紙の本
よく分からない
2017/11/09 17:19
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投稿者:てくちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドロドロした人間関係の中身は読んでいてあまり面白くなかったです。
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文藝春秋で読了済。文庫化を機に再読。登場する女性たちに魅かれた。受け身ではあるが健気でたくましい。物語の中で「川」が女性に例えられる場面がある。これは身体的特徴だけではなく、良くも悪くもすべて受け入れてしまう登場する女性の一つの性質を象徴しているように感じた。瀬戸内寂聴さんとの対談も興味深い。田中さんが「血」にこだわるのはお父様を早くに亡くされた体験に起因しているようだ。併録の『第三紀層の魚』は『夜蜘蛛』と似た雰囲気を感じた。
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昭和63年の恐らく中国地方かと思われる、川の近くの田舎での父と息子。父には女を抱くときに殴るという癖があり、その癖ゆえに"仁子さん"と呼ぶ本来ならば母であるはずの人は川の反対側に離れて暮らしている。その一方で、新たな女である琴子さんと暮らす父。そんな父をなんとなく否定的に捉える遠馬にも、千種とのセックスで父と同じく女を殴る癖を持つことに気付く。遠馬と付き合っていたこの千種に強姦までした父、欲望のままに生きるこの父を、遂には元妻である遠馬の母・仁子が殺すことになるのだが、遠馬はそんな彼の血を間違いなく引いているこの父からは逃れられない。
結末の過激さと比べても、この話全体として悲壮感はそれほど強くはないように思う。人間と人間との結び付きで生まれたのまた同じく人間である以上、自分以外の人間の呪縛からは逃れられることはない。この場合の遠馬は、父の呪縛から逃れられなかった、そしてその事実が読者の目前に淡々と突き付けられているといった、そんな印象。
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うーん……。不快感が拭えないまま読了。著者本人には非常に興味があるので、次回作に期待。にしても、映画化って…。
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個人的には,瀬戸内寂聴との対談>『第三紀層の魚』>『共喰い』。
表題作はもうなんか途中から,批判的なレビューを書く自分ばかり想像してしまった。「血と性」は好きなテーマだし,寂聴さんも仰ってたように会話文はとても好き。だけどもう,地の文が合わなくて…特に比喩が入る文はもう,あまりに要領を得ないリズム感のない文章に素人ながら思わず赤ペンを入れたくなるような感じでした。イメージが踊っているのはすごく伝わってくるので,散文が向いてないのかなんなのか…音読とかはしているのだろうか。新鮮な言語感覚も大切だけど,言葉にする以上はもうちょっと伝えようとする努力があってもいいのではないかなぁと思ってしまいました。これがこの人の持ち味です,と言われたらそれまでだけど。いかんせんテーマとか題材とかが好きなので,文章さえ合ったらなぁ,と。他の作品に手出せないではないかー。
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現実感があるようで、ゆっくり時間が過ぎて行くような不思議な感覚の短編。ひどい話。あまりオススメできない。同じ本に収められている「第三紀層の魚」の方が話としてはまし。
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「中上だな」「うん。中上だね」
という二言で切り捨ててしまう、にはもったいない。
血と性と暴力と血縁。さらにキャラクター配置までが中上的。
しかし中上は動く。行動する。この人は竦んでしまう。この違いがある。
そして拭いきれない小者感。しかし作者も作中人物もスターとして存在できる時代ではないのだ。そういう意味で、あの弱さに傾いた描写をこそ高く評価すべきなのではないか。
また鰻や犬といった象徴的な描写もよい。唐突な内面描写とその切断も。
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みなさん書かれていますが、「第三紀層の魚」がとてもよかった。 展開がきれいで、入試問題にしたくなるようでしたが、クライマックスの「どうして自分が泣いているのか分からなかった」からの理由の候補の羅列に、解かせてなんかやらないぞという意思を見ました。憶測ですが。
この人が女を書くのがうまい、と言われるのは、血族と同時に姻族をきちんと書こうとされるからだと思う。お父様を早くに亡くされているからかもしれないけれど。
しかしね、姻って女に因るって書くのね。初めて正確に意味を理解した気がする。
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読み終わって、このタイトルの由縁を思うと、
そう言う意味だったのかい!
っと、気持ち悪さがぶり返します。
全体的に陰湿で、村上龍とか金原ひとみの初期の作品にある様な、独特な嗚咽感が何とも言えません。
父親の異常性癖に嫌悪感を覚えながらも、自分も恋人との性交で暴力的にオルガニズムに達する行為の残酷さに自己嫌悪に陥るんですが、とにかく気持ち悪く残酷です...
人間に本質に宿るサディズムという観点では、選考委員の一人である村上龍にも通じる主題だと言えます。でも、この時は欠席だったようですが...
方言と変な構文。独特な汚物臭漂う河口の情景描写に戸惑いながらも読み進めるうちに、一気にドライブして、衝撃的な後半の進展に唖然としてしまいました。
親子の不可避な遺伝子の不遇や、貧相で古めかしい家庭環境の中で、嫌でも目撃し、記憶として体内に宿ってしまう悪態の呪縛は、よくある大人になってからのトラウマとか、鬱病に繋がる悪しき記憶として逃れられなくなるであろう残酷さがリアルですね。
この後大人になってからの遠馬と千種の物語を是非書いてほしいです。
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筋肉痛みたいに後から来ました。河原で魚が腐っていくような話。
自己否定と快楽との葛藤は生々しく、また、救いがある、克服したとは言い難い結末に悶々とします。
ジメジメした話が好きならオススメです。嫌いじゃない。
第三紀層の魚の方が万人受けしそうだと思いました。
男の子の複雑な意地っ張り可愛いです。
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素姓、環境の影響は免れ得ないことは是か非か?判断がつかなかったが(つまり主張がわからなかったが)、といってそこに虚無感を感じさせないのは得点であるとも思う。芥川賞受賞作品らしい。
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読んどいてやった。
冗談です。
文庫化したら是非読もう!と思っておりました。
なかなかの世界観。
個人的には表題作の『共喰い』より
二つ目の『第三紀層の魚』にグッと来ました。
更に瀬戸内寂聴さんとの対談も入っていて420+税にしてはかなりの満足感。
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高校生の俺、一つ年上の彼女、酒とsex,何を業としているか分からぬ父、継母でスナックで働く若い さん、実母で同じ町で魚屋を営む さん
父は誰これ構わずSEXをしたがり、暴力を振るう事に快感を覚える…
反目している俺だが、父に似ている事に気づかされる
かなりショッキングな内容だが、卑猥感はなく、文学として読めた。
想像以上に面白かった!
登場人物が、非日常的なのに不思議なリアリティがあった。
展開もナカナカ!
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この作品を読んだ後「赤目四十八滝」と「苦役列車」を思い出した。泥川の匂い、魚の生臭、女の汗…、映像以上に強いイメージを掻き立てられる文章に煽られ、一気に読了。映画での母親役が読んでる最中にイメージしていた田中裕子さんと知り、映画も益々観たくなった。本を読む楽しみをあらためて味わえる作品だと感じた。
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表題作は特に感想はありませんが対談が面白かったです。個性的な作家という印象でしたが、田中先生がごくごく普通の人なんだと分かりました。