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「あんこ(小豆)が見てきた感じてきた音を聞くのよ」と吉川さんは言った。誰でも生かされているんだ、そこで精一杯生きるんだ・・とのメッセージは、閉ざされたらい病棟で長年暮らした吉川さんならではの感慨だ。
私のスイーツ第一位は「小豆あん」。粒あん、こしあん両者ともに違っていて甲乙つけがたい。「あん」についての記憶がまたひとつ増えた。
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どら焼き屋のバイトに入ったお婆さんは、あん作りが上手くて、手の指が奇妙に曲がっていた。 小説にルポルタージュを混ぜてメッセージ性が強い。
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読み始めはライトな感じの小説だと思っていたのですが、読み進めていくうちにハンセン病を扱った考えさせられる作品であることに気が付きました。
ハンセン病という病気の名前や昔は差別されていたこともなんとなく知っていたけれど、その病気がどういうものでどのように差別されていたのか、現在はその問題がどうなっているのかなど、あまり知らなかったのでとてもいい勉強になったように思います。
ある日突然病に侵されて連れ去られるように隔離され、持ち物もすべて焼却され、一生その中だけで生きていかなければならないということの理不尽さを感じました。
しかも特効薬が発見されておらず、ものすごい痛みを伴い、体が変形していく恐怖。
想像するだけで涙が出そうなその状況が何も罪もない人たちを襲っていたという事実を私自身があまり理解していなかったことに驚きました。
もっと知らなくてはいけない問題ですね。
そんな閉鎖された状況の中で、自分たちのできることを見つけて小さな楽しみに変えていこうという努力に涙があふれました。
トクさんの「あん」、食べてみたいな。
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本屋で表紙とタイトルと出だしの数行でなんとなく回転焼きのお店をしている家の女子高生が主人公でドタバタ明るい話なんだろうと思って読んだら、全然違った!
読み始めてサクセスストーリーなのかと思ったら雰囲気が違ってきて、そんな内容とも違う。ちなみに回転焼きではなく、どら焼き。
何度も涙した。もっと考えさせられるものだ。なんで人は生まれてきたのか。
私は途中明かされるそれは聞いたことはあるが、どんな歴史があったのかあまりよく知らなかったので、とてもショックも受けた。そして考えさせられる。生まれてきたことの意味。
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あんまりぱっとしない町のどら焼き屋「どら春」の雇われ店長・千太郎。商売にあんまり身が入らないのは、好きで選んだ道でもなく、よんどころない事情で借金返済のために働いているからだ。
そんな「どら春」に見慣れぬおばあさんがやって来る。アルバイト志願というものの、どうみても70歳は越えていて自分のお袋くらいの年頃。体よく断っても毎日やって来る。バイト代半額以下でも働きたいという熱意と、「あん」作り50年という経歴を聞いて、ついに千太郎もその気になる。
その「あん」作りの腕前がすごい。指が曲がって不自由そうな作業だけれど、小豆と語り合うかのような仕事ぶりに千太郎も感銘を受ける毎日。
それまで、出来合いの「あん」を買って済ましていたどら焼きが、ぐんと旨くなって商売も繁盛。常連の女子中高生にも評判になる。
ところが、そんな日々に、黒いうわさ話がしのびこんできて、、、
しんみりと考え込まされるその後の話。
この小説のここかしこに、仕込まれていた秘密がひとつひとつ解き明かされるにつけ、その重さを感じてしまうかも。
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この病は、本当に地獄だ。
死ぬよりも辛い目に遭いながら死ねない病。
治っても世間に受け入れてもらえない。
絶望の淵に立ちながらも
生きる意味を見出した徳江さん。
仕事や、生きることになんの思い入れも無く
過ごしてきたどら春の雇われ店長は、
徳江のあん作りを通して息を吹き返すように
変わっていく。
自分は何のために生まれて来たのか
誰もが一度は考える事だろう。
人は考える頭があるから、いろんなことに意味を
見つけようとするけど、でも、ほんとうは、
生に意味などないのかもしれない
と思った。
本が伝えたかったこととは真逆だけど。
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いい本だった。とても。
大げさかもしれないけど、小説の可能性を感じた作品でした。
舞台はさびれた商店街のどら焼き屋。日々なんとなく仕事をしていた雇われ店長・千太郎のところに、餡作りがとても上手な老女・徳江がアルバイトをさせて欲しいとやってくる。「バイト代はいくらでもいいから」と食い下がる徳江を千太郎は渋々雇い始め・・・。
物語の鍵を握るのは、実際日本でも大きな差別にさらされたある病気です。読みながら「これって時代設定いつ?」と思いましたが、現代のお話なのですね。一度刷り込まれた差別意識がなかなか抜けないことを改めて感じさせられました。
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ハンセン病や、多摩全生園については、名前だけ知っているという感じで、過去のことと言う思い込みがあった。
しかしあんの作り方の丁寧なこと。
一度煮こぼした後は、圧力鍋で一気に作る私のやり方では
美味しく出来る訳ない、と実感。
ラストは希望があるようなないような終わり方であった。
ワカナちゃん、定時制高校をちゃんと卒業して、ステキな大人に
なるといいなあ。
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明るいか暗いかって言ったら暗い感じの物語なんだけど
いつもどこかに小さい光がある感じで
ちょっと淋しいけど、なんとなくほっこりする本でした
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第2回イベントで紹介された本です。
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全てのものごとには意味があるし、
その意味を見いだす人にも価値がある。
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深遠な人間賛歌ですね。人の価値とは・・・その深さを教えてくれる小説のようです。
Amazonの評価も高いですね。レビューの内容も、感動の想いがたくさん綴られています。
秋にさしかかって深く考える時期に、手に取りたい一冊かもしれません。
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どら焼きとハンセン病。
一見、何の関係もないこの二つを合わせ、非常によく出来たストーリー。ハンセン病患者の辛い現実を、日本が患者に対して与えた仕打ちを、読みやすく、けれど決して甘くなく、読んだ人間に重く問いかける小説。
>相変わらず世の中は厳しいねえ。
私たちはこの世を観るために、聞くために生まれてきた。
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「あん」和菓子の餡のことでしょうね。
読み始めて主人公の名前が「千太郎」というのがますます餡子との結びつきの強さを感じました。
というのは京都に「仙太郎」という和菓子屋さんがあり、そこの餡子が素晴らしくおいしいのです。
最中など、最中を食べているのか餡子を食べているのかわからないくらいの存在感です。
もしやそこからのネーミングかと作者のプロフィールを見てみましたが、特に京都にゆかりのある方ではないので偶然なのでしょうか。
また作者のドリアンさん・・・アン・餡です。
以上、本文とは関係ありません。
主人公が一人で切り盛りするどら焼き屋さんに、一人のおばあさんがやってきて、餡作りに雇ってくれと言います。
餡を変えたことで、おいしくなったどら焼き。繁盛するお店のほのぼの心温まる話かと思いきや・・・
おばあさんにも、店主にも重くてやるせない過去があり、いまもずっと引きずり、抱えながら生きている、という予想を裏切る展開となっています。
甘くておいしい餡が、人々を幸せにしてくれる、そんな話を想像していたのですが。
起きてしまったこと、済んでしまったことは仕方がないにしても、残された未来に希望を見出すような結末が少しだけ見られることが救いでしょうか。
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引き込まれて一気に読みました。おもしろかった。最後は徳江さんの手紙で終わるのかと思っていたのですが、それについてのお友だちのコメントが効いていました。
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タイトルのあんって何だ?と思ったら
どら焼きのあんこの事だった。
想像を絶する、悲しいあんだった。
隔絶された場所で生きた一人の女性が放つ輝きに
涙が流れて仕方なかった。
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千太郎が一人で切り盛りする小さなどら焼き店、どら春。そこにバイトの求人を見てやってきたのは、手の不自由なおばあさん。とても美味しい「あん」をつくるおばあさんには、つらい過去があった・・・。生まれてきた意味について考える一冊。重いテーマだけど、気持ちがすっとするお話です。
九州ルーテル学院大学:職員 ぽてと