紙の本
映画もいいけど原作もよかった
2015/02/17 12:49
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投稿者:kani - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画が先で、後から原作を読みました。
初めから終わりまでセリフがよかった。
図書準備室とかに比べるとすごく読みやすいし、シンプル。
後半は迫ってくる感じがあって、ラストも終わり方がすっぱりとしててすき。
女性に対する暴力というテーマはできれば読みたくないと思っていたけど、なぜか受け入れて、何度も読み返してしまいました。
この世界にもう少しいたいと思ってしまう。
田中さんの何気ない描写や視点にも引き込まれるので他の作品も読みたくなりました。
基本、暴力は読みたくないので☆−1。
紙の本
母(女)の決断
2014/06/04 00:59
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投稿者:英現堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『共喰い』。
下水道設備のない川のそばに住む主人公篠垣遠馬と父親、別居の母親。その川では鰻がつれる。母が捌き、父が食う。なんか食べたくないな。母は戦争で右手首を失くし、それでも結婚するという年下の父と一緒になった。父はSEXの時に殴るという癖を持つ。だんだんと嫌な父親に似てくる遠馬。決断は母が行った。強烈な個性は母にあった。
『第三紀層の魚』
主人公信道と曽祖父、祖母、そして母親。曽祖父は釣りの指南役であったが、亡くなってしまう。信道は母とともにその家を離れ、東京へ行く。印象的なのがここでも母の決断。
『源氏物語』について語る巻末の瀬戸内寂聴との対談も面白い。
電子書籍
不思議な
2016/03/22 21:51
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投稿者:けぇちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんよりとした世界観があって引き込まれます。
思春期にこんな世界にいて、この子はどうなってゆくのだろうと。
でもさすが、母は強しです。
紙の本
コンプレックス
2015/10/31 23:36
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投稿者:けのび - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親の性癖が自分にも隠れていると知り絶望する主人公だが、父親の嫌なところが似ていると感じることは誰しもあるだろう。そういったときに読んでみたいものだ。
紙の本
脈々と受け継がれる
2020/01/26 22:28
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
淀んだ川辺に貼り付くように生きる、父と息子の姿が印象的です。理不尽な暴力に晒されながらも、新しい命を生み出していく女性たちの強さにも圧倒されます。
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投稿者:うさぎちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞受賞作品ということで読んでみたのですが、私的にはいまいちでした。
紙の本
よく分からない
2017/11/09 17:19
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投稿者:てくちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドロドロした人間関係の中身は読んでいてあまり面白くなかったです。
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文藝春秋で読了済。文庫化を機に再読。登場する女性たちに魅かれた。受け身ではあるが健気でたくましい。物語の中で「川」が女性に例えられる場面がある。これは身体的特徴だけではなく、良くも悪くもすべて受け入れてしまう登場する女性の一つの性質を象徴しているように感じた。瀬戸内寂聴さんとの対談も興味深い。田中さんが「血」にこだわるのはお父様を早くに亡くされた体験に起因しているようだ。併録の『第三紀層の魚』は『夜蜘蛛』と似た雰囲気を感じた。
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昭和63年の恐らく中国地方かと思われる、川の近くの田舎での父と息子。父には女を抱くときに殴るという癖があり、その癖ゆえに"仁子さん"と呼ぶ本来ならば母であるはずの人は川の反対側に離れて暮らしている。その一方で、新たな女である琴子さんと暮らす父。そんな父をなんとなく否定的に捉える遠馬にも、千種とのセックスで父と同じく女を殴る癖を持つことに気付く。遠馬と付き合っていたこの千種に強姦までした父、欲望のままに生きるこの父を、遂には元妻である遠馬の母・仁子が殺すことになるのだが、遠馬はそんな彼の血を間違いなく引いているこの父からは逃れられない。
結末の過激さと比べても、この話全体として悲壮感はそれほど強くはないように思う。人間と人間との結び付きで生まれたのまた同じく人間である以上、自分以外の人間の呪縛からは逃れられることはない。この場合の遠馬は、父の呪縛から逃れられなかった、そしてその事実が読者の目前に淡々と突き付けられているといった、そんな印象。
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うーん……。不快感が拭えないまま読了。著者本人には非常に興味があるので、次回作に期待。にしても、映画化って…。
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個人的には,瀬戸内寂聴との対談>『第三紀層の魚』>『共喰い』。
表題作はもうなんか途中から,批判的なレビューを書く自分ばかり想像してしまった。「血と性」は好きなテーマだし,寂聴さんも仰ってたように会話文はとても好き。だけどもう,地の文が合わなくて…特に比喩が入る文はもう,あまりに要領を得ないリズム感のない文章に素人ながら思わず赤ペンを入れたくなるような感じでした。イメージが踊っているのはすごく伝わってくるので,散文が向いてないのかなんなのか…音読とかはしているのだろうか。新鮮な言語感覚も大切だけど,言葉にする以上はもうちょっと伝えようとする努力があってもいいのではないかなぁと思ってしまいました。これがこの人の持ち味です,と言われたらそれまでだけど。いかんせんテーマとか題材とかが好きなので,文章さえ合ったらなぁ,と。他の作品に手出せないではないかー。
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現実感があるようで、ゆっくり時間が過ぎて行くような不思議な感覚の短編。ひどい話。あまりオススメできない。同じ本に収められている「第三紀層の魚」の方が話としてはまし。
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「中上だな」「うん。中上だね」
という二言で切り捨ててしまう、にはもったいない。
血と性と暴力と血縁。さらにキャラクター配置までが中上的。
しかし中上は動く。行動する。この人は竦んでしまう。この違いがある。
そして拭いきれない小者感。しかし作者も作中人物もスターとして存在できる時代ではないのだ。そういう意味で、あの弱さに傾いた描写をこそ高く評価すべきなのではないか。
また鰻や犬といった象徴的な描写もよい。唐突な内面描写とその切断も。
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みなさん書かれていますが、「第三紀層の魚」がとてもよかった。 展開がきれいで、入試問題にしたくなるようでしたが、クライマックスの「どうして自分が泣いているのか分からなかった」からの理由の候補の羅列に、解かせてなんかやらないぞという意思を見ました。憶測ですが。
この人が女を書くのがうまい、と言われるのは、血族と同時に姻族をきちんと書こうとされるからだと思う。お父様を早くに亡くされているからかもしれないけれど。
しかしね、姻って女に因るって書くのね。初めて正確に意味を理解した気がする。
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読み終わって、このタイトルの由縁を思うと、
そう言う意味だったのかい!
っと、気持ち悪さがぶり返します。
全体的に陰湿で、村上龍とか金原ひとみの初期の作品にある様な、独特な嗚咽感が何とも言えません。
父親の異常性癖に嫌悪感を覚えながらも、自分も恋人との性交で暴力的にオルガニズムに達する行為の残酷さに自己嫌悪に陥るんですが、とにかく気持ち悪く残酷です...
人間に本質に宿るサディズムという観点では、選考委員の一人である村上龍にも通じる主題だと言えます。でも、この時は欠席だったようですが...
方言と変な構文。独特な汚物臭漂う河口の情景描写に戸惑いながらも読み進めるうちに、一気にドライブして、衝撃的な後半の進展に唖然としてしまいました。
親子の不可避な遺伝子の不遇や、貧相で古めかしい家庭環境の中で、嫌でも目撃し、記憶として体内に宿ってしまう悪態の呪縛は、よくある大人になってからのトラウマとか、鬱病に繋がる悪しき記憶として逃れられなくなるであろう残酷さがリアルですね。
この後大人になってからの遠馬と千種の物語を是非書いてほしいです。