著者は、ニューヨーク・タイムズでディスカバリーに関する記事を引用している。
ほかの分野でも、人間の雇用が機械に脅かされてきている。今回の本は、「これからがデジタル革命の後半戦。飛躍的に能力を拡大していくコンピュータに人間はますます仕事を奪われる」と言う観点から2人の著者が書いた。学校で得た知識1.0のまま、社会人として過ごしていると、機械にバッサリ仕分けされましたとなりかねないので、知識2.0にアップロードする必要があるなあと実感した。
ニューヨーク・タイムズのディスカバリーに関する記事
http://www.nytimes.com/2011/03/05/science/05legal.html?pagewanted=all&_r=1&
東洋経済のサイト
http://toyokeizai.net/
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3/20読了。飛行機移動中に8割方読破。米国では人口が増加してるにも関わらず、雇用機会の喪失の方が大きいそうです。本書では、その原因をデジタル技術での技術革新などに求め、人間の労働が機械に取って替わられ、その進歩の速度に人間が追い付けていないことを指摘しております。人間が機械に勝つのは、肉体労働と創造力が必要な労働に二極化しているとの分析は印象的。雇用と事業価値創造、そしてその目的達成手段としての教育について深く考えさせられます。装丁もSF小説ぽくてスタイリッシュ。