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紙の本
本書は電験1種一次試験の機械科目にある情報通信ネットワークの勉強のために購入しました。
2024/03/20 15:05
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投稿者:K - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は電験1種一次試験の機械科目にある情報通信ネットワークの勉強のために購入しました。
情報系の本としては2冊目です。1冊目は情報通信ネットワークの中でも通信プロトコルを中心としたソフト系の内容でしたが、本書は通信キャリヤよりの内容です。たしかに、著者も通信キャリヤでの業務経験者です。
本書の内容ですが、いきなり1章から重要な内容が並んでいます。データ伝送の基礎技術ということですが、伝送方式、多重化方式、伝送制御方式、伝送制御手順の解説です。伝送制御手順はベーシック手順とHDLC手順の2つが解説されています。HDLC手順では誤り制御の生成多項式のところが理解できませんでした。
2章の交換の基礎技術は通信キャリヤの方の業務の本丸です。とてもわかりやすく解説されています。交換技術はどちらかというと電話業界(通信業界)の話です。
3章PCM伝送と伝送メディアではデータの圧縮方式の一つであるPCMについて解説されています。ここも通信キャリヤの著者らしい内容です。因みにPCMは技術士(電気電子部門)の二次試験でも出てきます。
4章のLANとWANではハード面についての解説がメインです。特にWANではISDN、ADSLといったお馴染みの内容です。おそらくですが、4章までは著者の専門領域なのだと思います。そのせいか、ここまではわかりやすい解説でした。しかし、5章、6章は少し内容が怪しくなってきます。
5章の通信プロトコルでは、専門用語に誤植が散見されますし、解説文も少し雑になってきます。6章のインターネット技術はページ数が少なく、内容が少し端折られていると感じます。このあたりは他書を参照した方が良いと思います(例えば、菅原真司著『基本を学ぶ コンピュータネットワーク (基本を学ぶシリーズ)』オーム社 )。
しかし、7章のモバイル通信では、わかりやすさが復活します。W-CDMAやCDMA2000といった懐かしい方式から最近のLTE(ELTではなく)まで触れられています。
8章のネットワークサービスでは、専用線サービス、VPNサービスからクラウドコンピューティングサービスまで解説されています。どれも少ない文字数ながら、それなりに(?)わかる内容でした。
9章の待ち行列理論と信頼性理論では私が興味のあったトラフィック理論についての解説があります。しかし、解説が雑で理解できませんでした。ここは少し残念でした。
最後の10章のネットワークセキュリティはたった7ページで内容も大したことありませんでした。
全般的なことですが、本書の著者の特徴なのか、説明していない専門用語をいきなり使ったかと思えば、その直後にその専門用語を説明する、というスタイルをとっています。これには少し違和感を感じました。また、図と本文が整合していない箇所も散見されました。図があまりきれいでなく、もう少し丁寧に書いたほうが良いのでは、と思いました。章末問題は回答が与えられていて助かりました。初学者向けの本だと問題が与えられていても回答は「5.2.2参照」等のように端折っているケースが多く見られる中、本書では、全部ではありませんが、回答を丁寧に載せているところが良かったと思います。少々癖がありますが、私にとっては読みやすい本でした。
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