0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:泉佐野のだんな - この投稿者のレビュー一覧を見る
学恩という言葉がある。手元の辞書をひくと、、、、、という書き出しで著者は山本周五郎を語る。周五郎と出会って、読んで私は救われたとまで言い切るのである。最後まで一気に読ませる。周五郎の作品の何篇かを読まずに通過するのは、明らかに生涯の損失だと。
このような著者の眼を通してまた山本周五郎に光が当たった。
私は久しぶりに樅ノ木は残ったを読み始めた。
投稿元:
レビューを見る
齋藤愼爾『周五郎伝 虚空巡礼』白水社、読了。本書は厖大な資料を駆使した評伝で、その生涯と作品に肉薄する好著。五百頁に渡る執拗とも思える追跡は、木村久邇典氏をはじめとする既成の周五郎像を新たにする。学生時代の生活や作品世界の知られざるエピソードなど、本書で初めて知ることも多い。
著者は周五郎の生涯を「虚空巡礼」ととらえる。夏目漱石や芥川龍之介、ヴェルレーヌとストリンドベリ…。国内外の作家との共通点と相違点をあげながら、周五郎の実像をあぶり出す。白水社による内容紹介→ http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08270
著者は六〇年安保世代の編集者で俳人。六〇年夏、学生運動の挫折と人間関係の失意の中、周五郎の作品と出会うことで救われたという。「苦労人の文学」には苦しんでいる者によりそう力がある。著者の前著『ひばり伝 蒼穹流謫』(講談社)と併せて読みたい。
投稿元:
レビューを見る
当たり前だけど、やはり突出した人間はクセがあり、近付きすぎると大変だと分かりました。ただ、筆者が語るように山本周五郎の作品を読まないのは人生の損失であるは、何と無くですが分かる気がします。
投稿元:
レビューを見る
540頁超の大冊であるが、そのページ数をもってしても、山本周五郎という人物像は、遠くからおぼろげながらに見ているようにしか浮かんでこない。
山本周五郎の作品のみならず、評伝も含めて多くの資料を渉猟したことは、文中盛んに引用される引用文で明らかであるが、いささか引用文ばかりが鼻につく。その引用文も、そこに置かれるべき必然性が今ひとつピンとこない。
つまりは、評伝などというものは読まずに如くはなしということなのであろう。