紙の本
よかった
2013/02/15 07:45
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常におもしろくかつわかりやすかった。日本がかかえる財政赤字の深刻さとこれから起こるだろうインフレについて勉強になった。
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面白すぎて一気読みしてしまった。野口悠紀雄教授の近著。
これは労作だと思う。(ただ、ある程度マクロ経済学の予備知識がないとややキツイかも。…といっても、私レベル…つまり学部レベルの素養があれば充分)
個人的には野口氏の指摘は大変に説得力がある。
日本における物価動向を「消費財」と「サービス」に分けて検証し、この2つは必ずしも同じ動きをしていないことを指摘しているのは秀逸。
つまり、日本における物価下落= 世間で「デフレ」と呼ばれている現象は単純な「総需要不足」によるものではない、ということがそこから導き出される。よって、今の日本に起きている現象は金融緩和が不充分だったために生じているのではない。
そして、いくら金融緩和したところでそれと物価上昇の間には関係がなくなっている状況を過去日本のマネタリーベースを増やしてもマネーストックが増えていない状況から検証し、「それは緩和のレベルが足りないからだ」という巷間されている指摘に対して、アメリカと日本の状況の違いを検証し、マネーが世界をさまよっていることからくる「仮説」(ここはいまだ仮説)を展開されている。
では、政府は何ために金融緩和にこだわっているのかといえば、その陰の目的…真の主目的は「国債を日銀に直接引受けさせること」にあろう、ということになるが、そのように財政赤字に無節操になった国に必ず訪れるのは制御の効かないインフレ…ということになる。
本当はもっと丁寧な検証がなされているので、このように簡潔にポイントだけをまとめると余計に誤解を生みそうだが、この著書の論旨はそういうことかと思う。
私には氏の論はかなり地に足がついていると感じられ、説得力があるのに対し(注: なぜ財とサービスで物価が異なる動きをしたのか?についても具体的な説明がされている)、いわゆるリフレ派の人たちの論はどうも今ひとつしっくりとこない、腹落ちしないところがある。
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野口さんの持論である、製造業中心主義からの脱却論。この本でもロジカルに説明されている。
政府は無限の財源を得るために、この不都合な真実を隠し、いつまでも実現されない物価上昇を目標にしていると告発?
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大意は、日本のデフレは、金融上の問題ではない。グローバル経済の中での工業製品の価格低下、労働賃金の世界的な平準化のなせる技である。よって金融的な措置で解決出来ない。
現今の金融緩和措置は財政規律を弛緩させ、日本経済は奈落の底へ導く。悪い円安、国家財政破綻が待つ。
結論は藤巻氏の「ひとたのりもない日本」と同じである。
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金融緩和でインフレターゲテイイングは達成できない、金融緩和という名の日銀の国債の直接引き受けはバラマキの温床でありコントロール不可能なインフレを招く、日本経済の活性化は構造改革によってのみ可能として金融理論(良く分かりませんでした^^;)を織り交ぜリフレやアベノミクス批判を展開する。
また、家計が「インフレ税」の負担を負うとして次のように説く。
『インフレが進行すれば、国債残高の実質価値は下落する。他方で、家計が保有する定期預金の実質価値は下落する。このようなメカニズムを通じて、家計から政府への所得移転が起こる。家計の消費が強制的に削減されることによって、マクロ的な経済のバランスが達成されるわけである。』
ある意味、高齢者金融資産の若年世代への移転ともいえるのだから、これはこれでも良いような気がします。まぁ、米国共和党的思想だと絶対反対なのは自明ですね。
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法学部卒業の私には正直難しすぎてよくわからん。
だけど、感覚的に現在のデフレと貨幣供給量には相関関係がないのではないかと思っていたところに、答えてくれる良書であった。
正直、わかったような、わからないような。
これは完全にレビューを書く私の教養の低さに起因するところで読んで理解をしてほしい。
金融政策はあくまで経済の血の巡りを良くするだけのあくまで補助動力であることを改めて認識させられる。
大切なのは、体中に血液を送れる丈夫な心臓、付加価値の高い産業をいかに造りだせるのかということ。
これは事業会社において、あくまで経理財務部門は補助動力であり、事業の肝は優れたサービス・財を生みだし、それを市場に届けるということと同じである。
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まとめ
・金融緩和では物価を上げることは出来ない。つまり物価目標2%は達成できないので、日銀はいつまでも金融緩和(国債購入)を続ける理由を保てる。
しかし、欧州危機が収まり、欧州資金の日本への逃避が逆流すると、日本国債はたちまち下落(金利上昇)する。
これを抑えるために国債の日銀引き受け(国会決議があれば可能)の可能性が浮上してきた頃が危険!!
円安を恐れて、日本から海外へいっきに資本が流れ、円安が加速し、輸入インフレが起こる。
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本書は本来は「マクロ経済」の本なのだろうが、現在の安倍晋三の「アベノミクス」を真っ向から否定した内容をわかりやすく解説している凄い本である。
現在の日本では久しぶりの「株高」に沸き、なんとなく「失われた20年から脱却出来るかもしれない」という期待半分、「そう簡単にデフレ脱却はできないのでは」との不安半分の微妙な雰囲気の中を揺れ動いているようにも思える。
その中で、本書の内容は釘の頭をげんのうで「ダン!」と叩き潰すように明快である。
「金融緩和策では、経済活性化という目的は達成できない」。
その理由としての過去の金融緩和策でのデータや「マネタリーベース」「マネーストック」の詳細な解説はわかりやすい。
本書を読めば、日経新聞の経済欄をより深く理解できるようになるのではないかとも思われるほどだ。
本書によると「2001年から2006年の量的緩和策は、物価動向に何の影響も与えなかった」という。
その結論として「2%の物価目標を達成するためには1ドル125円となる必要があり・・・これは到底実現不可能だ」「2%の物価目標は到底実現できない」と断言する。
これは、そうなのだろうか。本書が正しいのか、安倍晋三や黒田日銀総裁、岩田日銀副総裁が正しいのかは、2年後の日本が「2%の物価上昇率」を達成できているか見ればわかるのだろう。
では「アベノミクス」は何を招くか、本書は「何が起こるかは誰にも予測できない。海図なき航海だ。・・・日本経済全体が大きなリスクを抱えるに至っている」とする。
もし、本書の視点が正しいとするならば、現在の日本やアメリカの株高は、日米欧の際限なき金融緩和によるおおきな脆弱性を抱えた一時的なハレーションであるのだろうか。
そして、いずれ日本経済は「財政再建」か、強制的な「インフレ税」により解決に追い込まれることとなるのだろうかとも考えてしまった。
本書は、アベノミクスがマスコミを席巻する中、実にタイムリーな経済書である。
本書を読みながら、現在の政治・経済状況を重ね合わせて考えつつ、ドキドキする思いで一気に読み終えた。本書を高く評価したい。
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「金融緩和は狂気の沙汰だ」
恐ろしく明晰な頭脳。
この人は、浜田宏一よりずっと頭良い。
野口は、1980年代のバブル期に、日本国民の多くが浮かれてバブル踊りに熱中している中で、一貫して「現在の地価はバブルである」と断言できた、稀有な科学者だ。
一方、同じ頃、日経新聞は今と同じように「内需関連株」のブームを煽りまくっていた。
日経新聞って、しばしば世論をミスリーディングするけど、国民にどれほど被害者が出ようと、自らの言説の間違いについて一言も謝らず、知らん顔して済ませる。
詐欺師のようなイカガワシイ新聞だ。
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読んでる最中に、2013年5月23日、東京株式市場で日経平均株価が急落してビックリ。
終値は前日比1143円28銭(7.32%)安の1万4483円98銭。
前場に1万5942円60銭の年初来高値をつけた後、中国の景気停滞を示す指標の発表が引き金になり、株価指数先物に売りが殺到、つられて現物株も投げ売り状態に。
FRBのベン・バーナンキ議長が22日の議会証言で、市場の想定以上に早く債券買い入れ規模の縮小について示唆したことも株売りを誘発したとみられる。
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2016年1月
この人の、ビットコインの説明を聞いてたんだけど、話が論理的。知識が幅広い。論理の展開が数学的。
こんな頭の良い人っている?
すごいわ。
ホレボレしちゃう。
IQいくら?
https://www.youtube.com/watch?v=o0s4u-LVhrA
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国債の日銀引き受けが実施されれば政府の財政支出に歯止めがかからなくなりインフレを引き起こす。インフレと円安は資本逃避を生じせしめる。実質価値を低下させない円安では輸出も増えない。過度の金融緩和は日本経済を活性化させるどころか、日本経済の体力を奪い体力喪失は資本逃避を通じて急速に進展していく。日本がそれなりに信認されている今こそ最悪のシナリオを回避する最後のチャンス。最後の歯止めくらいはできるものと信じたい。
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これまでの金融緩和策は実体経済を活性化できなかった。実は真の目的は日銀による財政赤字のファイナンス(国債の貨幣化)であり、それをいつまでも続けるためである。(知らなかった。)
日銀による国債の直接引き受けが認められれば、財政支出はとめどもなく膨張する。インフレによって国債の実質価値が低下できる。国民は、資産を円建てから外貨建てに移せばリスクを回避できる。この資本逃避が起きると急激な円安をもたらし、それが輸入価格を高騰させてインフレを加速させる。
このようなプロセスがおきないよう自国通貨で資産を保有できる環境を整備する経済運営が重要である。
新しい産業を興して雇用を創出することによって、日本経済を活性化する構造改革が不可欠である。
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はじめに
第1章 金融政策はどう行なわれるか
第2章 効果がなかった量的緩和
第3章 大規模為替介入と円安バブル
第4章 日銀による財政赤字のファイナンス
第5章 金融緩和でデフレ脱却はできない
第6章 世界を混乱させるアメリカ金融緩和QE
第7章 金融緩和のエンドレスゲームに突入する世界
第8章 金利高騰は大問題
第9章 財政赤字と金融緩和で国家は破綻する
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金融緩和で日本は破綻する 単行本(ソフトカバー) – 2013/2/1
「デフレからの脱却」ではなく、「所得低下からの脱却」が必要
2013年3月31日記述
超整理法、超勉強法、1940年体制などで有名な野口悠紀雄氏の本。
2012年12月の総選挙で登場した安倍晋三新内閣の金融政策への警鈴の書である。
なぜなら金融緩和のみで経済成長を促進するのは困難であるし何よりバブル崩壊以後行われてきた金融緩和そのものの効果も疑問があるからだと説く。
一般にデフレというけれども値下がりしているものはPC、デジカメなどの製品で
文房具、自動車教習代金などは逆に値上がりしている。
(新興国の工業化がデフレの一因になっている)
また現在日銀は安倍内閣と呼応して物価目標として2%をあげている。
しかしそもそもの物価目標、インフレターゲットの目的は物価抑制であるという解説は基本的なことを忘れがちな私達に重要な指摘だ。
本書内では実際のデータから示されることを解説していく。
他の野口氏の経済本もそうであるけれどもなかなか難しい。
一般人がスッと理解できるレベルではないので注意。
本書内にあった「デフレからの脱却」ではなく、「所得低下からの脱却」が必要という指摘には頷く他ない。
他の書籍、記事でも著者が指摘しているように新産業が起こりやすいように規制緩和を進め古い体質の企業を存続させる政策を取りやめることが必要である。
安直な方法で深刻な問題が解決されるはずがない。
良薬口に苦し。
考えてみれば当たり前のことである。
しかし政治は痛みを伴う改革を避けてばかりだ。
この10年で国民に不都合なことがあっても改革を進めたのは小泉純一郎、野田佳彦くらいだろうか。
今、安倍新内閣は支持率もやや上向き加減で近年で見れば順調そうに見える。
しかし地道で愚直な改革を成し遂げるよう方向転換することを祈らずにはいられない。
このレビューを書いている今日、既に黒田東彦日銀新総裁は2%の物価目標が困難であることを認めている。
本書を読むと日銀のニュースから目が離せなくなるだろう。