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官僚組織を縦糸に、非官僚の思想を横糸に
近世から近代を通読していく。
あまりない議論だと思う。どうしてだろう。
たとえば、
官僚組織は現実的な思想を持っている
非官僚は創造的な思想を持っている
という類型を立てることができるとする。
これは官僚は改革に抵抗するというレッテルであり
非官僚は現状打破の勢力であるといレッテルから派生する。
では、日本を破滅的な大戦へと向かわせたのは官僚か非官僚か
と問われたときに不思議な感覚になる。
どちらかというと、現実的だと言われる官僚組織が道筋を付けた
ように見える。
国家社会主義や国家総動員体制を研究する革新官僚がいる。
非官僚的な皇道派を粛清している、陸軍の官僚派閥たる統制派がいる。
そして官僚組織は現実的にも関わらず、なぜ敗戦に至らしめたのか。
ここでつまずく。
敗戦までの道のりは狂気の過ちであり、
現実主義には当時の開戦も敗戦もありえなかったという考えを抱くとき
官僚制度VS非官僚の構図から上手に近代を説明し得ない。
もしかしたら
合理性が戦争を生んだ可能性を考える必要があるのかもしれない。
もしくは帰納的に当初のレッテルが間違っているのだろうか。