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「歪んだ愛」がテーマのソーニャ文庫らしい作品と思いますが、これは好みが別れるんじゃないかなぁって思います。私的には登場人物の心情についていけませんでした。
名前から戦国時代の日本っぽい感じはしましたけど、ヒーローの多摩は、もはや人ではなく神様というか悪魔みたいで、出てくる男性陣3人とも変な力を持っていて、ファンタジー要素が強いです。
ヒロインの美濃は、かなり幼い子どものような言動をしますし、幼い頃から大好きだった巽との婚約を前に、友人として好ましく思っていたはずの多摩から一方的な愛情を押しつけられ、逃げても逃げても捕まり、それなのに、最終的には多摩を愛するってのが、分かりません。ストーカー側の心情を理解できないとダメなのかもしれません。
しかも美濃を愛していたはずの巽も、多摩に操られていたというからかもしれませんけど、それが解けそうになっても美濃を多摩に捧げちゃいますし、最後まで気持ち悪さが漂います。
唯一まともそうな乾がいて、なんとか最後まで読めましたけど、よく考えると彼が多摩を焚きつけなければ、こんな状況にはなってなかったんですよねー。彼にしてはよいことをしたいと最初は思ったと思いますが、その結末がこれだと分かっていたら、そのまま多摩を村に返していたのかなぁって思いました。
ページ数も多く、イラストも表紙よりは挿絵の方がよいですけど、内容的に私には向かない一冊でした。