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おやこんなシリーズがあつたのかと手に取る。実は「【図説】日本の鉄道」シリーズ」(あのB5の薄い本のシリーズだよ、と言つても分からないか)の別冊を書籍化したものださうです。更にそれを文庫化したのが本書であります。同シリーズを所持する人にとつては紛らわしい一冊ですが、わたくしは購買してゐませんでしたので幸いでした。
第一弾として発表されたのが本書「東海道ライン編」。東海道ラインといふ呼称は著者・川島氏の造語だとか。色々と言葉を創り出す人ですなあ。
3章構成であります。第1章は「駅と配線のミステリー」。東海道を謳ひながら、冒頭に「上野-秋葉原間1.6kmに隠された謎」を持つてきたのは絶妙であります。かういふ書物は、まづ首都圏の読者を惹きつけねばなりません。わたくし自身も秋葉原駅の歴史については無知でした。何しろテツではないのでね。
因みに「愛知の鉄道・舞台裏」「名岐の鉄道」については、地元民だけあつて、わたくしには承知済みの事項でした。
第2章は「知られざる鉄道史」。「東京駅の変遷」「横浜と鉄道」はまさに、日本の鉄道の発祥そのものと申せませう。個人的には「生駒山の壁」が興味深く読めました。近鉄各線が最短距離を通らず、不自然な線形をしてゐる理由が分からうといふものです。
第3章は「配線図を楽しむ 絶景・名所クローズアップ」。「配線図」をダシにした観光案内ですかな。豊橋駅のホテルアソシアからのトレインヴューを紹介するあたりは、流石に川島氏であります。本当に絶景、といふかテツにとつてはいつまでも見飽きない光景なのであります。
講談社の〈図解〉シリーズは、その名に反してあまり図解が目立たぬ本が多かつたのですが、この配線シリーズは文字通り「図解」が活躍し、その名に恥ぢぬ内容であります。カラー頁が多いのもいい。本書の後、「山陽・山陰ライン」「中部ライン」と続き、どうやら配線シリーズで全国制覇するつもりらしい。それも結構ですが、肝心の「大研究」シリーズを早く完結して頂きたいとも思想するわたくしでした。
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