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3,000人以上が突如消え去った街、残された人々の苦悩と明日に向かう勇気を描いた作品。
完全にSFです。
章を重ねるにつれその設定を受け入れた上で作中の人々の心の動きに集中していけるのですが、途中で輪をかけてSF設定になり、着いていけなくなりました。
途中での変化が無ければただ長いだけの作品になっていたので、必要な変化だったとは受け入れますが、完全に集中が途切れてしまいました。
ブクログのカテゴリにSFを追加しました、SFが苦手なんです。
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10年前、3095人が一斉に消え去った町。
その事件で行ってしまった!?人々と残された人々の「想い」を描いた、不思議で切なくて温かいお話です。
「失われた町」をはじめ、著者の他の作品群とも関連しています。
シチュエーションとしては、SFの体裁にはなっているものの、描かれる人々はごく普通の等身大の人ばかりで、特定の主人公やヒロインが出てくるわけでもありません。
でも、だからこそ登場人物の一人ひとりに自然と感情移入して、すすーっと物語に入っていけてしまうそんなお話だと思います。
人が当たり前に生きている、それだけのことに、なんとなく胸を熱くさせられます。
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10年前の消え残りの一人の女の人を中心にたくさんの思いを抱えた人達が音や思いに導かれ出会う。
謎が深まっていくけど最後はすべてとけて、ハッピーエンドにはならないけどひとりひとりの人が自分の道を見つけて進んでいく。
考えさせられることもあっておもしろかった。
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三崎亜記のこのシリーズを読むといつも、自分が叶えられなかった生活や今は別の道を歩んでいることへの回顧をしてしまって苦しい。
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三崎 亜記さんの描く世界観は
喪失感、なんだろうな、と思った。
繰り返し、繰り返し似たような設定で
世界が失われる。
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ファンタジーのような、啓示のような、不思議な手触りの物語。
アンリアルな設定で描かれる、普遍のリアル?
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他のいろいろな作品と緩やかに世界が繋がっている本書は、三崎作品の中核ともスピンオフとも言える気がする。
穏やかで落ち着いた雰囲気でありながら、強さと優しさに満ちた内容は、その肩書を背負うに相応しい充実振りだと思います。
無理矢理カテゴリー分類するとSFになるのでしょうが、先入観なしで読んで欲しい作品です。
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「失われた町」の12年後を描くこの物語。
残された人たちの日常と、この町だからこそ起きる不思議な出来事。
そこに込められた人々の願いと祈り。
「失われた町」が喪失と希望を描いた物語なら、「刻まれない明日」は喪失と再生の物語である。
大切な人たち、大切な記憶・・・失ったことを悲しむことは出来ない。
何故なら、それは「消失」を拡大させることになってしまうから。
すべてのものに意思はある。
道にも、音にも、そして人々の感情にも。
眠りについた道を思い、新たな道の意思を確認する。
何気なく目にしているものにも、それぞれの役割があり意思がある。
そんなことを物語を読みながら考えた。
道、本、音、時間、そして光。
身近にいつでもあるものばかりだ。
そこに意味を見出そうとすれば、また違った世界が見えるのだろうか。
三崎さんの世界観を受け入れられる人にとっては珠玉の物語になる気がする。
大きな流れの中に巻き込まれ、ときに浮かび、ときに沈む。
それでも誰かを愛する気持ちや、二度と会えない人たちへの思いは消えることがない。
人としての弱さも哀しさも詰まっている。
けれど、それでも前向きに生きていこうとする強さもまた描かれている。
そんな物語だった。
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多数の人間が消失するという事件が起こった都市を舞台に、失ったものへそれぞれに向き合って生きる人々を描く物語です。
特異な設定と登場人物のベタな関係性は、漫画のように楽しめてしまいますが、現実的に見ればとても深刻で繊細な話ばかりです。
話の構成は似てるようで微妙な変奏や集約がされており、連作短編としてうまくまとまっていました。
物語は失くした人の「想いをつなぐ」ことが中心に描かれますが、むしろ生きている個人の在り方が主題だったように思います。
弱さを認めたうえで、共に歩む人がいることがどうしてこうまで人を勇気づけるのか。純粋に人とつながることの大切さを思い出させられた作品でした。
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ある日3095人が一瞬で消え去った町。しかし10年たった今も、図書館の貸し出し簿やラジオのリクエストには、消え去った人々の活動の痕跡が続いている。
『失われた町』『廃墟建築士』に繋がる物語。
三崎さんの中には、架空に存在する街があって、そこには中華街の様な一画があり、大陸(西域)との交易や文化(音楽や楽器)が根付いている様子が多くの作品の舞台になっています。首都よりも大陸が近いというような事が書かれているので、出身の福岡か長崎あたりが下敷きになっているのでしょう。(架空の街と言うとエド・マクベインのアイソラや藤沢周平の海坂藩のようですが、実在からほど遠く、街と言うより「世界」と言った方が良いのですが)。
5章で構成されている作品です。
三崎作品の醍醐味は"不条理な世界の面白さ"ですが、それに加えこの作品では、それぞれの章で生まれる一組のカップル(死語?)がとても魅力的でした。再生の物語として、心地よく。。。。
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再読。仮想世界の側から現実をシニカルに突き刺しながら、それに翻弄されながらも、しなやかに立ち向かっていく人々が爽やかな希望をもたらす。登場人物がみな愛おしく感じられた。
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面白かったです。「失われた町」の続編、という認識でよいのでしょうか?同じ世界軸のお話でした。
40年に一度くらい、ひとつの町から住人が失われる世界。でも、失われたはずの人々が、失われた地区にある図書館で本を借りている記録があったり、ラジオに葉書が届いたり、失われた町へ行く見えない最終バスの光だけが見えたりする、不思議な世界です。
大切な人を失った悲しみや、失われず生き残った罪悪感を抱えて生きていくのは辛いです。
それでも、前を向いていこうという登場人物たちが眩しいです。
寂しくも前向きな気持ちで読んでいると、最終話の不穏さにドキドキします。国家プロジェクト…?この世界軸の物語はまだ書かれるのかな…。
終わりの一文が好きでした。
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先に「失われた町」を読むべきだったかな?
読み始めてからいまいち入りこめないと感じて
調べてみたら「失われた町」の続編みたいでした
それでも読み始めたのでそのまま進めました
消え残った女性が10年ぶりに戻ってきた
人々が消えたのだがどこかしらにその痕跡が
見え隠れしているといった内容でした
「失われた町」も読んでみることにします
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最近(と言ってもこれを読む前の頃)、奇想天外でシュールな設定の短編を読みたいなーと思い、アマゾンを見たりしていたのだが、食指が動くのが見つからなかった。
そんな中、ずいぶん前ブクログに感想を書いた「ニセモノの妻」に“いいね”をくれた方がいて。
それを見たら、あー!三崎亜紀がいた!とw
しかし、ブクログ。かねがね思っていたけれど、不思議と読みたい本を見つけてくれる。
そんなわけで、じゃぁ三崎亜紀。何がいいんだろ?と見ていて。
前に読んで好きだった「鼓笛隊の襲来」みたいな、シュールな設定の話がいいんだがなーと探していたのだが、今一つピンとくるものがない。
そういう時は人気のある話かと、「バスジャック」にしようかと思ったけど、見たらページ数が256ページとずいぶん少ない。
最近、ケチになったのか、ページ数が少ない本は読みたくないんだよね(爆)
というわけで、今度はページ数が多くて、かつ、短編集で探した結果、この「刻まれない明日」になったw
そんな「刻まれない明日」だったが、やっぱり本をページ数で選ぶのは賢明ではないのだろう。
なぁ~んか、読んでいてイマイチというかー、そもそもこれ、自分が三崎亜紀に求める、シュールな奇想天外な話じゃないよね?みたいな(爆)
そんなわけで、「序章:歩く人」を読んでいて、あー、失敗した。「バスジャック」にしとけばよかったと、後悔しきりだったのだが、「第一章:第5分館だより」。これがよかった。
と言っても、コレ、全然シュールな話じゃないのだがw
途中、この章の主人公が「結論は自分で出すしかないのに、誰かが結論を出してくれるのを待っている。(だから)どこにも居場所がないように感じてしまうんでしょうね」と、言うシーンがあるのだが、あ、三崎亜紀って、こんなこと書くんだ。ふーん…、みたいなw
「第一章:第5分館だより」は結末もよくて、つい、この前日譚(なのか?)の「失われた町」を買ってしまった。
ところが、その「失われた町」を買ったことを大いに後悔したのが、次の「第二章:隔ての壁」。
類型的な人たちが、類型的な展開の中で、類型的なことをセリフを吐いて、類型的に感動させて話が終わる、みたいなw
特にこの主人公の母親が、まさにお話に出てくる類型的なモノワカリのいい親で、正直辟易w
作家だの評論家だのが無責任にこういう度量の大きい優れた人を登場させるから、世の大半をしめる(自分みたいな)ダメ人間は生き辛くなるんじゃん!みたいな(爆)
そんな風にウンザリして読んでいたら、次の「第三章:紙ひこうき」、これはよかった。
二人が安直に一緒に暮らさないラストがいいんだろうね。
「第一章:第5分館だより」は、読者(自分)が望む通りに二人が結ばれていく感じのラストがよかったんだけど、これはむしろ逆でよかった。
というか、考えてみたら、「序章:歩く人」もこの第三章と同じく、二人が結ばれても(安直に)一緒に暮らすことは出来ないわけで、そうか。三崎亜紀ってそういうのを書きたいのかな?なんて思った。
ていうか、第二章を類型的と批判したけど、よくよく考えてみたら、三崎亜紀って、その奇想天外な設定を除けば、あとは類型的なんだなーと、今さら気づいたw
いや。奇想天外な世界に類型的な人(つまり普通の人)を置いてみたら?というのを書く、といった方がいいのか?
というわけで、「第四章:飛蝶」は、自分が好きじゃない方の類型的な話でイマイチ。
「第五章:光のしるべ」は、類型的のさらに上を行くような類型的な登場人物たちでさすがに鼻白むが、この話のキィーである、三崎亜紀特有の奇想天外さがそれを補って余りあるって感じ。
最後の「あらたな序章:つながる道」は、なんだろう?映画でいう、エンドロールみたいな話?w
いや。悪くはない。ていうか、結構好き(←類型的なヤツだw)
最後の後にある「野分浜」は、正直言ってあまり好きでない。
それまでの話とテイストが違う(失われた町に近いのかもしれない)というのもあるし、何より短すぎる。
ディストピアオタクの人なら食いつく設定なのかもしれないけど、なら、それはそれで書いてよ、みたいな感じ?w
毒のなさ。
著者に感じてしまうイマイチさって、個人的はそこだと思った。
これだけ珍妙な設定を思いつけるのだから、著者は世の中を相当シニカルに見ている人だと思うのだ。
にもかかわらず、ストーリーに落とし込んだ途端、どこか類型的な話、ぶっちゃけ言うとイイ話にしてしまう。
個人的に、そこが大いに不満w
とはいうものの、どんな話を書こうとそれは著者の勝手なわけでw
それは確かなのだが、これだけ珍妙でどこかあてこすり感のある設定を思いつけるのだから。
読んでいて、思わず「イヒヒヒ」とニヤついてしまう、そんな話を著者には書いてほしいのだ。
だって、モッタイナイよ。これだけ面白い設定が。 ←あくまでも個人の感想ですw
そういえば、読み終わった後。
裏表紙の内容紹介に“人々の営みが胸を打つ感動長編”とあったのを見て、これまた類型的な紹介文だなー思っていてw
うーん。感動っていうんじゃないんだなー。
わからない人には絶対わからない例えだけど、ザ・バンドを最初から順番に聴いていって、最後の「アイランド」を聴き終えた時の、あの感じ?
(それがなんだったとしても)「こと」が終わったホッとする感っていうのかなー。
不満に近いものはどこかにあるんだけど、でも、ま、これはこれでいいんだろうな…、と思ってしまうような感覚。
自分としてはそんな感想なのだが、ま、だからって、そんな風に内容紹介を書いたら、内容紹介にならないとは思う(爆)
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形あるものは時を経れば変わっていくけれど、人の想いはいつまでも、時を越え、場所を越え、それでも尚変わらない。
素敵な話でした。