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ルヌガンガ(バワ)が圧倒的に好きだな。
モダンでシャープなんだけれど、使っている素材は自然や風土に根ざしたもので、全体として引き締まりつつも、柔和で温和な印象を持つ。その調和が絶妙なんだろう、決して野暮にはならない、洗練されたバナキュラー。自然素材によって構成されつつも、理知的な強度も共存させている、そういうところに惹かれている。
アールトも同じようなところがあるけれど、もうちょっと削いだ感じがするというのか、プロダクト的要素や、‹人間›の度合いが、自然よりも強い気がする。だから、全体の印象としては、バワよりも、知性的・理知的な印象を抱く。そこが少し僕には、近寄りがたさを感じてしまうかな。自然と繋がっているというよりは、環境を「外部」にして、その上での人間の居心地を優先させているという印象。
ただ、‹シャープだけど、温かい›とはいえ、オキーフのそれとか、ヨーガンレールの家ともまた違うので、ここらへんは按配がいるし、それを醸す方法もいくらいでもあるんだろうなぁ。
骨格や構成原理としては、知性や理論、洗練がありながら(西洋的)、しかし表出する外面には自然が前面に出ている(東洋的)という感じかな。建築に限らずこれからのグローバル社会においての一つの指針になるんだろうな。宮沢賢治の詩のよう。