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不完全であれ。未熟であれ。不自由であれ。
サーカスの世界を必死に輝き散っていく少女たち。
守り守られていた歌姫アンデルセン。
双子のブランコ乗り。
獣使いにマリオネット。
そして、少女たちを取り巻く男たち。
どこまでもブランコ乗りでいることに執着し双子であり、一番の理解者であり、一番憧れていたもう一人の私であってそうでない私に、自分の帰る場所を守ってくれと頼む。
そこまでするほどにステージで輝くときは気持ちがいい。
それが本当に伝わってきて、キラキラした舞台の裏に少女たちのドロドロとした関係があり、それを乗り越えてステージに立つ少女たちの強い姿には心に残る物があった。
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少女たちのみで構成されたサーカス。
飛べなくなったブランコ乗りとその妹、笑えない猛獣使い、毒婦と称される歌姫。そんな彼女たちを観る大人達の目。
きらびやかな幻想のサーカスを舞台に、永遠を求める少女達の物語。
◆眩いサーカスの舞台を背景に、少女たちの心情にスポットライトが当てられた作品。
登場する少女たちはある意味純真で綺麗で、そしてどこか悲痛さ背負ってる。
まさに「命を売っている」という作中の表現が相応しく、刹那を生きる彼女たちは目を反らしたい程に眩しい。
彼女たちにイマイチ共感出来なかったことが、私がこの作品を楽しめなかった最大の理由だと思います。
きっともっと、彼女たちと同じ位の年頃の時に読めていたなら感じ方が変わったのだと。彼女たちが眩しく哀しげに映るのはそんな過ぎ去った時分を惜しむ気持ちがあるからかもしれません。
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宝塚を思わせる舞台装置に、ある種の少女フェチを満たしてくれるファンタジーだけど、いまいち心に迫ってくるリアリティがない。あまり心に残らなかった。ラストはなかなか良い。
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表紙とタイトルに惹かれていたが
読んでみて
面白かった!
この人の手にかかると、どうしてこうも「少女」たちは
不完全で不安定で、噎せ返るほどの甘さを持ったまま美しいのだろうと。
設定とタイトルが秀逸。
市内の図書館においてないとわかって、近隣の市図書館を探してやっと読むことができた。
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刺すような熱と冷たい恐怖。
命綱ナシの夜間飛行。
まばゆいばかりのスポットライトと拍手の雨の中、
孤独に震える少女は
自由を掴むため、
本当の自分を取り戻すために
漆黒の闇へと舞った…
冒頭、上空13メートルからのブランコ乗りのシーンに
ハートを強烈に鷲掴みにされた。
なんという吸引力。
なんという世界観。
場末のBarやストリップ劇場、路地裏のキャバレー、移動遊園地やサーカス小屋など、
妖艶でいかがわしく
どこか悲哀に満ちた暗がりの世界に
僕はなぜか決まって惹かれてしまう。
大好きな佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』や
サーカスのブランコ乗りの女に恋をする天使を描いた
お気に入りの映画『ベルリン・天使の詩』、
チャップリンの『ライムライト』、
『道化師』や『道』をはじめとするフェデリコ・フェリーニの映画、
ナイフ投げの的にさらされるヴァネッサ・パラディが官能的だったパトリス・ルコントの『橋の上の娘』、
ルノワールやシャガール、ロートレックが好んで描いた
閉鎖的で悪魔的で
魅惑的なサーカスの世界。
あまりにも少女漫画的であるとか、
酔ったセリフに嫌悪感を覚えるとか、
はっきり言って人を選ぶ作品なのは重々承知の上。
しかし、そこに込められた熱量や
確固とした世界観、
生きているセリフの一つ一つに
僕の胸は激しく高鳴った。
甘やかで詩的、
エロティシズムとリリシズムが
絶妙に溶け合う文体で綴られる
舞台に立つ者、
選ばれし者たちの美学。
哀切とともに慰撫するかのごとく描き出す、
儚くも誇り高い少女たちの世界。
描かれるのは
見せ物となるために集められた二十歳にも満たない少女たちで構成された、
道化のいない『少女サーカス』の世界だ。
他者を排除するだけの強さと美しさを持ち
勝利した者だけが、
古き文学者の名前を戴き、
眩いばかりの憧れの舞台へと躍り出ることができるのだ。
怪我をしたサン=テグジュベリの影武者となるべく
身分をひた隠してブランコ乗りに挑む
19歳の主人公、片岡愛涙(える)。
愛涙の双子の姉で
ブランコ乗りの称号、
八代目『サン=テグジュベリ』のを襲名した片岡涙海(るう)。
少女サーカスのシンボルで蜂蜜色の声を持つ
歌姫アンデルセン。
少女サーカスの絶対的支配者である
団長のシェイクスピア。
できるなら舞台の上で
動物たちに食われて死にたいと願う、
笑顔を忘れた
心優しき猛獣使いのカフカ。
食物を拒絶し薬に依存する
人形のような少女、
パントマイムのチャペック。
こんなセリフがある。
「彼女は綺麗だった。私と同じ顔なのに綺麗だ。
なぜならば、綺麗であろうとする人だからだ。
誰かに賞賛されるために生まれた���だからだ」
愛涙は確信を持って言う。
ベッドから起き上がれない、たった一人の双子の姉を
『世界で一番誇り高い、本物のブランコ乗り』だと。
つまり、この作品は
才能を持つ者と持たざる者のストーリーだ。
永遠に追いつくことなどありはしない存在。
同じ顔で生まれたのに
誇り高く女神のように神々しい姉。
陰口、嫌がらせ、妬み、
嫉妬嫉妬嫉妬の渦の中、
何の約束も何の保証もない世界
だからこそ、
決して手に入れることのできない
『永遠』を求めて
少女たちは命を削り続けるのだ
。
フランソワーズ・サガンのデビュー作「悲しみよこんにちは」の17歳の主人公セシルのように
傲慢で利己的で残酷な少女たちは、
挫折や別れ、悲しみという感情を知って初めて、
成熟へと
大人の女性へと劇的な変貌を遂げる。
チャペックとカフカが交わす
さよならの形をしたバトン。
凛と咲く歌姫アンデルセン。
自分自身であり続けるため
最後の決断を下す双子のブランコ乗り。
勝負の世界で生き残るために
苦悩の末辿り着いた
それぞれの壮絶な『覚悟』に刮目して欲しい。
エモーショナルに胸を打つラストシーンを読んで、
僕にとってこの作品は
記録ではなく
記憶に残り続ける存在となった。
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"拍手は雨。スポットライトは雷光。だとすれば、私は雷雲の中へ夜間飛行を命じられた飛行士なのだろう。"
嫉妬。レッスン。虐め。この稀に遭遇する少女マンガ特有のノリが楽しめんのです。ごめんなさい。
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紅玉いづきさんの作品は久しぶりに読みました(*´-`)
ガーデンロストもかなり良い作品でしたが、同じくらい気に入りました
舞台はやや近未来的かな?とも思いましたが、そういうことも気にせず楽しめる作品だと思います。
文庫本になったら買おうかな♪
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愛おしい少女たちの物語。わずかな期間、芸術に魅入られた甘くて苦い、強烈な夢。最後の最後でミミズクと毒吐姫を読んで、そのあとすぐ読んだ。あたたかさが同じだった、当たり前かもしれないけれど。このあたたかさ、すきだ。
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胸の高鳴る、こうだったら良いという願望とか夢を本で得られ、リアルなファンタジー、現実逃避で飛び込みたくなるような素敵な世界でした。サーカスと少女の組み合わせって素敵。ペチャック欲しい!日本の閉鎖的な特区の中の少女サーカスという小さな世界で生きる少女たちの狂気的とも言える情熱、決してそんな風にはなれないと思いながらも羨ましいと思う。面白かった。
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意外な結末だったかな。最後をそんなに想像していたわけではないけど、まさかの二人の選択でした。いやしかし、その後がすっごい気になるんだけど、少女サーカスのその後が。そして、アンソニー・ビショップとの旅はどうなるのか。片足のブランコ乗りはどうなるのか。どういう最期を迎えるのか。
「ミミズクと夜の王」が良くて、こちらにも手を出してみました。もっとファンタジーな世界かと思ったらまさかの現代劇。時代感はほぼ現在。そこからもびっくりしたけど(笑)
サーカスという閉じた空間での、若くしてプロフェッショナルとなった少女たちの成長譚・群像劇とでも言いましょうか。それぞれの生き様,覚悟が良かった。プロとしての覚悟、激しい競争社会の中だからこその、選ばれた者だからこその立ち居振る舞い。ブランコ乗りの片岡涙海と片岡愛涙が主人公ですが、間に入ったカフカこと庄戸茉鈴とアンデルセン花庭つぼみの話も良かった。チャペックの「もしもの時はあの子を守ってね」が最後に繋がるのも感動的ですらあった。
そして涙海の独白がね。ビデオを見るシーンとか。誰にも自分の代わりはできないと思いながら日々頑張っているのに、やすやすと代わりが活躍するのを見るなんて。マンガ「累」の丹沢ニナみたいなね。とてつもない絶望感だと思う。しがないサラリーマンですが、代わりの利く身ではありますが、それでも自分にしかできないと思いこみながら、自分をだましながらやっているので、ここら辺の表現は結構グサグサ刺さるモノがあったなあ。あと「より目の粗い篩」という表現もなかなか。細かい、細い道をすり抜けるのではなく、「粗い目でも残る」という表現がなんだか面白かった。「生きているだけで毎日目減りしていく若さという財産。」確かにそうだが、こうもバッサリ書いちゃうとは。「不完全であれ。未熟であれ。不自由であれ。」というのも面白い表現だよねえ。よくこんなセリフが思いつくよなあ。男共もなかなかの役者ぶり。アンソニーに王小義。ここらへん、やっぱり女性作家は男共がカッコ良すぎて。
最近、文庫版が出たみたい。表紙が違う・・・。文庫版の表紙の方がアンデルセン,カフカ,チャペックも出ていてイメージ良いなあ。
あとがきなかったけど、電子書籍だから?紙の方にはあるのかな??最近、電子書籍不信だからなあ。「ミミズクと夜の王」のあとがきにある「私安い話が書きたいのよ」とは一味違うほろ苦な感じ?でも、なんか優しさを感じる本でした。紅玉いずきさんの他の本も読んでみたくなりましたよ。
こりゃ「夜間飛行」も読まないけませんな。
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普段読まないタイプの本だけど頂きものでトライしてみた。
ファンタジーとリアルが半々くらい。
アンデルセンの話が一番好きだった。
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5人のサーカスの少女。
幻想的に刹那的に鮮烈に生きる少女たち。ダークファンタジーなのかな。読み終わって不思議な感覚。よかった。
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あまり読まないタイプの小説だったが、面白かった。独特の世界の描き方でしたが、しっかり世界に入れました。
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雨の休日に読むにはちょうどいい、刹那的で儚い、けれどちょっと優しい気持ちになれるような良い本でした。
お台場っぽい雰囲気の経済特区に、公営カジノの客寄せとしてできたサーカス。その担い手たちの物語。タカラヅカを彷彿とさせるようにサーカスは少女だけで構成されていて、ご丁寧に養成所としての学校も併設。ドロドロとした女社会や賭博黙示録的な世界の空気を含みながら、各キャラクターをテーマとした5編の短編は一定の方向性を形作って進んでいきます。
少女マンガ的な濃密な人間の交わりや、戯曲的なセリフ回し(と、あと登場人物のネーミング)には圧倒されるところがない訳でもないですが、この大掛かりな舞台装置のおかげか、そこまで違和感は感じずに読み進められました。怪しげな乾いた都会の夜の空気感は、映像でイメージできてしまうほど。
結末はありきたりなハッピーエンドではなく、とは言えだからこそ納得できるもの。
懸命に生きていきたい、と思った今年50冊目でした。
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大好きです。
少女サーカスを舞台にした連作短編集。少女たちの未熟さと矜持といった危うく繊細な思いが全面に描かれている作品。
その中心にいるのは怪我をした双子の代わりを務めるブランコ乗り。
彼女を中心にサーカス団のそれぞれの物語が強烈に描かれていました。
ブランコ乗りのサンテグジュペリ。
猛獣使いのカフカ。
歌姫のアンデルセン。
パントマイムのチャペック。
団長シェイクスピア。
なんとも魅力的な名前が並ぶますが、
チャペックがとても良いです。