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永沢さんには、この男はこの男なりの地獄を抱えて生きているのだ。地獄という言葉は絶対性を帯びるんで、崇高や神聖などの語と同じく、安易に小説に持ち込めない言葉。永沢は地獄の中で認識の無限遠点に触れたに違いない。彼のゆるぎない自信は誰よりも自分は遠くからこの世を眺め下しているという認識者の矜持だから。
本気で踊れとは羊男は言わない。絶望しながら踊れ、否定しながら肯定しろという。
日本は戦争に負けたが、完全な負けではなかった。天皇を守り抜くことができたのだから。国体は保てた。
文学者というのは時空を超えたオリンピックをやっている。
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「世界」を読む、というよりは「社会」を読む、な感じがする。議論の内容はちょっと物足りない気がするけど、新しい気づきみたいのはあった。久々に村上春樹の本読みたくなった。
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文学系の先生お二人が、村上春樹の長編8つについて対談した本。
もう20年近く村上春樹氏の本は読んでいて、自分の血肉と言える。
しかし春樹氏が日本に社会についてや、三島由紀夫の流れをくもうとしていた事など、まったく知らない解釈が沢山あってとても興味深かった。
物語として読んでも最高に面白いのだが、こういった解説というか分析した本を読むとさらに楽しめるんじゃないだろうか。
装丁が地味で堅そうなイメージの本だが、内容な対談で読みやすく、両氏の文学や春樹氏への愛が伝わるとても面白い本でした。