紙の本
タイトル通りの寄生虫本
2015/09/12 20:25
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のメッセージはタイトル通りです。
章を追うごとに寄生虫と人間の歴史をたどっていく構成で、最終章はコロンビア大学の院生を対象として行われた環境教育の内容が取り上げられています。さすがに寄生虫との共生を深めるためにニューヨークをジャングルに変えるのは無理だと思いますが、人類総潔癖症の行きつく先はどんな世界なんだろう、と若干不安にはなりました。
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第一章 四四〇万年前、私たちの祖先は……
第二章 寄生虫は人類に欠かせない最高のパートナー
第三章 乳牛に飼い慣らされて
第四章 すでにいない肉食獣から逃げ続ける脳
第五章 人間が体毛を脱ぎ捨てた理由
第六章 太古の昔から現在まで、断崖で暮らす私たち
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一般に病気は、それを引き起こす病原菌やウィルスなどが体内に侵入することで発症すると考えられている。だから、自分たちは手洗い、うがい、消毒、殺菌を徹底し、それでも侵入したそれらを、抗生物質の投与でもって抗ってきた。そして今日、自分たちの生活している世界は、一昔前に比べて、あまりにも清潔であり、かつ衛生的である。しかし、そんな先進諸国にあって、自己免疫症やアレルギーなど、新しい病気が多く見られるようになってきているのは何故か。特に、クーロン病は自らの免疫システムが、守るべくはずの自分の身体を攻撃してしまう難病である。ここにおいて著者が指摘するのは、そもそも自分たちがいかに、病原菌やウィルスはじめ、自分を取り囲む異物と共存関係を営んでいるかということである。体内に入った食べ物を効率よく吸収する(カロリーにして30%、ビタミンB郡、ビタミンKの合成にあってはそのほとんどを依存している)のには多種多様な大腸菌の働きを欠かすことはできず、また、病原菌やウィルスなどが、免疫系を正しく作動させるのに一役買っているという。また、そういう視点に立った時はじめて、これまで無用の退化器官と考えられてきた虫垂が、腸内フロンティアを維持する為の巣箱として、大いに注目されてくるのである(実際、何でも口にする人間の虫垂は、他の猿に比べてもとても発達している)。健康であろうとすればするほど、健康を損なう現代人に向けた、健康再定義の一考。
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高知大学OPAC⇒ http://opac.iic.kochi-u.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?isbn_issn=9784864102599
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乳牛は10億頭くらいいて、総重量では人を上回る。人類が危機に陥った時、牛乳を飲める人類は生き残り、人類とパートナーとなった牛も生き残った。とか、蜂の巣を発見すると人間を呼びに行くミツオシエという鳥だとか、蛇に対する嫌悪はプログラムされているとか。基本的にはエコシステムに関しての話。面白い。ちょっとセンセーショナルに振りすぎてないか?って感じもするけど。嗜好は進化的にプログラムされて環境が変わってもあまり変わらない。そして資本主義は嗜好を満足させるために環境を変え続ける。自然をそのままのこすためには合理的な判断が必要とかもうなんだかまさに本末転倒だよね。嗜好をプログラミングしてしまえ!って結論になったりするとこれまたまずいよね。
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この地球上における生物の進化と密接に相互作用する人類の歴史と未来に対して、広範で興味深い示唆に富んだ内容。
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』と同じぐらい、人間というものを広い視点で捉えるための重要な一冊になった。
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469.2-ダン
300450913
【2015年度池上喜久夫先生(CT)】
私たち人類は、多様な生命と共存し、繁栄してきました。同時に、人体に有害な生き物、不快な生き物を殺し続けてきました。そして、殺すべき生物がいなくなったとき、人の体で、本来持っている野生が目覚め始めるのです。人類の将来を予見させる一冊です。
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邦題は寄生虫を全面に押していますが、原題の通りヒトの身体が自然環境の中でどのように形作られたのか、機能形成されたのか、自然とどのように共生しているのか、について書かれています。
寄生虫とヒトの関係や現代病・蔓延する疾病についての話は特に面白かったです。ヒトは過去に積み上げたものをすべて捨てて、間違った方向に進みすぎてるなと感じました。進化学について興味が湧いてくる本です。
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タイトルは寄生虫だが、人間が進化するには捕食者や、寄生虫、細菌などの圧力があるという幅広い話。
虫垂の役割とか、ラクターゼ、視覚が発達した理由、体毛が消えた理由など、面白い話が次から次へととびだしてくる。
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現代病は、人間が自然から切り離されてしまったがために発病するという仮説に基づいて検証していった本。
・寄生虫がいないから、免疫システムが暴走している。
・盲腸は、コレラなどの伝染病で、腸内細菌が全滅してしまった時に使う、細菌の避難場所である。(だから切除しても特に問題は起きない。けれど、昔は、腸内細菌が無いと少量の食べ物から多くのカロリーを得ることができなかったために、必要だった。)
・現代社会に自然をうまく組み込んでいくためには、何が必要なのか。
人をサルと進化の過程から読み解いているので、面白かった。
ただ、べびぃケアを知っている身としては、各種の現代病は、赤ちゃんの時から、人間の発達を無視して育ってしまったから起きているものだと思う…。
寄生虫がいない地域に多いのは、文明が発達して、アメリカの一部メーカーの提案する子育て方法が定着している地域だからっていう要因も絶対あると思う。
逆に、寄生虫がいる、文明の発達していない地域で見られないのは、サルから発達したの頃からの昔ながらの自然に沿った育児をしているからだと思うんだけど。