投稿元:
レビューを見る
デンマークの作家「ソーラン・スヴァイストロップ」原作のテレビドラマを、イギリスの作家「デイヴィッド・ヒューソン」が小説化した北欧ミステリ作品『キリング(原題:Forbrydelsen、英題:The Killing)』を読みました。
北欧ミステリは今年の9月に読んだ「カーリン・アルヴテーゲン」の『裏切り』以来、、、
デンマークの作品は昨年の11月に読んだ「エーリク・ヴァレア」の『7人目の子』以来なので約1年振りですね。
-----story-------------
本国で史上最高視聴率を上げ、世界中で大ヒットしたTVシリーズを完全小説化。
北欧ミステリの新たな魅力に触れてください。
キリング 〈1〉 事件
19歳の少女が、何者かに殺害された。
事件を追うのはコペンハーゲン警察の敏腕刑事「サラ・ルンド」。
錯綜する謎、次々と現われる容疑者、暴露される新事実、そして明らかになる衝撃の真相!
彼女の20日間にわたる捜査を全20話で描く白熱の警察ドラマ。
デンマークで史上最高の視聴率を記録し、北欧のみならず全世界で旋風を巻き起こしたドラマを、イギリスで小説化した国際的話題作。
キリング 〈2〉 捜査
「ナナ・ビルク・ラールセン」を殺したのは、誰なのか?
事件を追う「サラ・ルンド刑事」は、自らの退職を先送りにして捜査に邁進する。
その矛先は「ナナ」の同級生や担任の教師へと向けられた。
次々と浮かんでは消える容疑者たち。
だがそこへ、新たな疑惑が浮上した!
深まる謎、警察内部の対立、政治的圧力……捜査はますます混迷する。
大ヒットした白熱の警察ドラマを完全小説化。
北欧ミステリが放つ、新たなる話題作(全4巻)。
キリング 〈3〉 逆転
被害者「ナナ」が利用していたデートサイトのデータから浮上した謎の人物。
「サラ・ルンド」の捜査はその正体を突き止めた。
それは市長選挙立候補者の「ハートマン」だった。
警察上層部に圧力がかかるなか、さらに意外な事実が判明し、捜査はついに市政界の中枢におよぶ。
だが、ようやく解決への光明が見えたと思われた矢先、またしても新たな疑惑が浮上した…… 大ヒットを記録した白熱の警察ドラマ小説版、いよいよ後半へ。
キリング 〈4〉 解決
殺された「ナナ」が身に着けていたネックレスは、21年前に失踪した女性「メッテ・ハウゲ」のものだった。
事件はにわかに連続殺人の様相を呈してくる。
「メッテ」の身辺を洗い直す「サラ・ルンド」は、彼女の周囲に意外な人物の名前を発見した。
ついに姿を現わす真犯人とは?
20日間におよぶ捜査が暴く、あまりにも哀しい真実とは何だったのか?
世界中の視聴者を魅了し、大きな話題を呼んだ警察ドラマ、ここに完結!
-----------------------
全4巻で1,500ページを超える大作… 世界中で大ヒットしたデンマーク制作のTVシリーズとのことだったので期待して読みました、、、
序盤はややもたつき感があったものの、3巻あたりからはどんどん先を読みたい展開になってきて、中盤~終盤は一気に読んだ���じ… そして、クライマックスでは、意外性があり、哀しい真実が訪れましたね。
やや長過ぎる感じはありましたが… 原作ドラマが全20話で描かれているらしいので、仕方ないところですね。
物語は、「ナナ・ビルク・ラールセン」の殺害事件を軸に、捜査に携わるコペンハーゲン警察の警部補「サラ・ルンド」と相棒(本来は退職予定だった「ルンド」の後任)の「イエン・マイヤ」、娘の死の衝撃から立ち直ることができず地獄のような日々のなかで苦悩する「ナナ」の両親「タイス」と「ペニレ」、そしてコペンハーゲン市長の座を狙う若き政治家「トロールス・ハートマン」の三つの視点から進んで行きます… 捜査を通じて、この人々が出会い、敵意と疑惑をぶつけあい、「ナナ」を殺した犯人を突き止めるために、あるいは自分にかけられた容疑を晴らすために苦闘する姿が濃厚な筆致で描き出して行きます、、、
その中でも、特に印象的なのは捜査を担当する女性警部補「ルンド」の凛とした魅力ですね… 無愛想で、頑固で、捜査現場に出れば周囲の迷惑を顧みず、自らの信念に従って突き進み、上司から叱責されようが、部下に煙たがられようが意に介さず、仕事にのめり込むあまり、一人息子の「マーク」に淋しい思いをさせたり、母親の「ヴィベケ」を嘆かせたり、恋人の「ベングト・ロースリング」とぎくしゃくしたり、でも、周囲に媚びない「ルンド」の不器用な生き方に、共感し感情移入しちゃうんですよね。
11月3日月曜日、コペンハーゲン警察殺人捜査課の警部補「ルンド」は、スウェーデン人の婚約者「ベングト」と結婚し移住するため、この日限りで警察を退職することになっていた… その最終日、市郊外カルヴェボッド・フェレッドの森で、血の付いた女性の衣服が発見される、、、
最後のご奉公と後任の「マイヤ」とともに現場に赴いた「ルンド」… やがて現場の遺留品から、19歳の少女「ナナ」の名前が浮上する。
彼女は週末に学校で行われたハロウィーン・パーティーの後、行方がわからなくなっていた… その夜、現場付近の運河から引き揚げられた黒のフォードの中から、暴行を受け、手足を縛られたままの「ナナ」の死体が発見される、、、
悲観に暮れる「ナナ」の両親を見た「ルンド」は、退職も移住も先送りにして捜査に携わることにするが婚約者の「ベングト」や家族との間に溝が生じる… 捜査を進めるうち、問題の黒のフォードは、白熱する市長選挙の有力候補者「ハートマン」の事務所のものだったことが判明。
選挙への影響を恐れる「ハートマン」陣営と、それにつけ込もうとする現職市長「ポウル・ブレーマー」の駆け引きは警察を巻き込んで激化する… 黒のフォードが金曜日に「ナナ」の通っていたフレデリクスホルム高校へ行っていたことをつかんだ「ルンド」と「マイヤ」は車の運転手「ジョン・リンゲ」を追う。
さらに高校で開かれたパーティーの席上で「ナナ」と喧嘩していた元ボーイフレンドの「オリヴァー・スカンドルフ」をはじめ、彼のルームメイトの「イェッペ・ヘル」、そして「ナナ」の担任教師「ラマ(ラーマン・アル・ケマル)」らが次々に容疑者として浮上するが、いずれも空振りに終わる…���そんな中、「ナナ」の父親「タイス」は、犯人と思い込んだ「ラマ」に暴行を働き逮捕される、、、
一方、「ラマ」を支援したいたことから責任を問われ窮地に立った「ハートマン」は中道グループとの連携を模索するが、陣営内からの情報漏えいが疑われ、やがて「ハートマン」の党が所有していたフラットに「ナナ」が監禁されていた疑いが出てきた… また、「ナナ」が母親に内緒でクラブでアルバイトをしており、そこをきっかけに年上の男性と付き合っていたことが判り、捜査の焦点は学校内から市政界へと移っていく。
「ナナ」が使っていたデートクラブのサイトから「ファウスト」と名乗る謎の男性が浮かび「ハートマン」自身にも容疑が向けられる… ついに捜査の手は市政界中枢におよぶ、、、
だが、問題のフラットを利用していたのは別の人物だったことが判明… 単身で男を追い詰めた「ルンド」だが、逆襲を受けて危機に陥る。
しかし、彼も真犯人ではなかった… 「ナナ」が事件の夜に幼なじみの青年と駆け落ちの計画を立てていたことが判明し、捜査は再び振り出しに戻る、、、
「ルンド」は過去の女性殺害事件に「ナナ」殺害事件との類似性を見出し、徐々に真相に迫るが、その捜査中に「マイヤ」が銃弾に倒れ、容疑は「ルンド」に向けられ、「ルンド」は警察内部で不利な立場に追いやられる。
ここからクライマックスまでの展開は、本当に怒涛の展開でしたね… 相棒を失い、警察内部からも追われつつ、「ルンド」は警察内部の一部の協力者と捜査を進め、一歩ずつ真相に近付きます、、、
そして、真犯人を思われた人物は、「タイス」を連れて森の中へ… 「ルンド」は現場に向かものの、そこでは悲劇的な結末が。
しかも、それで事件は解決と思わせておいて… 別な真実を突き付けられるエンディング、、、
いやぁ、最後は読めない展開でしたね… 面白かったです。機会があればTVドラマを観てみたいですね。
以下、主な登場人物です。
「サラ・ルンド」
コペンハーゲン警察殺人捜査課の刑事
「イエン・マイヤ」
コペンハーゲン警察殺人捜査課の刑事。サラ・ルンドの後任
「ブシャード」
コペンハーゲン警察殺人捜査課の主任
「レナト・ブリックス」
コペンハーゲン警察殺人捜査課の副主任
「ヤンセン」
コペンハーゲン警察殺人捜査課の鑑識課員
「ナナ・ビルク・ラーセン」
高校生
「タイス」
ナナの父親
「ペニレ」
ナナの母親
「ヴァウン・スケアベック」
ビルク・ラーセン運送の従業員
「レオン・フレヴォット」
ビルク・ラーセン運送の従業員
「マーティン」
レオン・フレヴォットの弟
「ロッテ・ホルスト」
ペニレの妹
「ラマ(ラーマン・アル・ケマル)」
ナナの担任教師
「リサ・ラスムッセン」
ナナの親友
「オリヴァー・スカンドルフ」
ナナの元ボーイフレンド
「イェッペ・ヘル」
オリヴァーの友人
「トロールス・ハートマン」
市長選挙立候補者
「モルテン・ウェーバー」
ハートマンの選挙参謀
「リー・スクーゴー」
ハートマンの政治アドバイザー
「ジョン・リンゲ」
運転手
「オラウ・クリステンセン」
市教育委員会職員
「ポウル・ブレーマー」
市長
「フィリップ・ブレサウ」
市長の個人秘書
「キルステン・エラー」
中央党
「イェンス・ホルク」
中道党のリーダー
「ニーテ・ステアンフェルト」
デートサイトの会員
「メッテ・ハウゲ」
21年前に行方不明となった女性
「マーク」
サラ・ルンドの息子
「ヴィベケ」
サラ・ルンドの母親
「ベングト・ロースリング」
サラ・ルンドの婚約者
「ハンネ・マイヤ」
イエン・マイヤの妻