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北海道の積丹町で開かれた竹谷隆之積丹展に行って、その造形物を直に見て驚愕した。その中で本書があることを知り、積丹にいるうちになんとか入手(すでに絶版ですが)。もともと作品集として出版されていたものの完全増補改訂版として出されたらしいので、巷の評価をみると作品そのものの写真が少ないだの文章が多いだのなんだか誤解を招いているようです。確かに装丁というか構成やレイアウトはツッコミどころ満載なのですが、これは作品展示会でみたスクラップブックをイメージして作ろうとしていたためだろうと思われます。あれをきちんとした本の体裁にするのは至難の技。内容的にも実際の積丹とオーバーラップしており(扉絵の積丹町の地図は最高)実際の町をみて人々と接してみるとその現実世界と作品世界が混然となっていきます。また、造形物のモデルになったキャラクターも過去の実際のエピソードそのものだったりするのです。漁師の角度はこの本だけでなく、実際の積丹の風景と人、過去のエピソード、造形物が組み合わされて完成する世界だと感じました。もうすっかり竹谷ミームに感染して、自分で世界を広げたくなってきます。広げるとしたら海中世界だな。柱状節理に棲む巨大ミズダコとか。むむむ何か作りたくなってきた。
模型雑誌に連載されているエッセイが最高に面白い。早く本にしてくれないものか。