紙の本
自分の足で歩き、自分の目で棚を見て決めた本屋さんばかり
2014/01/31 14:05
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「取材させてもらった本屋さんは、基本的に、自分の足で歩き、自分の目で棚を見て、決めています」とは、
この本を出版した夏葉社代表の島田さん。
本屋図鑑を作るために旅した。
その記録が巻末の日本地図に記されていました。
基本的なルールは二つで、すべての県の本屋さんを紹介することと、
いろんなタイプの本屋さんを紹介することと、島田さんは言います。
旅の伴走は、書店情報を日々ブログで発信する空犬太郎さん(名前がすてき)と、
イラストレーターの得地直美さん。
このお三方の旅が、楽しくないわけがありません。
(●^o^●)(●^o^●)(●^o^●)
ここに紹介してある本屋さん、すべてに行きたいと思いました。
丁寧なイラストで紹介してある外観や棚の様子をじっくりと見て、心のこもったまなざしを感じてしまう文章を読んでいると、
本屋さんを愛する気持ちがひしひしと伝わります。
北海道は利尻郡にある島の本屋さん・本庫屋書店、山口県は長門市の麓にある本屋さん・ロバの本屋、
この二軒は特に憧れも込めて行ってみたいなと思いました。
紙の本
本屋さんはまだ大丈夫
2015/05/27 21:15
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投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『昔日の客』『冬の本』に続く夏葉社の本、3冊目です。
夏葉社の島田さんがこつこつと自分の足で歩いて回った北海道から沖縄、五島列島まである「町の本屋さん」の図鑑。
本屋というのは通う所であって、決して行く事はないだろうと思われる遠方の本屋さんもたくさんあります。
自分が行った事あるのは神保町の大手3店のみ、という状態なのですが、古本屋や新しい形の書店などは意外と本が出ているのですが、ショッピングモールの中にある、空港の中にある、大学の中にある・・・といった近所の人が通う本屋さんの特徴を見抜く目がすばらしい。
そして、写真ではなく、得地直美さんによる手書きのイラストがいい味を出しています。
写真でもいいのでしょうが、本がずらりと並ぶ、その本のタイトルまでびっしり書き込まれているイラストは静かな迫力があります。
過去データを見ると、私の子ども、若い時は出版業界はゆるぎないものであり、文庫本ブームなど本に関しては幸せな時代だったと思います。
しかし、バブルの崩壊、大型店舗の拡大、時代の流れといったものにあらがえず、閉店してしまった本屋の数もたくさんであることも思い知らされます。
見回してみるといつも学校や会社の帰りに寄っていた近所の本屋さんは2軒とも閉店してしまい、今は職場の近くの大型店舗に行くか、ネットで買ってしまうか、になってしまいました。
そんな無意識の本屋体験を見直す事になった本です。
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全国の町にある普通の本屋さんをあつめた図鑑。
珍しい本屋ではなく、普通にその町にすむ人々の生活に根付いた本屋さんがとりあげられています。
なんとなく、自分の小さい頃の家の近くにあった本屋さんを思い出してしまいました。
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子どもの頃、本屋さんが本を届けてくれるのが楽しみだった。
中高の頃、帰り道、本屋さんに寄らない日はないくらいだった。
書店で働いていた頃、仕事をあがってから、ほかの本屋に1軒2軒と寄った。
いつも生活の中に本屋さんはあって、いつも寄っていた。
悲しくても苦しくてもつまらなくても行き詰まっても、本屋さんに寄ればなんとかなった。
読んでいると、そういう日々のことを思い出す。
「本屋図鑑」に載っている本屋さんは実在の本屋さんだけど、なんだか「ココロの本屋さん」のようにも思える。
どこかにはあるけど、自分の近くにはない。ココロの中にある本屋さん。
今は実在しているけれど、なくなってしまったら本当の「ココロの本屋さん」になってしまう。
だから、「ココロの本屋さん」だけど、「ココロの本屋さん」になってしまわないように、と願うばかりである。
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これからも何度でも読み直し、その度に新しい発見をするだろう一冊。本好き、本屋好きなら読んで損はない。
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全国津々浦々、今も昔も頑張る本屋さんが図鑑になった。
それぞれの本屋さんの温度が伝わってくるような文章と、優しいイラストで心地よく読了。
日本全国で頑張る本屋さんたちに勇気づけられた。
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全国の「街の本屋さん」を集めた「図鑑」です。
最近流行のオシャレな本屋ではない、どこにでもあるような(あったような?)ごくごく普通の街の本屋さんが主役です。
読めば必ず本屋さんに行きたくなる!
紹介されてる地元の本屋さんは贔屓にしたくなる!
そんな本だと思います。
柔らかなタッチで描かれたイラストが懐かしい雰囲気を醸し出してます。
その他にも棚作り、書店員の仕事、書店の今昔など……本屋に関わるたくさんの情報が詰まってます。
ちょっとした業界本としても役立つような気がします。
これを読んで一番強く思ったのは、「本屋さんが好き!」と言うだけではいけないなと言う事です。
この本に載っている書店が閉店したという話を耳にしたせいもあるかもしれません。
やっぱり本屋さんも会社なんだよなぁ。
好きだと言う声だけでは本屋さんは続かないんだなぁと。実際に本を買って、売上に貢献しなければ潰れてしまうんだと。当たり前のことですが、今更ながらそう思いました。
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オシャレ雑誌常連のオシャレ本屋や、「カリスマ書店員がうんたらかんたら」みたいな特集はお腹いっぱいです……という人に、とってもオススメ。
大規模チェーン店、オシャレ本屋、地道に頑張ってる町の本屋さんが同じ本に載っているというのが、
大学生になるまでジュンク堂も紀伊国屋も知らなかったし、丸善は小説のなかにしか存在しないと思い込んでいた田舎者の私としてはとても嬉しい。
写真じゃなくて全部がスケッチなのがまた味があります。
タイトルが読めるイラストもたくさんあって、数年後に開いたら「あ~、こんな本流行ってたな」なんて、ニヤニヤできそう。
新人書店員の教科書にもなるし、本好きだけど本屋好きではない人、「本屋?どこでも一緒でしょ?ネットで買うしww」という人も読んでみてほしい1冊。
どこかヘンテコで切ない世界が待ってます。
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"小学生のとき足繁く通った近所の本屋さん”みたいな、
いわゆる『まちの本屋さん』がたくさんです!
http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-1004.html
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大好きな「ロバの本屋さん」が載ってて、むちゃくちゃうれしい♪
紹介文に、なんども、なんどもうなずいちゃった。
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ホームページに感想を書きました。
「日本中をお供してもらう予定です」
http://www.ne.jp/asahi/behere/now/newpage181.htm
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小さい頃、歯医者に行くのを嫌がって、よくだだをこねた。そんな時、帰りに本を買ってあげるからという条件つきで歯医者に行った記憶がある。歯医者のある通りから一本隣の古いアーケード街にある本屋で買ってもらったのは漫画の単行本で、なぜか力士の伝記が多かった。大相撲の人気が高かったのだろう。
全国にある町の本屋さんを鉛筆画のイラストつきで紹介している、この本を読んでいると、そんな昔の出来事を思い出した。沖縄から北海道まで足を伸ばし、一軒一軒ちゃんと取材して書かれている。店主の話には、店の規模や歴史はちがっても、地域になければならない店としての自負心が滲み出ていて感銘を受ける。
町の本屋と言っても、大型店もあれば、小規模店もある。歴史のある店もあれば、つい最近できた店もある。前々からあった店が閉店するというので、後を引き受けた店もある。一県にひとつは紹介されているので、自分の住む県ではどの店が出ているのか読んでみたくなる。
人文書を多く揃えている店、コミックの品揃えが充実している店、商店街にある店、帰り道にある店など、力を入れている棚の紹介に限らず、ロケーションも含めどんなところにある店なのか、という視点でも選ばれているので、意外な場所に建つ本屋さんを発見する楽しみもある。
丁寧なイラストは面陳(この本ではじめて知った専門用語で、表紙を見せて陳列する並べ方)や背表紙の書名まできっちり書かれているので、どんな棚になっているのか一目で分かる。そんな中では熊本の蔦谷書店熊本三年坂の海外文学棚が垂涎の的。自分の書斎に並ぶ本が何冊もあり、並べておきたい本がびっしり詰まっていた。ああ、行ってみたい。でも熊本は遠いなあ。もう一軒、埼玉県行田市にある忍(おし)書房。店主の特選コーナーが設けられていて、文庫本には風太郎や内田百閒、単行本のコーナーには『プルーストとイカ』やブルース・チャトウィンの『ソングライン』が並ぶという。他にはどんな本が並んでいるのか知りたくなるセレクトではないか。店主は平日は東京で会社勤めをし、店に立つのは土日・祝日のみというから休みなしである。本が好きでなければ、とってもやっていけない。
学生時代に通った京都の三月書房も、温泉に行くときいつも前を通る新宮の荒尾成文堂も選ばれている。荒尾成文堂は、中上健次が高校生時代、つけで本を買っていたという店だ。今度通りかかったら車を停めて中を覗いてみよう。
本屋の世界も大型店の出店で、名の知られた地方の本屋が何軒も閉店したという。小さい頃通った店も一時は郊外に進出したものの、そこは今ではカフェに代わっている。この間、散歩していたら、以前の店舗近くのショッピングモール内に同じ店があった。狭いながらも人文書や文芸の棚にその店らしさが残っていた。ネット書店を利用することが多くなったが、たまには町の本屋にも足を運んでみようと思った。
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立ち並ぶ店、店、店…のなかに、本屋を見つけると、何故かとてもホッとする。
ドアを開けると、ふわっと広がるいい匂い♪
森、みたいな、
雨上がりのあと、みたいな、
とにかくすごく好きな匂い。
そんな空気に包まれながら、好きな作家の棚を眺めつつ歩く。
見た事のない本との出会いに期待しつつ歩く。
できることなら、
世界中に点在する本屋の扉を開けてみたいものだな~
なんて夢を、まるで叶えてくれたかの様な図鑑。
(惜しい事に世界、ではなく国内に限られてはありますが♪)
47都道府県すべてから一店舗は必ず紹介されているので、
わが街は、どの本屋が紹介されているかな…
と、探しながら読むのも楽しみのひとつ♪
手書きのイラストが柔らかくてとてもいい感じ。
絵描き手さんの、
おそらく好みなんだろうな~と想像膨らむ小さなポイントも見逃せない。
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夏葉社という版元は気になっていた。一人で営まれている出版社、そういうところがどんな風に本をつくり、売っているのか、食えているのかと気になっていた。最初に存在を知ったのは、ミシマガジンの「本屋さんと私」で紹介されたときだったと思う。2009年の9月にたちあげられた夏葉社の、これは9冊目の本。海文堂書店も載っているというのもあって、借りてきて読んでみた。
あとがきには、この本ができた経緯が書かれている。
▼あるとき、図鑑をテーマにした対談に誘われ、それが雑誌の記事になりました。その記事を読んだらしい夏葉社の島田さんが、お酒の席でこんなことを言うのです。
「ああいう本(図鑑)が作りたいんですよ」
次の酒席に、頼まれもしないのに、勝手に作った企画書を持っていきました。次の次の酒席には、その本をテーマにしたトークイベントの企画を持っていきました。トークイベントが終わったら、酒席の与太話は、いつのまにか、それなりに立派な書籍の企画になっていました。この「本屋図鑑」はそんなふうにして生まれました。お酒の席で。(p.236)
掲載された本屋のほとんどは島田さんが選んだそうで、そのルールは二つ。47都道府県、すべての県の本屋さんを紹介することと、「図鑑」と銘打っているのだから、いろんなタイプの本屋さんを紹介すること。
たしかに、いろんな本屋さんが紹介されている。私が行ったことがある本屋さんも、いくつか載っている。でも、知らないところの方が多い。それは、島田さんが、「町の本屋さん」、つまりは大きすぎず、家に近い、そんな本屋さんを多く選んでいるからだろう。約半年の取材期間のあいだに、北は稚内から南は石垣島まで、本屋を訪ねて歩いたそうだ。
どの店も1ページの字数で紹介されていて、それにいくつかイラストがつく。このイラストは得地直美さんのもの。
どのページを開いても、こんな本屋がある、ということに励まされるような気がする。
たとえば、文苑堂書店(鹿児島県・指宿市)の三代目店主・大牟礼啓子さん。
▼大牟礼さんは本屋がない山村で育ったが、子どものころから本が好きだった。嫁ぎ先の文苑堂に初めてやってきた時のことは、今も鮮明に覚えている。「世の中にはこんなにもたくさんの本があるんだ」と心の底から驚いた。
10年前に創業者である義父が、9年前に夫が病に斃れた。義父も、夫も、本屋であることに誇りを持っていた。「本は過去のことも未来のことも教えてくれる。だから、本屋は地域になくちゃいけないと思うんです」と大牟礼さんは話す。(p.52)
あるいは、ちくさ正文館本店(愛知県・名古屋市)の古田一晴さん。
▼「自分の好みで本を置いているわけではない。置くべき本を置いている」のだと店長の古田一晴さんは語る。どのような本が今必要とされているか、並べておくべきなのか。新刊情報を追っているだけでつくれる棚ではない。常に、本と時代と人とを見ていないとできないし、ただ漫然と見ているだけでもできないだろう。図書館か古書店のように落ち着いて見える売り場だが、棚が常に動いているのが伝わってくる。(p.102)
300年続く本屋さんもある。山形県・山形市の八文字屋本店。
▼「商人として300年やってきたということだと思います」と商品部の金沢有一さんは話す。「八文字屋でたいせつにしていることは、まずなにより現場。データを分析するよりも、売り場に1冊の雑誌を出して、棚の整理整頓をする。もっと平たくいえば、『ものを触ってなんぼ。ものを売ってなんぼ』、そういう考え方だと思うんです」(p.173)
海文堂書店については、こんなことが書いてある。
▼…神戸・元町にある書店として、「神戸の本」にも力をいれている。とくに、1995年以来続く「阪神・淡路大震災を語り継ぐ棚」は、見る者の足を止める。東日本大震災が起こった2011年、この書店が、「激励の言葉より本を売る!」というフレーズとともに、仙台で被災した出版社「荒蝦夷」のフェアをいち早く開催したことは、この書店の性格をなによりも雄弁に語る。(p.103)
その海文堂の閉店にあたり、海文堂の棚の写真集『海文堂書店の8月7日と8月17日』を夏葉社が出したそうだが、これは海文堂書店のみで制作した1000部を完売、増刷予定はないそうだ(どこかの図書館に入ってないかな)。
夏葉社のサイトには、「私たちの町には、本屋さんが必要です。「リアル書店」にこだわって、もう少し、仕事を進めていくつもりです。」とある。私も、ネットでぽちと買うよりも、本屋さんへ行こうと思う。
巻末にまとめられている「本屋さんをもっと知る30冊」。読んでる本もあるが、知らないのもいろいろある。
こんど読んでみたい本いくつか。
『「本屋」は死なない』
『書店の棚 本の気配』
『世界の本屋さん見て歩き』
(10/30了)
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家にいながらにして本が買える時代ですが、ここに載っているような本に対する愛情が溢れんばかりの本屋さんに、行ってみたいと思いました。イラストもいい!