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事務所の椅子が壊れて怪我をした下村。会社を休んで病院に行った事で会社が労災を隠していたと疑われ労働基準監督署の臨検を受けることになってしまう。サービス残業などの実態も明らかになり、さらなる問題も発生する。
労働基準監督署の査察は非常にリアルで面白かった。それ以外はロジカルではあるが普通のミステリ。オチは読める。軽く読むには良い。
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サービス残業当たり前の研究所の臨検中に変死体が・・・
お仕事モノと論理パズルをかけ合わせた感じ。
北川監督官のデキるっぷりには違和感だけど、そこそこ楽しめる。
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会社と労基署の構図だけで十分面白いのに、一つの事件が加わるだけで更に面白さが増している。
いつもながらの鮮やかな論理展開に意外性のあるラストが待ち受ける石持さんの真骨頂と言える作品。
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サービス残業が当たり前の製造業の研究室に、ちょっとしたことから労基が監査に来た。
対応に追われた総務課は、なんと間の悪いことに自社の倉庫で死体を発見してしまう。
それぞれが最善と思う行動をとっているが、その論理がブラック企業にありがちなもので気持ち悪いなーと思いつつ内容が面白いのであっという間に読んでしまった。
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石持作品にしては珍しくストレートに納得できるストーリーだった。
というのも、その作品の多くにおいて、たとえば犯行の動機であったり、推理の過程で見られる登場人物のリアクション、感情の動きなどが、「ちょっと変わってんなあ」と思わされるからだ。
ミステリー作品として読めばアリだとは思うのだが、「現実にはどうだろう」とか「そんなふうには思わないんじゃないかなあ」という引っ掛かりが常にある。まあ、そこがクセになる面白さでもあるのだが。
しかし本作は、会社を舞台にし、しかも労働環境がテーマになった作品であるせいか、非常にリアリティがあるように思う。
作中の塚原ゴムという会社(の研究所)のような勤務状態にある会社は、案外多いんじゃなかろうか。
どれだけ、社会的な問題になろうと、自分のところだけは違うとか、これくらいは昔からやってることだから当たり前なのだと思う人がまだまだたくさんいる。戦後から高度経済成長期あたりで会社員をやっていたような人たちは、サービス残業をむしろ勲章のように思っていたりするのではなかろうか。
日本ではまだ転職が当たり前ではないから、最初に入った会社のやり方が絶対になることが多い。そこが異常な勤務状態であったとしても、「社会とはこのようなものだ」と教えられたら、その異常さにも気付けないし、たとえ気づけたとしてもそれを内部から是正することは不可能に近い。
そのあたりの意識を追求していく前半は、一種、小気味良いものでもあった。機械ですらメンテナンスするものを、なぜ人間(社員)はノーメンテで使い倒そうとするのだろう。
後半の、変死事件にからむ推理は、苦い結末であった。誰も悪くないとも言えるが、そんな形でしか問題を解決できないというのは無残な話である。
下村の妻とその友人の会話が妙なのどかさを醸しだしていてニヤリとしてしまった。劣悪な労働状況を告発したという、本来なら恩人的な立場であるにもかかわらず、「余計なことをした」と恨まれてしまう。この不条理。
日本の社会が抱えているどうしようもない矛盾を、見事にあぶり出していると思った。
それにしても北川はいいキャラクターだな。
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遅くまでサービス残業をしていた研究員・下村の事故による怪我が発端となり、労働基準監督署の臨検が入ることになった。
突然の立入検査に、会社の中は大慌て。そんな中、社員が死亡した。
労基署が入るとなった時の社員一人一人の心情の描かれ方が面白い。
労基署の北川さんがいい!微笑みを絶やさず論理で切っていく。
現実問題として、人が亡くなるとまでもいかなくとも、こういった会社は少なからず存在するのだろう。
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労災調査、サービス残業の実態。
そこにあらわれた死体!?
週に2日は強いられ13時間労働をしている身としては、何とも言えない内容だった。
おかしいと思っていても、会社を批判するわけにもいかず仕事が好きだと言ってしまえばそれまで。
ミステリーというより、日本のサラリーマン事情の方が問題は深いような。そうでないような。
労基署の北川と総務小野の対決がなかなかいい!
にっこり笑ってばっさり斬る!
でも、そんな理想の会社はやっぱり、ない。
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シリーズ、なの?
((?ー?))
ま それはさておき
掴みどころの難しい北川さんってキャラは
石持浅海さんの文章にマッチしてるんじゃないかな。
■ ■ ■ ■ ■
おはなしはね~、バブル知ってるにんげんにはイタいかも。
個人<会社 的な。
みんなそんな感じやったよね、あの頃って。
そりゃあ現在のが不景気かもやけど、
少なくともあたしは今の方がにんげんらしく働けてると
個人的には思ったり。
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今回もキレキレ( ̄+ー ̄)。ロジックでハウダニット、フーダニットをわくわく読ませる手腕が冴えてます。
研究職のサービス残業、ものの考え方、いちいち頷かされます(笑)。うちの会社に置き換えても違和感ゼロ。あ、残業代はちゃんと出るようになったけど!本当に、まるで見てきたような…石持さんて、もしかして技術職のサラリーマン?
八月の魔法使いを読んだ時も感じたけど、こういうリアルな日本の職場を舞台にして、ロジカルなミステリを展開させるのが、本当に上手だなあ。面白かった!
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カード・ウォッチャーとは労働基準局の調査官のこと。
発端は小さな労災報告漏れ。そこから起きる大きな事件。
小さな施設でのたった数時間のできごとで
ここまでハラハラドキドキさせられるとは…恐るべし石持浅海!
内容はもちろん一気読みしちゃったくらいおもしろかったんだけど
この作品は装丁も素晴らしいね。
シンプルだけどひねりが効いて読み終えてから改めて見ると
ニヤリとしてしまう。センスいいなー
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恥ずかしながら、私、労働基準監督署の名称は聞いたことあったけど、どんな仕事してるか、知りませんでした。
労務問題のこと、あまり考えたこともなかったですし…。
そして、重ねて恥ずかしいことに「監督」の「督」の字、うろ覚えで、見ながらでないと書くことは出来ませんでした…。
北川さんが、ニッコリ笑いながらジワジワ追い込んでいく様子、
ハラハラして落ち着かなかったです。
もし自分が小野さんや米田さんの立場だったら…
絶対に嘘を突き通せない自信があります。
私は追い詰められるストレスには耐えられそうにありません。
北川さんの笑顔の使い分け
・威圧感を与えないような意図的な穏やかな笑顔
・自然な笑顔
・相手を斬る時のにっこり笑顔
そして4つ目の笑顔…コワイコワイ。
表紙のカバーが穴がいっぱい。その穴を何となく指で触りながら読んでました。
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この作者らしい作品。少しずつの謎解きはいいな~
2013.4.26
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労災事故を調べにきた労基と、臨店の日に死体を発見してしまう総務との水面下の調整。
最後は鮮やかにと石持作品らしく一気に読ませていただきました。
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労災をテーマにしたちょっと変わったミステリー小説。
「カード・ウォッチャー」とはタイムカードをチェックしに会社にやって来る労働基準監督官のこと。
社内で起きた1件の労災事故をきっかけに、サービス残業や安全対策の不備などが次々と明らかになり、そしてさらに大きな事件が起きて意外な結末へとつながっていきます。
社会保険労務士としては本の内容について言及したいことはたくさんあるのですが、それは別の機会にするとして、会社で働く人やその家族にも自分たちを守る知識を身に付けるために、ぜひ気軽な気持ちで読んでもらいたい1冊です。
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ある日、遅くまでサービス残業をしていた研究員・下村が起こした小さな事故が呼び水となり、塚原ゴムに臨検が入ることになった。突然決まった立入検査に、研究総務・小野は大慌て。早急に対応準備を進めるが、その際倉庫で研究所職員の死体を発見してしまい…。現役サラリーマンが描く、新感覚ロジカルミステリー。
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きっかけは、サービス残業に疲れて椅子の背もたれに寄りかかって伸びをした下村が、背もたれが壊れて右手首に怪我をしたこと。すべてがここから始まる物語である。労働基準監督署の臨検が入ることになった塚原ゴム。担当官が来社する直前に、さらに思ってもいないことが起こり、労働基準監督署の担当官・北川と塚原ゴム側の担当者・米田と小野の一見穏やかな戦いの幕が切って落とされるのだった。物語は、ある会社の臨検の様子を描いているだけとも言えるのだが、北川の調査姿勢がただの仕事熱心とはひと味違い、違和感をひとつずつ拾い上げて検証する探偵のようでもあって、ちゃんとミステリになっているのが不思議である。人の心の動きと、それを見逃がさない怜悧な目。面白くてページを繰る手が止まらない一冊である。