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投稿者：ＤＳＫ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

吉野作品としてはすっかり定着した、というか当初より貫かれている純愛路線のライトな官能小説であり、この点においては安定・安心の内容である。メインとサブが明確に分かれた総勢４人もの多人数ヒロインが上手に配置され、サブヒロイン達を渡り歩きながら最終的にはメインヒロインとの愛を育む展開にはベタでクサい一歩手前の胸キュンがある。とりわけ今回はメインヒロインが終盤までなかなかデレないところに妙味があり、無愛想で鼻っ柱の強そうな第一印象から少しずつ変化していくところに良さがあった。

また、各ヒロイン達を単に巡っていくだけでなく、その潤滑油として本作唯一の熟女担当ヒロインたる料理学校の理事長が（料理が題材なだけに）なかなかイイ味を出しており、合間合間に出てきては主人公を摘み喰いする面白さといやらしさがあった。この理事長が熟女の優位というか余裕を今少し見せてくれればさらに良かったと思うが、主人公に押されて途中から受身に転じてしまうところはギャップの良さこそあるものの、他の若いヒロイン達（総じて２０歳前後）が受け持っているので違いを出しても良かったと思う。

そして、本作では主人公以外にも男が複数登場するのだが、いわゆる恋敵や寝取られではなく、こんな面白い活躍のさせ方もあるのかという新味が見られた。それも、１人は物語の中で、もう１人はギャグ要員として、それぞれ棲み分けられているのは見事と言う他ない。

ライトノベルっぽい官能ラヴコメとして楽しめるだけでなく、豊富に用意された官能場面によって実用性もしっかり備わった作品としてバランスが取れていたと思う。