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文庫 第5回舟橋聖一文学賞 受賞作品 第39回泉鏡花文学賞 受賞作品 第46回吉川英治文学賞 受賞作品
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評価内訳
2023/05/02 20:17
投稿元:
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夢枕獏の長篇時代小説『大江戸釣客伝〈上〉〈下〉』を読みました。 ここのところ、時代小説が続いています… 夢枕獏の作品は5年前に読んだ『鳥葬の山』以来なので久し振りですね。 -----story------------- 生類憐みの令で釣り人はどう生きたか。 人間の愚かさ、気高さを釣りの世界を通して描く。 〈上〉 時は元禄。旗本、津軽采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。 やがて、義父・吉良上野介の計らいで「生類憐れみの令」を発布した、将軍綱吉に仕えることになるが・・・。 同じ頃、絵師朝湖と俳人基角は江戸湾で土左衛門を釣り上げた。 果たしてその正体は? 釣りの泥沼から覗く元禄時代。 〈下〉 釣り船禁止令でお咎めを受けた朝湖は三宅島へ島流しに。 その間赤穂浪士の討ち入りがあり、采女は敬愛する義父・上野介を失う。 そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる! 豪華登場人物で描かれる、元禄の歴史と人間ドラマ! ----------------------- 2011年(平成23年)に刊行された作品で、同年の第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞を受賞し、翌年の第46回吉川英治文学賞を受賞… 文学賞3冠達成の時代小説です。 ■序の巻 幻談 ■巻の一 沙魚 ■巻の二 技師 ■巻の三 安宅丸 ■巻の四 鯛 ■巻の五 水怪 ■巻の六 釣心 ■巻の七 密漁者 ■巻の八 側小姓 ■巻の九 無竿 ■巻の十 釣り船禁止令 ■巻の十一 釣秘伝百箇條 ■巻の十二 夢は枯れ野を ■巻の十三 この道や行く人なしに ■巻の十四 其角純情 ■巻の十五 島流し ■巻の十六 初鰹 ■巻の十七 松の廊下 ■巻の十八 討ち入り前夜 ■巻の十九 討ち入り ■巻の二十 元禄大地震 ■巻の二十一 霜の鶴 狂える猿 ■巻の二十二 弥太夫入牢 ■巻の二十三 忘竿堂 ■結の巻 ■―あとがき― 夢の釣り宿から ■解説 小説ものくるい 北方謙三 綱吉治世の元禄時代、釣りに出た絵師・多賀朝湖(たがちょうこ)と俳人・宝井其角(たからいきかく)は江戸湾で屍体を釣り上げる… 竿を持ち、笑みを浮かべながら流れ死んだ男の正体は? 一方、旗本・津軽采女(つがるうぬめ)は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っていたが、義父・吉良上野介の計らいで、「生類憐みの令」を発布した将軍・綱吉の側小姓となる、、、 綱吉とのトラブルがきっかけとなり城勤めを辞したにも拘わらず「釣り船禁止令」のため釣りが出来ない采女は、釣道を極めんとしたという投竿翁の足跡を追う… 赤穂浪士討ち入りで敬愛する義父・上野介を失う采女。 綱吉の相次ぐ禁令発布に反抗した朝湖は三宅島へ島流しとなり、江戸では支援の秘策が練られる… そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる! 世間が騒がしいなか、釣り人たちの運命は!? 最古の釣り指南書『何羨録(かせんろく)』を著した津��采女を中心に描く、釣りに憑かれた人々の活躍、、、 元禄の世の釣り勝負の妙、名人の業… 愚かで滑稽、しかしロマンと夢溢れる釣りに生きた激動の元禄の男たち、豪華登場人物で描かれる、元禄の歴史と人間ドラマ! 江戸幕府の第5代将軍・徳川綱吉によって制定された天下の悪法と評される「生類憐みの令」により翻弄される、元禄時代の釣りキチ、釣りバカたちの生き様、運命を描いた作品… 実在の人物を登場させながら、松の廊下の刃傷事件や赤穂浪士の討ち入り、元禄大地震等の当時の出来事を絡めてあることや、釣りに関する蘊蓄を織り込むことで、リアリティのある作品に仕上がっていましたね、、、 『何羨録』は実際に存在する日本最古とされる釣り専門書だそうですし、著者の津軽采女も実在の人物なんですねー 時代考証もしっかりしている印象だし、読みやすい文体で800ページを超えるボリュームだけど一気に読めました… 釣りのことを知らなくても愉しめますが、釣り好きだったら、もっともっと愉しめると思いますね。 面白かった♪