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現代詩と言えば難解ないイメージがあり、実際解ろうとしてもわからない、そんな作品が多い。
しかし本著で著者はそれを良しとし、わからないことを肯定する。
もちろん感覚的にただそれでよい、と無条件に称賛するだけでなく、そのわからない、という感覚事態をどのように捉えるかも詩の魅力であると説く。
喩えとして、抽象画や現代音楽などがそうだ。難解であると切り捨てたりある種の正解・鋳型に当て嵌めるのではなく、そのものを受け入れることで読者としても新しい地表を拓けるのではないかという提案がなされる。
読後そのように考えると、これまで目に入らず「よくわからなかった」現代詩というものに対する興味がわいたきた。
また少しだけ論じられる、性差による詩の形態・傾向(世界の認識)が、写真などの映像においてもそうかもしれないなと興味をそそられた。
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谷川俊太郎、黒田喜夫、入沢康夫、安東次男、川田絢音、井坂洋子らの詩を取り上げながら、現代詩の愉しみ方を語った本です。難解とされる現代詩を、性急に「解釈」しようとするのではなく、著者自身がその「わからなさ」に寄り添い続けることを実践してみせることで、読者を詩の世界へと巧みに巻き込んでいきます。
著者は、安東次男の詩を「音読することができない」ことについて論じるに際して、中国文学者の高島俊男の議論を参照しながら、現代の日本語が文字の裏付けがどうしても必要なものとなってしまったと主張していることに触れています。この高島の議論は私も読んでおり、また石川九楊にも同様の主張があったことも承知していたのですが、そのことが日本語で書かれた現代詩の重層的な喚起力の説明に有効だという著者の洞察には、目を瞠らされました。
何よりも、著者が本書で取り上げられている詩を手のひらの上で転がしながらためすがめす眺めているような雰囲気が文章から伝わってきて、詩を読むとはこのようなことなのかと、深い了解が訪れるのを感じました。
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詩の楽しみ方が変わる好著。
賢しらに解釈しようとせず、
「今は分からない」と、未来にむけての
可能性を開く。
音、図像、様々な角度から
楽しめるのが詩。
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簡単にわかってしまわないようにする。わからないものはめんどうだからきらい、が揺るぎない価値観ではない。
無理に解釈しなくていい。
現代詩の評価ってあるのかな?
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詩はわからないのを楽しめばいいんだ!と思えた。
序章に書いてあるように、国語教科書で学ぶ詩は面白いと思えない。
それから、詩は音読するものという概念が間違っているという指摘も目から鱗だった。
読めないという事も楽しめるんだなぁと納得。
第5章 生を読みかえる
の部分だけちょっと納得いかなかった。
ブログでもう少し詳しく感想を書きました。
https://kon-yorimichi.com/imawoikiru/
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「わからない」ことの頼りなさと心地良さ、「人間が世界を完全に理解する」というアイディアの浅はかさを再認識させてくれる。もう少し早く手にとっていれば…いや、今からでも遅くないはず。
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琉球大学附属図書館OPAC
http://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB12439523
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今まで触れてこなかった。現代詩。
正直、まっったく意味がわからんのだが、、、「わからないこと」を否定しない切り口で説いてくれるので助かる。
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詩歌は作者も全的にその内容を理解しているわけではなく、それを受け取るがわも意味や作者の意図を理解しようと読んでもしょうがないと説く。それよりもただ対峙して読み続けると、未来に、ハとその詩歌に書かれているような事が理解できる瞬間があるという。そのため(?)に読むものだというようなことが書いてある。日々情報を消費することに身をやつしている我々には非効率で、贅沢な営みに感じるけど、アンビエントミュージックを聞いたりする行為と似たところがあるのかな。一つ思ったのは、掲載されている詩を読んで、今の自分が共感できる内容だと”わかる”けどなんかわかったことが安っぽく感じてしまったりして。逆に”わからない”と言葉と言葉のつながりが今の感覚と離れすぎて、何のイメージも結ばなかったり、あえてただつながりを想起させないような言葉であることのみをもってそれらを選択しているようにも感じられて、作為的でいやらしさを感じたりして。難しいものだな。でも、川田絢音ってひとの、グエル公園って詩は良かった
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現代詩の読み方を教えてくれる本かと思って読み始めたら、それ以上の学びがあった。
詩はわからないもの、わからないを認めること、自分という存在の流動性と小ささ。
平易な文ですらすら読めました。
安東次男と川田絢音と井岡洋子の詩を読んでみようと思う。
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現代美術について考えていて
ちょっと外から客観的にみたくなり
詩についての本を読みました。
結論から言うと想像していたよりずっと面白く、
私の求めていることが多くあったように思います。
ぼんやりを、筆者の視点で言語化していて
とてもしっかり伝わってきます。
紹介されている詩を読んだときに、
頭の中に出てくる「?」やイメージは
アートを見ている時ととても、限りなく、近い。
自分の知らないけど知っているような
忘れているだけなような、ぼんやりとした記憶のような、、
に気づかせてくれる、呼び起こしてくれる。
そうそう、そういうこと!が多かった。
ので、
以外自分のための備忘。
未来を描いている
幻の時としての未来と響き合う表現
分からないことの大切さ
ただ純粋な言葉
伝えたいことなどない
抽象画的に目で見る
文字のイメージ、ひらがな感じ、重なり合いを楽しむ
誰にでも通じる言葉の対局にある、孤独のことば
確立された自分像を疑う
いつも流動的で普遍などない
神の声を聞く
人間のコントロールからこぼれ落ちた
世界の手ざわり
感情や知覚の微妙なありようを、
まだ知らない感じ方をつくるきっかけになる
まだ知らないことの予感をあたえてくれる
理解できない余白を認めること
自分像を白紙に近づけること
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以前、Twitterでとある詩が話題になったことから影響を受け、何か詩に関する本を読んでみたいと思い手にとった。学校の授業ぐらいでしか詩に触れてこなかったがが、そんな詩に馴染みのない私でも読みやすい文章だった。
この前読んだ本にも出てきたキースのネガティヴ・ケイパビリティという言葉が出てきて少し嬉しかった。わからない部分はわからないままに素直に受け入れて、全てがわかるはずがないと謙虚にわからないことを楽しむ視点を大切にしたいと思った。
詩の読み方ではなく、自分なりの楽しみ方が書かれておりこのタイミングで読めてよかったと思う。これからは詩を楽しんでみたいと思った。
また、人間は変わりゆくものという筆者の人間観や筆者が歩んできた経験から語られる言葉も興味深かった。
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決して詩の初心者向けではありませんが、詩の奥深さは、なんとなくわかる本でした。結局、詩って、難しいなぁと思いました。
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この本を読んだところで、詩とは何なのか、どう読めばいいのかということがわかるわけではない。でも、わからないことを楽しめばいいし、こんな読み方もあるんだよと教えてくれる。日本語の特徴によって音読では鑑賞できない詩もあるというのがおもしろかった。
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p30
生きる 谷川俊太郎
詩に親しんでいない多くの人にとっては「自分が既に知っている感覚の再現」をしてくれるものだけが詩なのかもしれない
しかし詩というものの中には、こうした「実感の再現」とはまったく性質の違うことばで書かれたものもある。そして私がひかれたのはそちら側の詩、つまり「実感の再現」などとはほとんど無関係の詩なのだった。
沈黙の部屋 谷川俊太郎
p198
詩とは結局のところなんだろう。詩はこれだと一言で言う事は難しい。詩は「世界の手ざわり」の一つ。私がまだ知っていない「わたしの感じ方」を作るきっかけになっている。